説教臭くもなく理屈っぽくもなく分かり易くて面白かった。原爆の作り方や主人公が被爆する様子を言葉で説明するのではなく映像で淡々と見せていくのがいい。やはり映画は映像で説明するものだと思った。キャスティングも良かった。沢田研二は派手な流行歌手というイメージが強かったがちゃんと自然に演技できているのには驚いた。当時は人気絶頂の頃だったと思うが、大スターではなく一介の理科の教師に見えた。池上希美子はいかにも当時流行の先端をいってる女といった感じだった。菅原文太は強くて正義感のある男にはピッタリだ。この刑事が主人公より弱そうに見えたら失敗だっただろう。手錠を掛けられようが高い所から落ちようが撃たれようが主人公を追い詰めていくのは当時の彼なら説得力があった。
――ポーリー



長谷川和彦監督の映画を今更ながら初めて観させてもらいました。「こんな映画が日本で作られていたのか・・」というのが正直な感想です。僕は今、大学三年ですが、この年になるまでこの作品に出会えなかったことに強く後悔しています。それだけこの作品の放つ雰囲気はとても素晴らしく、斬新でした。ひとつ納得がいかないのが、菅原ぶんたが扮する刑事があれだけ銃をくらってるのに最後の最後まで死なずいるということぐらいですかね。
――はくい



パソコンを購入して真っ先にHPを探したのが、当時、中学生だった私に大きな衝撃をあたえた「太陽を盗んだ男」。劇場で観た後の言葉では言い表わせられない感動に、公開中に5回、再上映会を含める10回以上映画館に足を運ぶ結果となった。LP版、カセット版のサントラは勿論、当時出始めだったVTRも購入したほど。映画の中で使われてるカルメンマキや高中正義のレコードを買いあさり、必死で探しつづけた中学生時代。高校生時代はどーしてもロケ地に立ちたくて東京にその為だけに何度も足を運んだことだ。科学技術館、国会議事堂、武道館、勝どき橋は当時訪れ、ここに城戸誠がいたと実感た。どうしても解らなかった東急デパートは、昨年東急日本橋店の閉店のニュースと共に知り、跡地を見上げな物思いに耽ったものだ。木場も今年やっと発見できた。この映画を観て以来私は映画ファンになった。感受性の鋭かった歳頃に観たから余計にそう思うのかもしれないが、今まで観た映画の中では最高に位置する。ハリウッド映画に押されてる現在、この映画のような日本でしか作ることのできない作品を排出してほしいものだ。
――GO



渋谷のデパートで首に双眼鏡をぶらさげて、サングラスを掛けた長髪の男が店内をうろついていたらすぐに怪しい人だと思われて警備員にマークされるのじゃあないかな?ふしぎだなあ?
――加奈マン



「青春の殺人者」を観てぶったまげ、ずっと観たいと思ってた「太陽を盗んだ男」。期待しすぎていたのか、僕は駄目だった。いや、駄目、と一言で片付けてしまうのは乱暴だ、でもとにかくがっかりは、した。なんでかなあと考えた。例えば「青春の殺人者」だったら、あの母親と息子のからみ。あそこも僕は、半ば笑いながら観た。「ここまでやるのかよ」と。そしてその笑いは、やがて驚嘆の念に収束されていった。で、「太陽を盗んだ男」だ。この映画には、半ば笑いながら観れるシーンが随所にある。得に笑ったのは、原爆を奪還するシーン、文太がヘリにぶらさがって現れるシーン、ラストの対決。で、それらのシーンが、紙一重で収束していかないのだ。観ていてのめりこめず「はは、やってるよ」で終わってしまったのだ。楽しみ方が分からなかった、と言えばいいのか、超個性的な映画だが、平たくいやあ楽しめなかったのだ。
――baby baby



大衆闘争なんて端っから信じちゃいねえ。 少数精鋭による武力闘争も72年2月、雪のあさま山荘で夢と散った。 残された戦い方に何があるのか? その答えが、ここにあった。
――ラスタマン



小学生の時、TVを録画しといたけど、途中から消えちゃって・・・たしかデパートから札束をばら撒くシーンだった。今日DVD買って何十年ぶりかで見ることが出来・・・すごい感激しました。レベルが高いなんてモノじゃない!神がかり的なモノを感じました。今、日本映画でこんなものすごい写真は絶対に撮れない。そしてこんなシナリオを書ける人、こんな映画を撮れる人、もう居ないです。僕が言うのもだいそれてるけど、シナリオが良く出来てる。大雑把に話を進めようとしていない。丁寧だし。スローとかも効果的だと思うし。唸ったのは、池上季実子を海に落とすシーンで思わず、ジュリーの髪を握ってしまうところなんて・・・恋愛映画だし、青春映画でもあったんですね。ホント奇跡のような映画だと思いました。久々に心の中までスッキリしたような、爽快感です!若輩者のぶんざいでこのような感想でお許し下さい。誰かに伝えたくて、そして誰かにお礼を言いたくて書き込みました。
――みつ



小学校の時、修学旅行で広島と長崎に行きました。僕は学級委員などもやっていて優等生でした。いえ、それは仮面を被っていただけで、本当の自分ではなかったのです。先生が恐くて仕方なくそうしていたのです。真面目な顔して、心は泥泥していました。 広島の原爆資料館に行きました。それまでの修学旅行では鈴鹿サーキットでした。僕らの代から広島と長崎になったのです。当然、僕は不満でした。なぜ、修学旅行でこんなえげつない物を見なければならないのだと。ある映像が繰り返しながれていました。爆弾が爆発し、地面がもっこと持ち上がり、キノコ雲ができ、すごい爆風が起こる、そんな映像でした。僕はその映像をみながら、すべての不満を、糞野郎!といった気持ちを、思いっきり笑いながらその映像に言ってやたのです。「うっ、うっ、生まれるぅぅぅー!!!」友達は笑いました。そして、三、四人で声を合わせて爆発に合わせてもう一度笑顔で言ってやったのです。「生まれるぅぅぅぅー!!!」 それは無意識の母性への憧れだったのかもしれません。 「生まれる」・・・・そうです。原子爆弾はたくさんの人の命を奪った。けれども、それ以上のものを生んだのではないでしょうか。原子爆弾はたくさんの命を奪いました。しかし、それ以上のものをこの世に生んだのです。この映画もその一つではないでしょうか?そんな事を思いました。
――マイケル



先日やっと劇場で観てきました!以前から観たかったので映画館で上映されて嬉しかったです。とにかく面白い展開で期待通り面白かったです!!こういうみごたえのある日本映画が、もっと作られればいいのになぁとしみじみ思いました。それにしてもジュリーかっこよいですねー!二十年前の作品なのにジュリーの男前ぶりと、作品の勢いに感動です。
――snowy



小学生の時にTVで放映したのを視てたんです。すごく印象に残っていて、どうしてビデオとか出て無いんだろうって、ずうっと思ってました。同じ世代の人達は、誰もこの映画の事知らなくて、「設定もストーリーも、ジュリーも、マジで洋画に負けて無いんだよ」なんて説明しても、わかってもらえなくて辛かった!幼い頃感じたショックとはまた別の衝撃がありました。
――kipu



20代半ば、もっとも悩んでいたころに「太陽を盗んだ男」をビデオで観た。 そのころ何もかもふっとばしたい気持ちだったが、その心が原爆を作成する沢田研二と通じるものがあったような気がする。自分が放射能に汚染されてもふっとばしたい気持ちそれは理屈ではない狂気、破壊衝動だと思う。
――かい



友達と夜中に二人で見た。ジュリーを見直した。池上季実子があんなにキレイだとは思わなかった。しかしやはり一番好きなのは文太。特にヘリコプターのシーンは二人ともぶったまげた。見終えるころには朝になっていた。不思議な夜。不思議な朝。
――渚にて



最初に見たのは、2年前のTBSの再放送でしたが、丁度佐賀バスジャック事件があり、ネットでこの映画名があったのでとりあえず見てました。何気なく見ているうちにそのストーリにどんどん引き込まれていきました。最後の文太のシーンには笑いましたが・・・自分が日本映画でここまではまったのは、珍しいです。ちなみに好きなシーンは、ジュリーが東海村に向かう車内での目線及びその音楽です。
――せの



なんで、いまの日本映画界はこの作品を越える作品を作れないのだろうか?いや、多分だれも越えれない。長谷川さん金つぎ込んでください!そのために、チャリティーだってしよう!お金をかけて!人をかけて!命かけてくれませんか?長谷川さんしか今の状況を越えることができる人はいない。ぼくがそこまでいくのに映画界は潰れてしまいます。もしくはつぶしてやりなおしてもいいのかもしれないけど、どっちだっていい。長谷川さんしかいません。                長谷川をいつかこえる映画監督より。
――ミツ46



1970年代の後半にこんな面白い映画がつくられていてビックリした。ハッキリ言ってこの映画は「ダイ・ハード」を超えている。プルトニウム型原子爆弾について調べてみましたが、やはり非常にデリーケーとな構造をしていて一人でつくるのはまず不可能でしょうが、エンターテイメントとして見ればつくっていく過程も科学的でとても面白い。「核」を持ってしまった人類の困惑を実によく描いている。日本にもこんな才能のある監督がいたのかと思った。「黒澤」、「今村」、「伊丹」に並ぶ才能である。長谷川先生に手紙を書こうと思って人名辞典を調べましたが、現在はもう世田谷の桜上水にはおいでにならないようで、ガッカリしましたがネットを検索してヒットしたので喜んでいます。映画の中でジュリーが「ビル、倒れてくる・・・・」あのシーンが独特のニヒリズムが感じられてシビレル。嗚呼、僕もスタッフの一員になりたいな!
――清水ヤスヒデ



こんくらい嘘くさい事やると映画ってのは、面白いなーーーと、思いました。嘘くさいと言っても、起こりそうな、嘘くささが、たまりませんでした。一人の教師が、50万借金して、一人で原子爆弾を、作るなんて、しかも作り方の原始構図が、本物ってとこが、リアルですねーーー!!!秋葉原で、材料を、集めてきて、アパートで、黙々と作る姿なんて、研究室じゃなく一般市民が、作り上げていく姿が、良かった!!しかも野球中継を、見せてくれってのも、リアルでしたねーーー!!現実じゃないんだけどより現実に見せる、インパクトを、与えてくれた映画でした。枠組は、とてつもなく嘘臭い内容でも、ちょこちょこと、細かい部分の演出が、しっかりとリアリティーなので、起こりそうな予感がしました。リアリティーの面白さを、見せられた、魅力ある映画です。
――福田



私はこの映画上映前の試写会で見ました。原爆を作ったり、車が飛んだり、かなり派手な映画ですが、細かい描写もすごいと思う。たとえば、城戸先生…、化学の時間に原爆を作る授業、生徒が「授業をしてください」といえば「勉強は塾でやっているだろう、学校に来てまで受験勉強をしなくてよろしい(だったかな?)…」この台詞言える先生現実にいたらすごいと思う。いつも風船ガムを噛む先生、原爆作りに疲れて居眠りばかりして…修学旅行で生徒を守る城戸先生…。ただ、ラストの方は先生業どこに行ったのかな…?とにかくカッコいい、ジュリー!!アイドルを超えた作品にめぐり会えた彼は幸せ者だと思います。
――ひろ



キューブリック作品っぽく、ジュリーはデニーロに匹敵する狂気をはらんでる、超ハイテンション映画!つい最近(2002年夏です)この映画ビデオで観たんだけど、20年以上も前に、こんな作品あったなんて、いやぁ〜、今まで俺なにやってたんだろ。
――さとし



私が生まれた頃、沢田研二がこんなにかっこよかったなんて!!ちょっとショックでした。(タイガース時代の映画は観たことあるのですが、ただのアイドルとしか思えませんでした。)もう私の王子様です!(さむいと言わないで)ジュリーにもビックリですが、この映画に出てくる当時の東京の街並みもなんとなくレトロでよかったなあ。渋谷東急の屋上から五億円がばらまかれたシーンとか。昔、古畑任三郎の木村拓哉かなんかが出た回で、赤か青どちらのコードを切るかっていうのがあったと思うんですが、この映画のパクリだったのですね。数年前に東海村で臨界事故が起きたとき、この映画を昔から知っている人たちはきっと何か感じたのでしょうね。私は順序が逆でしたけど。原爆を作るだなんてストーリイ、荒唐無稽で馬鹿馬鹿しくなってしまいそうだけど、この映画は今見ても全く無理が無いし古臭くないし、ものすごく心に残りました。公開当時はかなり先進的だったんじゃないでしょうか?もっと早くみとくんだった!でも出会えて良かったです。「悪魔のようなあいつ」ってDVDしか出てないんですか?観たくてしょうがないんですが。
――奥寺椿



作品は高円寺のレンタルビデオ、オービス店主(20年来の友人)の紹介で、DVDを購入し鑑賞しました。とにかく面白かったです。ストーリーの奇抜さ、構成の巧みさは日本独自の空気にあふれ、まことに素晴らしいものでした。海外の作品と比べる必要はありませんが、レベルはまさにワールドクラスではないかと実感しました。一つ気になったのは、長谷川監督が特典ディスクのインタビューでも語られていたとおり、女性の描き方でした。素人としての意見はありますが、作品はどんな意味でも作る側の実物大の部分があると思うので、作品が好きであればノーコメントとしたいと思います。20年以上前の作品にもかかわらず、現代に通用するポップな感覚はもっと高く評価されるべきものだと感じます。今年45歳を迎えますが、11PMでの告知は記憶があります。しかし、当時は邦画の持つ魅力がロック少年にはいまひとつせまってこなくて、映画館へ足を運びませんでした。2002年、映画館での上映のみならず、さまざまな鑑賞形態が存在する現在だからこそ、多くの人の心を掴むことが出来たのではないでしょうか?やはり多くの人に知らしめることは非常に重要ですね。この作品のあと、長谷川監督の脚本の「悪魔のようなあいつ」、監督作品の「青春の殺人者」をディスクで堪能しました。「太陽を盗んだ男」とは違いましたが考えさせられるところが多い、名作でした。自作でも、蚊をたたくシーン期待しています。
――村上



皆さんの感想読んでいてひとつ思いました。・『キューブリックっぽい』『黒澤、今村に匹敵』あ−何となく分かります。でもちょっとそれ違う。・『ジュリ−がデニーロ超えてる』それもわかります。でも何か違う。・キューブリックって感情よりビジュアルって気がする。その点、もちろんビジュアルは意識してるものの、長谷川は圧倒的に感情重視な気がする。そういう点では『カサヴェテスっぽい』・デニーロ。好きです。でもデニーロにまさる狂気、出せる人いっぱいいるよ。例えば、外人なら「シャイニング」のニコルソン。日本人の三船だってそう。だけど、『ジュリー』には色気がある。そういう変態狂気。これは日本のアノ役者しかもっていません。『ジュリ−が田中邦衛(アオ大将)超えてる』かなり自分勝手に書きました。すみません。私はバカです。
――今泉リキヤ



はっきり言ってすごい内容だった。原子爆弾をつくるなんて。原子力発電所に進入してプルトニウムを盗む。あの超人的な動きやあの装備(マスク・火炎放射器等)はいったいどこで入手したのか?映画なので仕方がないが、ちょっと設定に無理があるような気がした。 沢田研二扮する木戸誠はいったい何なのか?左翼のテロリストか?あの行動は常人には考えられないことである。結果的に原子爆弾は爆発しなかったが、非核を守る日本においては重大な事件であったには変わりない。 近年は有事法制や米国への盲従政治路線になってきている我が国であるが、木戸のような人物が本当に現れたら、日本政府はいったいどうするのだろう。あの要求項目に有事法制反対、日米安保反対等々を盛り込めば現在の日本を良い方向に変えていけるかもしれない。この行き先不透明かつ国民を犠牲にするな日本国政治を変えるには極左思想が必要なのかもしれない。 最後のシーンは原子爆弾を持って木戸が歩いていたが、あの続きが気になるものである。いったいどうなるのか? 今後日本はどうなるか全く予想もつかないが、太陽を盗んだ男のように国を変えていきたいと思っている。
――鬼武者