今年は「夏らしい夏」という感じがします。晴れると 風が吹いて、7月下旬などは暑いなりにそこそこ 楽しめる日々でした。
もっとも、いきなりの大雨には驚きましたがね。 川が近くにあるわけでもないのに、近所の少し 低くなっている地帯は、完全に床上浸水になり、 ビデオ屋やコンビニに浸水して営業が不可能に なったりしました。しかも、これは2度も起こり、 2度目は最近建ったばかりの住宅の、土台の土を 流してしまう(塀とエアコン室外機が倒れた) という事故まで引き起こしました。
東京の、武蔵野の大地ではなかなか考えにくいことですが、 昔の農地をそのまま宅地にしていった結果、水路敷などが あって、そこを排水などをあまり配慮せずにきれいに コンクリートで美化していったために起きた事件、と とらえたほうがいいくらいかもしれません。
近所に野良猫がいますが、さして大きくない 子(足袋を履いたように見える白黒の模様つき なので「ちび足袋」と呼んでいる)がうろうろ してました。このちび足袋がさらに子を産みました。 名づけて「小ちび足袋」。
朝、ごみ捨て場に生ごみを捨てに行くと、 視線が小ちび足袋とあって、彼(彼女かな?)は あわてて逃げて行きました。その姿格好、もう、 一人前の野良猫。
ときどき、親子でほうけたような顔をして、 涼んでいます。風が通ると、産毛がぽわわー とはねる。なんとものどかな風景です。
iBookが少し前に発表になりましたね。
発表されてみると、3kgで、毎日持ち歩くのでは なく、家や事務所の中で自由に動かせる、という ところを目指したマシンですね。文字通り、 持って歩けるiMac。
面白かったのは、無線によるLANです。AirPort という、UFOみたいな小さな無線機をEthernet や56KB-Modemからつなげて、インターネット接続 が可能になっています。
ケーブルから自由になろう、というのは、 私はとても歓迎です。が、iBookがほんとに ほしくなるかどうかは、実物を見てからでしょうね。 いわゆるトランスルーセントのマシンは、実物を 見ないと、どのくらいの大きさに見えるか、 不細工かどうかが、はっきりしないことが多い からです。
私はむしろ、iMac, iBookときて、さらにアップルが 何をするのかが気になっています。確かに一連の 新製品群は、アップルの神話的な人気を復活させる 側面がありました。でも、最近の新製品群は 「一時的にはすごく人気が出るけど、数年経つと 持っていること自体が恥ずかしくなるような、 陳腐化する製品が多いのではないか」という ことです。
無論、作っているアップル自身もよくわかっている ようで、次から次へとマイナーチェンジを繰り返し て、そのデザインが陳腐化する前に、最先端の性能だけは 満たすように努力しています。その努力は認めますが (って、おまえは何様のつもりだ>自分)、決定的な ものに欠けている。
何が言いたいのかというと、人気のありそうなハード ウェアは出したけど、ソフトウェアの革新がまだ 始まっていない、ということなんです。一番大切な、ソフトウェア。OSやミドルウェア。 こういったものの革新は、昨年まではハードウェアの 続出で時間稼ぎをすることもできましたが、 予告済みのラインナップがすべて出揃った以上、 次の「ソフトウェアの革新」のステップに踏み出さない 限り、勢いが失墜するかもしれない。
MacOSは、いまだに古いアーキテクチャを引きずって います。そして、OS8.6あたりでついに移行への準備 をはじめたようですが、私はまだ技術資料を細かく 検討していないので、なんとも言えません。ただ、 MacOS Xと共有できる部分をできるだけ多くできるような 準備は、明らかに始めているでしょう。
来年にMacOS Xがデビューしたときに、ほんとうに 使いやすいものになっているか。期待通りの 安定性を実現できるか。次世代として、10〜15年は 楽に使える土台が提供されているか(どうせ改良されて いくのだから、問題は土台がきちんとしているか)。 そのへんが大切なんですが、うまく離陸できるか。
私個人は、Mach Kernel + BSD + MacGUIというものに、 相当興味はあるので、がんばってほしいものですが。
iBook発表の朝、朝刊を見たら出ていた記事は、 「江藤淳、自殺」でした。
私は氏の漱石論などは優れたものだと思いますが、 政治などに関する議論はあまりすきになれなかった です。それでも、論客として時々文章は読むくらい の気は起きる方でした。
あの頑強な議論をする方が、自殺・・・新聞雑誌は あれこれ書きましたが、ご本人は周囲の想像以上に いろいろなことを感じておられたのでしょう。 「妻と私」は、やはり重い話でした。 ご冥福をお祈りいたします。