99年8月の猫時間通信


●99.08.27 -- 今年の夏、猫

今年は「夏らしい夏」という感じがします。晴れると 風が吹いて、7月下旬などは暑いなりにそこそこ 楽しめる日々でした。
もっとも、いきなりの大雨には驚きましたがね。 川が近くにあるわけでもないのに、近所の少し 低くなっている地帯は、完全に床上浸水になり、 ビデオ屋やコンビニに浸水して営業が不可能に なったりしました。しかも、これは2度も起こり、 2度目は最近建ったばかりの住宅の、土台の土を 流してしまう(塀とエアコン室外機が倒れた) という事故まで引き起こしました。
東京の、武蔵野の大地ではなかなか考えにくいことですが、 昔の農地をそのまま宅地にしていった結果、水路敷などが あって、そこを排水などをあまり配慮せずにきれいに コンクリートで美化していったために起きた事件、と とらえたほうがいいくらいかもしれません。


近所に野良猫がいますが、さして大きくない 子(足袋を履いたように見える白黒の模様つき なので「ちび足袋」と呼んでいる)がうろうろ してました。このちび足袋がさらに子を産みました。 名づけて「小ちび足袋」。
朝、ごみ捨て場に生ごみを捨てに行くと、 視線が小ちび足袋とあって、彼(彼女かな?)は あわてて逃げて行きました。その姿格好、もう、 一人前の野良猫。
ときどき、親子でほうけたような顔をして、 涼んでいます。風が通ると、産毛がぽわわー とはねる。なんとものどかな風景です。

●99.08.20 -- iBook

iBookが少し前に発表になりましたね。
発表されてみると、3kgで、毎日持ち歩くのでは なく、家や事務所の中で自由に動かせる、という ところを目指したマシンですね。文字通り、 持って歩けるiMac。
面白かったのは、無線によるLANです。AirPort という、UFOみたいな小さな無線機をEthernet や56KB-Modemからつなげて、インターネット接続 が可能になっています。
ケーブルから自由になろう、というのは、 私はとても歓迎です。が、iBookがほんとに ほしくなるかどうかは、実物を見てからでしょうね。 いわゆるトランスルーセントのマシンは、実物を 見ないと、どのくらいの大きさに見えるか、 不細工かどうかが、はっきりしないことが多い からです。


私はむしろ、iMac, iBookときて、さらにアップルが 何をするのかが気になっています。確かに一連の 新製品群は、アップルの神話的な人気を復活させる 側面がありました。でも、最近の新製品群は 「一時的にはすごく人気が出るけど、数年経つと 持っていること自体が恥ずかしくなるような、 陳腐化する製品が多いのではないか」という ことです。
無論、作っているアップル自身もよくわかっている ようで、次から次へとマイナーチェンジを繰り返し て、そのデザインが陳腐化する前に、最先端の性能だけは 満たすように努力しています。その努力は認めますが (って、おまえは何様のつもりだ>自分)、決定的な ものに欠けている。
何が言いたいのかというと、人気のありそうなハード ウェアは出したけど、ソフトウェアの革新がまだ 始まっていない、ということなんです。

一番大切な、ソフトウェア。OSやミドルウェア。 こういったものの革新は、昨年まではハードウェアの 続出で時間稼ぎをすることもできましたが、 予告済みのラインナップがすべて出揃った以上、 次の「ソフトウェアの革新」のステップに踏み出さない 限り、勢いが失墜するかもしれない。
MacOSは、いまだに古いアーキテクチャを引きずって います。そして、OS8.6あたりでついに移行への準備 をはじめたようですが、私はまだ技術資料を細かく 検討していないので、なんとも言えません。ただ、 MacOS Xと共有できる部分をできるだけ多くできるような 準備は、明らかに始めているでしょう。
来年にMacOS Xがデビューしたときに、ほんとうに 使いやすいものになっているか。期待通りの 安定性を実現できるか。次世代として、10〜15年は 楽に使える土台が提供されているか(どうせ改良されて いくのだから、問題は土台がきちんとしているか)。 そのへんが大切なんですが、うまく離陸できるか。
私個人は、Mach Kernel + BSD + MacGUIというものに、 相当興味はあるので、がんばってほしいものですが。


iBook発表の朝、朝刊を見たら出ていた記事は、 「江藤淳、自殺」でした。
私は氏の漱石論などは優れたものだと思いますが、 政治などに関する議論はあまりすきになれなかった です。それでも、論客として時々文章は読むくらい の気は起きる方でした。
あの頑強な議論をする方が、自殺・・・新聞雑誌は あれこれ書きましたが、ご本人は周囲の想像以上に いろいろなことを感じておられたのでしょう。 「妻と私」は、やはり重い話でした。 ご冥福をお祈りいたします。


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