98年5月の猫時間通信


●98.05.27 -- タイムマッサージ

ちょっと闘病通信 ネタに近いけど…

会社の近くに「てもみん」というタイムマッサージを やっている店(?)がある。会社の近くだから、 うちでも通っている人がいるのかもしれない。
なんか、私は常連になっている。時々、40分の マッサージも受ける(昨日、受けてきた)。正直いって、眼精疲労で こわばった筋肉をほぐすには、こういうのを 時々受けないと難しいみたいだ。
やると違うか、というよりも、とにかくマッサージを 受けないとだめになってしまうくらい、体がガタガタに なることが、時々ある。これは、以前は散歩をよくしていた けど、最近あまりしなくなったのと、比例しているのかも しれない。

でも、それ以前に、コンピューターの作業って、体をじっと 固めて、視線も一定にして、腕を肩から上にほとんど 上げず、で、健康にはほんとうに反逆していると 思う。
あ、勉強とか事務作業って、みんなそうか。


●98.05.22 -- 西村しのぶ
西村しのぶというのは、漫画家です。名前の通り、 女流漫画家。80年代前半に、今はなき「劇画村塾」 という雑誌で名作「サードガール」を連載(これは いまだ完結せず、文庫化とともに完結予定)。 スピリッツに不定期に連載された「美紅・舞子」で メジャー方面でも有名になり、女性誌数誌でも 短篇などを発表(「VOICE」に収録)。神戸在住で、 舞台のすべてが神戸の、それも非常に具体的な場所、 というのが大きな特徴。

この人、基本的に作品数が少ない代わり、駄作も 非常に少ない。非常に具体的な場所を舞台に、 そこに登場する人物は、何が好きで、何を食べて、 どんな暮らしぶりで、そして、どんな人を好きに なるか、というのが、ものすごくはっきりと具体的に 描かれる。
うじうじしたところがほとんどなくて、悩みは あれど、あっけらかんとして楽天的で、ちょっとあく どいところがあって、いたずらとおしゃれが大好きな、 この主人公たちを眺めていると、こっちまで元気な 気持ちになってくる。

最近出た2冊の単行本は「一緒に遭難したい人」と「RUSH」 のそれぞれ第1巻。これ、2冊とも傑作。 「一緒に遭難したい人」はほのぼの系だけど、「RUSH」は ちょっとテンション上げてます。
とくに「RUSH」の主人公である百合の、破天荒さはなかなか おかしい。きれいだけどがさつで、「目標は伊達女」という 彼女は、いかにもそういう人がいそうで、ものすごく納得する。 そんで、そういう女性の負けず嫌いさ加減もすごーく出ていて、 これも納得。(私は私立のいいとことされる大学を出ている けど、こういう子、いっぱいいたよ。)
この話は、スピリッツに連載された「美紅・舞子」の、 another storyみたいなもんなので、まだ読んだことないかた は、こちらを読んでからがよろしいでしょう(今は小学館 でなく、別の出版社からワイド版で出ているけど)。

私が思うのは、こういうふうな「強気で、それを前面に押し出して も普通に生きていける、いまどきの女性」の姿(戦前〜60年代なら、 じゃじゃ馬でしかないわけ)というのは、コミックスだから 描けるのかな、ということ。
彼女たちの持つ、具体的ではっきりした価値観は、文学全盛期の 概念指向の強い男性作家たちの作品ばかり読んでいたら「ノータリン」でしか ないのだけど、現実に生きてゆく力は、圧倒的に女性たちのほうが 上。そして、そういう人のほうが、生き生きとやってゆける 世の中。こういう人たちの世界の、速度感というのは、タラタラと描く 文学ではなかなか表現しにくくて、「ぱっと見てわかる」コミック ならではの世界。
(村上龍くらいじゃないかな、現代の女性の テンションを表現しようという作家は。ただ、作家だから、どうも 日常世界の中にある「異物」的なものに走るわけで、このへんが やはり男性作家。ちなみに、女流と呼ばれる作家のほとんどが、 なぜかこういう世界は表現せず、意外に古い価値観の持つテンション や速度に、よっかかっていることが多い)。
そして、コマに描き込まれた 舞台や車や服や化粧品やらが具体的であるほど、作品の説得力が増す。
西村ワールドの真骨頂でしょう。


●98.05.19 -- iMac
iMac が発表されて以来、Macユーザーの間ではこのマシンの噂で もちきりだとか。
確かに、ちょっとかわいいデザインといい、シリアルや SCSIまでカットしてUSB一本に絞り込んでしまう大胆不敵な ハードウェア設計といい、インパクトのあることはまず 間違いなし。
発表会では、まるで初代Macintoshのような画面で "hello (again)"と表示していた(初代Macの発表会では MacPaintの画面で"hello"と描かれていたので、その 再来というわけ)そうで、私には「一番興奮している のは記者たちだろう」と思えてくる。
というのも、たぶん取材している記者たちの多くは、 Mac誕生に興奮した世代の人々が多いだろうから。

それはそれでいいけど、それから、 あのデザイン も悪くないとは思うけど、私には何かが足りないように 思えるよ。
初代Macが登場した時には、メモリも処理速度も貧弱だった けど、あの清潔なデザインと、MacWrite & MacPaint の醸し出す 使い心地と雰囲気から、「来たるべきコンシューマ向けマシンの 未来はこうだ!」と思わせる、何かが感じられた。
でも、このiMacには、そのインパクトはない。むしろ、今の複雑な OSを管理することを、一般のコンシューマに強いることを考えると、 素直に人に勧めていいか、迷ってしまうよ。だって、中身は、 MacOS8.1に、AppleWorks(昨年までクラリスワークス)に、 Internet Explorer なんだから。今だって、インターネットの 接続やら、バックアップの方法やらで人に相談を受けると、 コンシューマにどう覚えさせるか苦労するのに、この部分が そのままで、新しさもなにもない。
iMacは、 Windows95/98とほとんど大差ない中身を、ちょっと かわいく見えるようにパッケージングしたもの。 新しい何か、たとえば、使い心地や、ソフトの新しい 利用方法などを打ち出したものではないから、それが 私にはきっともの足りない。

でも、こういう一体型のマシンはSE/30以来、ひさしぶり なので、なんとなく気になるのではあった。


ところで、現在の状況で、新しい使い心地を呼ぶソフト って、何が考えられるのだろう。

私は、ワードプロセッサーからアウトラインプロセッサー ・チャート型アイデアプロセッサーへの派生が出てきた 時、これは必然であって、さらにハイパーリンク(つまり、 Webページなどのリンクですな)も含めて扱えるように 進化してべきだ、と思っていた。
つまり、紙にあーでもない、こーでもないと乱雑に 書き記したものが、徐々に形をもって浮かび上がって きて、それが徐々に文や絵として作品に結実していく ような、そんな環境(そう、ソフトウェアと呼ぶより 環境と呼んだほうがよいもの)になっていくことを 夢見ていた。
もちろん、今となっては、それは逆にとんでもない 夢で、紙には紙の、電子媒体にはそれの良さがあるから、 棲み分けるべきだとは思うが、それでも、かけはしは できるだけ多い方がいい。

いまは、Webページに代表されるような、HTMLやSGMLに 準じた形で、様々なプラットフォームで操れるデータが ある。
でも、これはもっと発展できるだろう。単に、ダイナミック で表現力のあるWebページというのでなく、自分自身に 対話するためのページ、という発想で使えるような 方向で。

このあたりのことは、いずれ考えてみたいなー。


●98.05.15(1) -- 雑記帳復活、闘病のこと
長らく何も書かないでいたが、とりあえず雑記帳から 復活させてみようと思う。

昨年末から体がえらく弱っていたが、ついに今年の1月に 起き上がれないくらいひどい風邪となり、それが直っても 歩くのがやっと、ものを考えることさえ困難、という状況に 陥り、いろいろ診断してもらった結果、自立神経失調症と いうことだった。それで、1月末から3月初めまで、 1カ月ちょっと会社を休み(もう有給休暇を使いきる寸前だった ため、かなり欠勤した形になった)、それでも簡単には直って いない。5月になっても、まだ医者に通っている。とにかく、 なんとか歩けるから、会社に来ている程度。
今でも、血圧はひどく低いことが多く、しかも上下の幅が 狭いために、ちょっと無理をするとすぐに心臓に負担が かかる。それを薬で抑制したりする(これは、強い薬を 使っているわけではない)。 疲労がすぐにやってくる ために、集中することが難しくて、しかたないので、 ちょっと今までと系統の違う仕事で回復をみながら やっていくことになっている。

今回は、私が考えていたより重大な症状だった。ひどかった ときには、まっすぐ歩くのが困難で、体にも力が入らず、 いつもは10分の道のりが20分近くになる。細かい文字が 読めず、テレビや映画も見ることができない(眼精疲労)。 風邪薬の投薬で胃腸が弱ってしまったため、ろくにものを 食べられない。食べられないので、回復がひどく遅れる。 まず、胃腸を養生しつつ、ゆっくりと自立神経のリズムの 回復を、薬で助ける。ちょっとよくなったように見えても、 すぐにひどい日がやってきたりする。
なんだか、悪循環を絵に描いたような毎日だった。このあたりの ことは、近いうち、闘病通信にちょっとずつ書いていこうかと 思っている。
世の中には、軽度の自立神経失調症で「休めてラッキー」 などという人もいるみたいだが、とんでもない。あんな 思いは、二度とごめんだ。ものを食べて、普通に動ける ことがどんなにありがたいか、実感しました。
ちなみに、自立神経失調症は、一度かかると簡単に再発する そうで、それもここ数カ月体験している…


●98.05.15(2) -- 眼精疲労

眼精疲労というと、「目の疲れなので、目を休めれば 直る」と思っている人が多いみたい。

眼精疲労というのは、 間違いなく全身疲労

だ。医者もそういっていたし、私自身の 経験でもそう確信できる。したがって、目だけで簡単に直ると思わない ほうがいい。
医者によると、通常の人間がディスプレイのような発光体 を見つめて作業をするには、約50分続けて15分ほど休みを いれて、それを1日に4セッションやる程度にとどめるのが いいのだそうな。
もちろん、それ以上作業をする人々もたくさんいるわけだけど、 そういう場合はみんな全身の体力で補う形になり、肩や首の 筋肉が凝る形で出たりするそうな。私はもともと体が じょうぶなほうではないので、全身の体力を使い切って しまったんでしょうね。いまは、その回復に向けていくしか 手がないみたい。
医者の勧めでも、ものの本にも、一番いいのは散歩、とある。 確かに、ゆっくり散歩をした後は、少し楽になる。丹田に 少し気が戻るような感じ、といえばいいのかな。

体に関しては、低空飛行だが安定している、を自負していた 私には、ちょっときつい日々が続いている(いい加減、終わって ほしいが…)。


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