猫時間通信

2003年5月

 

■2003/05/17■ 喫茶去、久々に

「よみもの」に喫茶エッセイを追加。


あっさりと、賛成の圧倒的多数により、有事法案可決。というか、なんでそうやって賛成してしまう人々がどんどん当選していくんだろう。バランス感覚というものが、この国からも、米国からもなくなっているのだろうか。というより、多くの人々がどう感じているかが、わかりづらい。


村上隆、ルイ・ヴィトンといい、六本木ヒルズといい、大爆裂中ですね。アニメだけで生きてきた人々とは、造形の風合いがかなり異なる。やっぱり独特だなぁ。

爆発なら、こういう爆発のほうがいい。


 

■2003/05/12■ 日めくりの言葉

つかっている手帳には、日めくりカレンダーのような一日一語が出ている。欧米の有名人の警句集みたいなもんだが、以下の言葉、誰のだと思います?

「自分が自分らしくありたいと考えた結果、たとえ友人を失ったとしても、誰が気にするだろうか。」

「すべては私たちの頭の中にあるのだから、それらを失わないようにするのがよい。」

答えは、ココ・シャネル。どういう文脈で語られたのかはまったくわからないし、私は格別にファッションに思い入れがある人間ではないが、それにしてもちょっとかっこいい。日めくりにこういうのが出てくると、最初驚き、次に打たれる。


5/2、イラクの戦争終結宣言をアメリカが一方的にしてからは、白装束集団、タマちゃんがニュースの中心か。その一方で、個人情報保護法案は通ってしまうし。終わってからの日本は、それ以前よりむしろ不気味。

今年の2月、商店などは軒並み「壊滅的」といえるほど売上のダメージを被ったそうだが、4月に入って回復してきてもいるそうだ。戦争前のひどい悲観、そして日常化して、日本はどうにかなりそうだと思う弛緩から、反動しちまってるんじゃなかろうか。上記のシャネルの言葉を噛みしめるべきは、今の私たちだ。


違うことを書こうと思っていたが、時期がぴったりなので、一応。

ZDnet MacというWebのMacintosh専門誌がある。明日の5/13から、PCUpdateという名前で、様々なプラットフォームを扱うPC総合誌になるそうだ。確かにシェアが低いプラットフォームで無理して専門誌を出すよりも、Macも扱う総合誌として生き残りをはかったほうが、いきなりとりつぶされてMac媒体が一つ消えるよりもいいかもしれない。それに、Macだけを特殊なものとして扱うよりもいいとも思う。

しかし、そこまでMacintoshって、注目されない存在なのかね。まぁエンドユーザは仕方ない側面があったとしても、エンジニアがあまり注目しないのは、ちょっと不思議。アメリカのエンジニアは、ここまで無視しないんだけど。日本はあまりにWindowsでの開発を受け入れすぎているように思う。Linuxをインストールして使うくらいなら、Mac OS Xのほうが素直で扱いやすい。ただ、日本のBSDの人は、純粋BSDじゃないと認めない人も多いからなぁ。

ところで、いまMacintoshプラットフォームで最大の問題は、やはりものすごく速いハードウェアがないことだろう。そこそこ速いものこそ出ているけど、腰を抜かすほど速いものがない。フラッグシップとなるマシンは、やっぱりそういうものがほしいなぁ、Mac OS Xはハードウェアの速度を旧OSよりも反映しやすい設計だから、マシンの速さが以前より重要になってしまっている。と、もうすぐ延長保証が切れるんで、壊れる前に次のマシンの心積もりくらいはしといたほうがいいかな、とApple Storeを眺めながら、思うのだった。

ちなみに、今のマシン、とても気に入ってるんで、大事に使っていくけどね。


 

■2003/05/09■ 妙な日

iWeekでは新iPodの展示などあったそうだが、都内でも今日から専門店、量販店で展示されている。閉店間際に見たのでまた音も聴いていないが、角がとれて、すごく薄くなった。写真で見るより質感はいい。あとは、iTunes Music Storeだな。これがオープンしたら、とても刺激されてきそうな予感。(ただ、iPodってすごく必要なデバイスじゃないんだよな〜。)


夕飯に、急ぎで入ったラーメン屋。注文が来て食べ始めた時、横に典型的と言えるサラリーマン二人組、濃紺スーツに地味なネクタイ。一人が部長で、もう一人が課長という雰囲気。課長らしき男、やたらと上司を持ち上げる。どうもちょっと飲んで、少し腹ごしらえをしてから次の店で飲む合間らしく、口調も危なっかしい。この男、単に持ち上げるだけでない、いらん人間を殺す必要がある、やっぱりいらない人間は殺さないと、などとず〜っと口走っている。上司はまぁ、適度にいなしつつ、持ち上げは適度に受けつつ、淡々と待つ。

私は麺をすする。店の麺はまずまずおいしいのだが、スープの出汁が濃厚すぎる。バランスが悪い、うまいのにまずい。単に過剰なだけ。それが、横の会話と相まって、腹だけじゃなく、胸くそも悪くなってくる。食べ物を前にあんな話をするなんて、食べ物に失礼じゃないか。と思っていると、こんな会話。

持ち上げ男「こういうのもダメですね、ラーメン出すのにものろのろとして」

上司「いや、こういうのは手順というものがあるじゃないか」

持ち上げ男「そうですけどねぇ、でもですねぇ」

上司「君、自分は仕事は速いほうと思うか」

持ち上げ男「え? 私ですか?」

上司、黙ってうなずく。

持ち上げ男「いや〜、そりゃ、私は速いですよ、そりゃぁ」(気後れ気味)

上司「まぁ、食べようや」(ここでラーメンが出てきた)

たぶん持ち上げ男が何か一仕事終えたところで、上司が飲みに誘った。そこで持ち上げ男は、あれこれと日ごろ訴えたいことをぶちまけた。まだ吐き出したいことが残っているようなので、しっかりと腹ごしらえに出た・・・なんてことを想像しつつ、私は食べ終えた。

なんだかなぁ。うまいのにまずいラーメン、その横でこんな会話なんてなぁ。


満員電車で、泣くのを堪えている女性がいる。ハンカチでしきりに啜る鼻水を押さえつつ、ケータイを睨んでは操作する。何かつらいメールでも来ていたのか。

電車を降りると、混雑するホームでもみ合う男の怒号が聞こえる。サラリーマンが、押された若い男に怒鳴っている。

少々食べ過ぎたので、帰り道を遠回りして歩くと、また男の怒号が遠くから響く。静かな住宅街で、車のヘッドライトが照らす中、にらみ合っているようだ。

なんだって今日は、みんな情緒不安定なんだ?


空には上弦の月が浮かんでいる。昨日より乾いて冷たい風、澄んでいる。ちょっと空を見上げてみよう。


 

■2003/05/02■ LightWay Text、iTunes4

昨日、常用しているテキストエディタの一つ、LightWay Textの新バージョンがリリースされた。従来の4.0.2から、4.1へのアップグレード。

Mac OS Xの日本語環境の特徴の一つに、ヒラギノ・フォントによる2万字グリフ(字形)がある。JISの第1・第2水準と補助漢字だけでなく、Adobeらと決定した2万文字が収録されている。ただし、これを表示するためには、アプリケーションの方でも対応しておく必要がある。ちなみに、先月必要に迫られて購入したEGWord Pure 8も、この機能を持っている。当然、AdobeのIn Design 2.0もプロフェッショナルなDTPソフトウェアとして、可能である。そして、LightWay Textは3番目の公式対応アプリケーションとなったそうな。

しかし、他にも「縦書き印刷時の、半角英数字の印刷品質を改善」という項目が、本アップグレードには含まれているそうな。これ、私が4月3日に触れていた、テキストエディタへの不満点として書いていたことだった。おそらく他にも同様のことを考えていた方々がいて、開発者もやっと対応できる状況になったのだろう。テキストエディタでの縦書き印刷も、たいへんよい状態になってきた。

もちろん、EGWord Pureのほうは、表も段組も可能で、各種ビジネス文書から何から、とても役立っているし、EGBridgeユーザは2千円の差額で手に入ったのだから、不満はない。

それにしても、そんな妙なフォント、使うのかと思われるだろうが、これがたまにいるのだ。たとえば雅楽で使われる笙の合竹(一種のコードネーム、つまり和音の名前)や、音の名前などは、現代のコード化された漢字では表記できない。こういう漢字も、自由に文書の中で使える。もちろん、先行する環境としてBTRONベースの超漢字などもあるが、よりユーザが多いプラットフォームで使われるようになるのはもっとうれしいことだ。


ちなみに、iTunesの新版がリリースされた。今度はiTunes4、第3世代のiPodも同時に発表。

●iTunes4から、ミュージックストアがメニューに入り、1曲ごとにダウンロード購入できる。

●これにともない、新しくAACというコーデックに対応(QuickTime 6.2を要する)。

●ただし、日本ではまだ購入体制が整わず、試聴のみ。(全曲30秒の試聴が可能)。

●iPodは、Dock経由でMac/Windowsと接続。より薄く、軽くなり、ボタンが整理された。

私はiPodは所有していない。iTunesはMacintoshの動作音がうるさく感じられる時に、それを遮断するのに使うから、そう熱心なユーザではない。ただ、音楽は生活の大事な要素だから、おろそかにもしていない。MP3はそう音がよくないとわかった上で使っているんだが、ひどく悪いとやっぱり困る。iTunes4になり、最初に感じたこと。なんか、音の伸びが悪くなり、切れが悪くなった・・・平たく言えば音が悪くなった

以前は、iTunes環境設定パネル→エフェクトで、サウンドエンハンサーは切ったままだった。音がぶよついて、気持ち悪かったからだ。今回は逆に、このチェックをオンにしないと落ち着かない。ただ、エフェクトのかけ具合は、浅めにしている。もっとも、音が割れにくくなった、とも言える。以前は割れて仕方なかった太鼓系の音がどうなるか、時間があったら試してみるか。

あと、AAC 120Kでの取り込みと、MP3 168Kでの取り込みでは、あまり差が感じられない。ただ、音の空気感は違う。AACはなんとなく薄い音だが、逆に音量や音色の変化などはなんとなく自然。どっちかといえばポピュラー向きかと思うが、まだ320Kで取り込んでみていないので、なんとも言えない。細かな違いは、圧縮波形の補正アルゴリズムだろう。自然にするための着目点が違うと推察される。


しかし、このミュージックストア、ブロードバンドとMacがあれば試聴が出来て、曲を購入して、買った曲はCDやDVDに焼いて保存しておける。また、ミュージックストア経由で曲を買うと、CDのジャケットもついてくるようだ。というのも、iTunes4からは、曲を再生中にジャケットを表示できる。現在、USAにいる人々だけが買える状態だが、試聴だけでもちょっと面白かった。

買った曲を、個人の利用範囲内なら無制限にCDなどのメディアに焼け、iPodも個人利用なら何台でも複製可能、Macintosh3台まで再生可能(Rendevousでの共有)、というのがUSAでの利用形態。ちなみにiTunesライブラリをネットワーク経由で共有した場合、ファイルコピーではなくストリーミング放送のようなイメージになる。

日本でも米国と同じサービスになるかは未定だそうだが、アルバムを買おうか迷うような場合、これはいいなぁ。それで本当に気に入って、いい音で聴きたい時は改めて店頭のCDを購入する。本当にプレスされたもののほうが、やっぱり音はいいしね。(デジタルでこういうことが起きるのは不思議だが、事実そうだからなぁ。)

これ、早く日本からも利用したいなぁ。逆に、ミュージックストア用と、店頭CD用では微妙にミックスが違う版が出てくる、なんてのも今後はアリかもしれない(なんせ、音質もだいぶ違うし)。


などと書いていたら、結構長くなってしまった。明日から、大阪ではiWeekというMacintosh関連のイベント。行けないけど、楽しそうだなぁ。東京ではExpoがなくなったが、関西ではユーザ主導で行われたから続いているんだろうな。


 


猫時間通信・目次へ