2000/08の猫時間通信


●2000.08.28〜31 --- びっくり

新月を挟んで、なんか大地が揺れてますねぇ・・・

仕事でセミナーの講師をしている。お願いして協力してくれる会社の人も講師をやってくれるが、その日は私は後ろで聞きながら、その話を受けて自分が翌日どう料理するかを考えている。
この時に、高校時代によく聞き、よく演奏もした音楽が急に頭に蘇った。まるでその場で聞いているかのような鮮やかさで。これって、講義を聞く姿勢が続いていたからだろうか。
家についてから、思わずその短い1曲を取り出して聞いてみた。

聞きながら思う。「時間の流れが違う・・・」
1音に込められ、その時間に凝縮された経験の密度の、圧倒的な濃さ。情緒の奥を深く揺さぶりつつ、すべてを把握する澄明さが余すところなく意識を照らし行く。こういう経験は、しばらくしてないのではないか。
どう考えても、どんなに理由があるとしても、今の仕事優先の生活は、何か変だ。


花輪和一「刑務所の中」(アックスに連載されていた。青林工藝社刊)を読み終える。(漫画を一週間以上かけてやっと読み終える生活とは・・・とほほ)

なんだか、この人がムショの麦飯のうまさを描くと、例の平安漫画の「あぁ、おてんとうさまや水の尊いこと」といわんばかりの台詞がどんどん脳みそに展開されていって、怖い。淡々と描かれているが、そのディティールの濃さが、洗脳なみの威力をもって目に浸透してくるなぁ。

ところで、ここには作業所での生活が濃密に描写されていてすごいのだが、読みながら思い出したことがある。その昔、季刊「リコーダー」という雑誌が全音という音楽関係書出版社(ついでに、楽器の製作販売も)から出ていた。いわゆるクラシック音楽の中でも「古楽」の専門誌で、1970年代後半から1984年か1985年まで途切れることなく出ていた(廃刊ではなく休刊であったが、まぁ出なくなるのは同じこと)。そこに出ていた記事だ。

誰が書いたのかはっきり記憶していない(雑誌を今長期貸し出ししていて手許にない)のだが、刑務所の中でチェンバロが製作されたことがある。製作した人々も実際に弾けるわけではないし、ここは一つ、服役中にきちんと音を聞かせてやってほしい、という依頼がやってきた、という話。いってきたそうだ。チェンバロと、リコーダーのコンビで。

実際、滅多に入ることのない場所でコンサートを開くこと自体にけっこう緊張をしていたが、いざ演奏が始まるや、わぁっと歓声がして、シーンと聞き入っていたそうで、ひどく印象の残った・・・と書かれていたはずだ。その先を実は、よく覚えていない・・・あー、我ながらいい加減。でも、すごく驚いた記事だった。
確か、リコーダーかチェンバロのどっちかにひどく関心が集中していたようだった、という意味のことが書かれていたような。

ちなみに、リコーダーとはいっても、木製で今の教育楽器のリコーダーとは似ても似つかぬ 音を出すものです、はい。念のため。


●2000.08.21〜27 --- 持ち歩ける楽しい環境は?、本田雅人

疲れ気味で更新速度が落ちてます。1週間の間に考えたことをまとめて。


PowerBookを持ち歩くことが減り、どちらかというとシステムノートに書くことが増えている。

アイデアをまとめるには紙が適していると思う。フリーフォーマット、絵も文章も混在可能で、それぞれを有機的に結び付けることができる。紙の上で千年に渡って築き上げてきたことは、やはり今でも有効だ。

で、そういったアイデアの広がりから、集中してまとめあげる場合に、PowerBookは真価を発揮する。その過程で生まれる副産物を後で利用できる、といった副次的効果 も含めて。

問題は、この「紙とパソコンの間を埋めるもの」がまだないことかもしれない。出先でちょっと、紙に近く、でも電子データになっているもの。
ザウルスやPalmには絵と文章の混在がない。Newtonにはそれがあった。 私がNewtonを高く評価したのはこの点だ。ただし、Newtonにはまともなパソコンとのリンクを行う環境が、最後まで存在しなかった。
WindowsCEマシンは、Ink Writerというソフトウェアで絵と文章の混在が可能だ。しかし、WindowsCEという環境そのものが、デスクトップの延長上にあって、使いにくい。

私がNewtonに触れてショックだったのは、まったくMacintoshの作法を捨てていることだった。しかし、触れてすぐにわかった。
PowerBook 100を最初に所有して、持ち歩いてみて、私にはすぐにわかった。Macって、きちんとした机のあるところじゃないと、とても使いにくい。歩きながら、他に何かをしながら扱う環境じゃないのだ。それは、Macを真似たあまたの環境にも同様に言えることだ。
移動中ということは、いつもの「座って、安定した姿勢で扱える」前提が、完全に崩れ去っているということだ。だから、移動中に適した、しかもある程度は直観的に扱える作法を要求されるということでもある。Newtonは、マウス操作でいうドラッグをあまり使わず、 できるだけ単純な動作で様々なことを行えるように設計されていた。もっとも、すごく遅い、という最大の欠点があったが。

この点は、ザウルスやPalmなどは同様にいろいろ考えた跡がある。だが、小さなサイズに詰め込むために、Newtonの持っていたリッチな環境は捨てた。それは当然だろう、現時点では。
でも、もうそろそろほしいな。Javaが(KVMじゃなく、もうちょっと大きなセット)が載るくらいのマシンが出る時代なら、絵と文章が混在できて、まるで紙のように扱えながらも、独特の検索性能を持った環境が、作れるんじゃないかな。ちょっと楽観的かな。

そういうマシンが出たら、買うんだがなぁ。


本田雅人の新しいCDを買う。今度は「Real-Fusion」だそうな。

確かに、前作の「本田雅人 with PontaBOX」とは全然違う、かといって、いわゆるT-Square系のサウンドともちょいと違う、ちょっとファンク入った音。
ある意味、懐かしい音とも言えるのだが、本田雅人の抜けた後のT-Squareのような、ちょっと懐古調の音とは微妙に違う。そういうフュージョンを聞いて育った世代が、今自分の好きな音を出してみた、という感じかな。

ま、人によってはバカバカしい音、時代にあってない音、と感じるかもしれんな。私は素直でいいと思うけど。


本田雅人といえば・・・

EWI(ウィンドシンセのページを参照)を製造しているのは赤井電機の子会社、AKAI Proffessional。今は香港の会社が経営しているが・・・赤字が大きくて会社を更生せよ、という裁決が下ったとか。

一応支援があるので、事業自体はやめないそうだが・・・がんばってほしいっす。私らの世代には、赤井はオーディオの面 でも憧れだったんだよな。


土日はそういえば、高校生にとっては夏休み最後の土日のようで、ものすごい人手。みんな申し合わせたようにゆかたを着て、男の子達と待ち合わせて・・・楽しそうだね。でも、ゆかたのミニがたくさん歩いているのは、初めて見た。おじさんになったなぁ、と思う。(実際、そうだけどさ。)

あれ、みなさん、かっこいいとかかわいいとか思って、着てるんでしょうか?
いや、嫌味なんじゃなくて、どう思って着ているのかなぁ、と。着るからには当然、いいと思ってるんだろうけど、どういう風に感じているのか、聞いてみたい。

私はどう思ってるのか?健康的だけど、動きにくそうだなぁ、と。和服の下だけ取り去ったような感じも、ちょっとバランスがなぁ、と思うのだが、これは私もけっこう古臭いんだと思うよ。


●2000.08.19〜20 --- 今のモバイル

丸々2日間、もったいない時間を過ごしてしまった。

ちょっと今、全体に疲れていてやる気を出すためにいったん休養が必要と判断して、読みかけの洋書も、作成途上の京都日記も放り出して、ぷらぷらすることにした。そこまではよかったが、考えてはまってしまったことが出た。


どうあっても気になるのは最近の文章を書くための環境のことになってしまう。以前からいろいろ試してきた(Toshiba Libretto 50, Newton MessagePad 130/2100, Zaurusシリーズ, PowerBook 2400c, Panasonic Let'sNoteなど)のだが、最近、PowerBook G3の購入に伴い、環境がかなり大きく変化した。多少重いのを我慢すれば自宅環境をほぼ完全に持ち出せる。モバイルだからといって削ぎ落とす必要がある機能が、もうほとんどないのだ。

一方で、モバイル環境に関しては、昨年から今年にかけてあまりに大きな変化が起こった。i-modeの猛烈な普及によって、従来のPDAやミニノートに執着する人が減り始め、メールは携帯電話でとりあえず受けて、ゆっくり返信したい時にはパソコンを使える場所で返事を出す、というのが当たり前になってきた。電車の中では驚く程多くの人々がi-mode端末をパタパタやっている。

そういえば、ここ最近のミニノートパソコンは、VAIO C1シリーズの一人勝ちになり、東芝はLibrettoシリーズをトーンダウンさせているし、無理して1.5kg以下のノートパソコンを出すメーカ自体が減ってきた。

逆に、PDAはパソコンのデータを持ち出す使い方が増えてきて、接続性のよいPalm系が脚光を浴びている。住所録をPDAでちまちま作るのではなく、パソコンにメインの住所録があり、それを携帯電話やPDAと共有する形のほうがいいし、電話番号は電話に入れたほうが都合がいいに決まっている。

つまり、もはやPDAやミニノートは中途半端な存在になってきつつあるようなのだ(もちろん、それなりに用途はあるからまだ製品はだいぶ出ているし、売れてもいるようだけど)。

見回りながら、次の一手をどうしようか考えてしまった。


そして、私は日曜の夕方に「とりあえずi-modeの端末を1つ買ってみようか」と考えた。実は、自分のホームページを、自分のi-modeで見られるように実験してみようとも思ったりしたこともある(あと、リモートメールが使えるようになったことも大きかった)。

ところが、あるお店でいざ契約をしようとしたら、「あります」と言っていた端末の在庫を取り寄せられないことになった。契約をやめて、申込用紙を破棄してもらった。
一方で、とある店に入ったら今度は「NTT DoCoMoの契約受付のシステムが故障していて、今は新規も機種変更も受け付けられないそうだ。いつ復旧するかわからないので、後日取りに来ることはできるか」と聞かれた。やはり契約をやめて、申込用紙を破棄してもらった。

どうもタイミングが合わないらしい・・・

個人的にもう一つ、気になること。私の個人的なジンクスとして、ここまで気になる製品の場合、必要になる場合が多いのだが・・・何度考えても、今現在は直接必要ではないのだ。近い将来、必要になる可能性があるんだろうか。まぁ、折を見てまた契約に動こうとは思っているのだが。


●2000.08.18 --- びっくり

明け方、地震があって飛び起きる。いきなり下から突き上げたと思ったら、横揺れに変わって、しかし、なんだかぶるぶると震えるような嫌な感じの揺れ方だった。案の定、震源地は東京23区。

しかし、地震が多い。特にこの日は午後にも妙な揺れ方をしていた。こう、地面 全体が下からぶるぶる細かく振動するような。


●2000.08.16〜17 --- かるた

予定通り、今週はやはり早めに会社を出るようにしている。が、早く来ているので結局10時間以上働いている日ばかりになっている。

そうは言っても、一応遅めに開いている店では買い物ができるくらいの時刻であって、比較の上では早く帰っていることになるか。


今月の「新潮」には山田詠美の「MENU」が掲載されている。100枚。
「A2Z」は評判がよく、売れ行きも好調だった由。慶賀。

今回のはどうかな。最後が私には不服だった。が、ではどうしろというのだ、と問われると逆に困ってしまう。やっぱりこう書けてしまったんだろうか。実は、これを読んだ後でも、すぱっと頭がまとまっていない。(ちなみに、楽しく読みましたが。)


で、村上春樹がいろはがるたを出すそうだ。絵がデブ専漫画家の友沢ミミヨ。うぅむ、おいしいところを突いてくるなぁ。ただのかるたではなく、回文(palindrome)になっているということ。

昨年からの連作集と言い、今回のかるたと言い、今の村上春木の仕事は「誰かが書いたのだろうが、一体誰が書いたのかはっきりしない、でも、しっかりとした世界があって語られてしまうもの」を目指しているように思う。
言ってみれば、それは昔話や神話の世界であり、そこのことは書評でさんざん言われてきたようだが、かるたが来るとは思わなかった。

ところで、友沢ミミヨが一時期モーニングに書いていた「兄弟沼」って、単行本か何かに収録されているのでしょうか?


●2000.08.14〜15 --- うぅむ・・・

なんか調子がいまいち。2日連続で会社を早く出る。というか、今週は早く帰りたいから、と周囲に告知してしまった。まぁ、お盆休みが多いので、メールの数が少ないというのもあるが、こういう機会に会社でも無理のない状態にしておかないと、身体がつらい。うぅむ。


最近買ったCD。

どっちもだいぶ前に出たものだ。

B.C.J.(Bach Collegium Japan)のバッハ/カンタータ全集は、やや演奏が平板な感じがしてちょっとなぁ、と思うこともあるのだが、BWV147は有名な「主よ、人の望みよ喜びよ」が入っていて、このバンドの音とあっていたので買ってみた。いい感じ。というより、録音を続けるに連れて向上しているのではないかしら。
バッハのカンタータ全集に関しては、なんだかんだ言いつつ、私には1970年代から1980年代にかけて、アーノンクールとレオンハルト(今は二人とも大御所、特にアーノンクールの活躍の目覚ましさと言ったら!)の二人がTELDEC(旧Telefunken)レーベルに録音したものだ。今から見れば演奏技術も稚拙だし(古楽演奏の復興の目覚ましさはすごい)、今ならもっといい声楽陣だっているだろう。でも、この一連の録音の持つしんとした空気、それを逃すまいとする録音の両方があいまって、ドキュメントと言ってもいいような仕上がりになっている。もちろん全部を聞いたわけではないのだが、聞いたことのあるすべての録音から、それぞれの楽曲の一番大切なところは絶対に逃したくない、とでもいうべき空気が伝わってくるのはなぜなんだろう。
つまるところ、古楽演奏の勃興期、その分野の青春が伝わってくるのだろうか。

一方は最近ブリュッヘンを擁して意気高いGLOSSAレーベルより、ハーツェルツェットの吹くトラヴェルソ。Dornelはヴェルサイユで活躍した楽士。フランス王朝音楽独特の物憂気な空気が、緊張感を伴うわけでもないのに一杯に張り詰めて伝わってくる。
実は、これはドルネルの作曲した音楽に負うところが大きいと思う。そして、ほんとうにうまくなってきたハーツェルツェット。最近、彼は技術のなさ(もちろん、これはきちんとしたプロフェッショナルの音楽家の間で、という意味。こう言ってはなんだが、技術は日本の有田のほうが数段上だろう)とは別の領域で、大輪を広げつつあるように思える・・・買い被り過ぎ?いいです、バッハ/無伴奏チェロ組曲の編曲といい、最近の一連の録音に、私はけっこう心惹かれている。


ところで、最近、帰り道に猫を見かけない。いや、猫自体はいろいろ見かけるんだけどね。うぅむ。


●2000.08.13 --- 池袋

同居人がお友達とコミケに行く(初めてだそうな)というので、静かに一人でプラプラする。

つもりが、いつの間にかビックパソコン館などに身体が存在している。


マックの売り場では、販売店に並び始めたばかりのPowerMac G4 Cubeを見た。意外にも小さい・・・と感じたが、これはあくまで売り場でのこと。たぶん、家に持って帰るとそこそこの大きさになるはずだ。
それにしても、なんというか、非常に独特のデザインだ。私は美しいと思った。

あと、驚いたのは未だに続くVAIOブーム。私が見てる10分間に、VAIO C1シリーズ(ミニノートで、カメラ付きに、いわゆる「目玉VAIO」)が2台売れていった。本当に爆発的に売れてるんだなぁ。

で、私は何を見ていたのかというと、最近のモバイル機器はどうなっているか、ということ。
個人的には、i-modeやJ-Skyでメールの送受信は、ちょっと気に入らない。メールは文章だから、もうちょっとゆとりのあるもので扱いたい。ところが、あまりにi-modeなどでメールを受け取るのが普及してしまったせいか、キーボード付きの軽い端末などが非常に弱い勢力になってしまっている。
たとえば、パソコンならばミニノートという分野があり、そこで小さなボディにいかに見やすい液晶とキーボードを埋め込むか、という競争がある。ところが、キーボード付きのメール端末や文章入力端末は、価格を抑えるために液晶もチープだし、キーボードもリッチなものはない。
しかも非常に軽いわけではないし、ブラウザは貧弱だし、要するに結果的にえらく不便なんである。物欲の触手は動かなかった。(というか、そうそう動いてもらってはこちらも困るのだが。)

ところで、売れているPalmだが、私はPalmだったら、Zaurusをとる。センスが悪いのは先刻承知。なんだかんだ言いつつ、やはり総合的に見て便利。それに、私はもっと画面が大きくないと疲れる。つまり、Palmの一番の長所である「削ぎ落としたシンプルさ」が、私には仇になっているだけなんだが。
ただ、これは私が時間に余裕のない会社員をやっているからで、時間ができれば以前Newtonを使っていた時のように、Palmを使ってみるかもしれない。


池袋って、ヘンな街だ。なんで自分はあまり好きになれないのか、不思議に思う。でも、やはり好きになれない。かといって、新宿が好きかというと、そうでもないのだが。

池袋の持つ、こう、五反田の風俗街が大規模になったような雰囲気。それってずいぶんトンチンカンなたとえであることは承知の上で、どうにも落ち着かないのだ、私には。でも、池袋が好きな人も一杯いるしな。

一番の問題は、気持ちよい喫茶店やカフェが極端に少ないことかも。で、スターバックスが極端に流行る、と。


●2000.08.12 --- 花火とワインと

午前中、家事(というほどのことではないが)をしていたら、高校時代の友人から電話。今日の東京湾花火大会を見に行かないか、とお誘い。京都の大学に赴任して以来、一緒に花火を見に行く遊びもなくなったし、久々なので行くことにする。


ところが・・・待ち合わせ時間は、実は花火大会が始まってだいぶ経った時刻であり、やっと勝鬨橋に辿り着いて、五尺玉を見て、さぁ座ろうかといったところで、実は花火大会はお開きであった。わっはっは。どうも私は、彼が混ざったメンバになると、この手のボケを私か彼のどちらかがやるような。

で、ワインにはまっている彼の誘導で銀座で飲む(Aux Amis des Vins)。といっても、私は量はぜんぜんだめだから、なめるだけ。意外に料理がおいしいので、驚く。女性雑誌などで盛んに紹介されているお店なので、もっと単純な居酒屋料理だと思ってた。まぁ、内容はビストロ料理で、レストラン料理ではないけど、材料がしっかりしている。お酒を飲むにはかえっていい感じなのかも。

ただ、塩がやや強いように思う。最後に私は水をがぶ飲みしてしまった。

この店の3階は、夜は金持ちだらけになるそうだ。素人じゃ、確かに1本10万のボトルをぽんぽん開けられないしね。銀座で家賃払ってやっていくのはたいへんだし、ワイン・カーヴもあることだし。がんばっていただきたいものです。

調子に乗り、地下鉄終電を逃して、山の手で池袋まで辿り着いて(これも終電だが)から、タクシー帰宅・・・久々に快楽のみの1日。


それにしても、思考力が縮んでいる。いったん、息を吐いて吸わねば。


●2000.08.10〜11 --- 今月のYOUNG YOU、他

YOUNG YOUの今月号には、鴨居まさね「雲の上のキスケさん」、西村しのぶ「アルコール」の2本が掲載されている。ちょっとお得。この雑誌、もう読むのを止めるかと思っていた頃に、このへんの連載がノッテくるのだもんなぁ。
ちなみに、槙村さとるの対談は、柳美里が相手だ。代々木忠が対談相手だったことがあるけど、ああいう人が相手の場合は、一挙8〜10ページくらいとって、がばっと読ませてくれるとかしたほうがいいような。


最近、忙しさに対する気力が少し萎えてきている。会社の営業が弱体化していて、下手をうつと相当仕事のしわ寄せが出てきそうな感じ。正直、祈りたいくらい。

たっぷりした時間がほしいなぁ・・・で、中村真一郎の長いヤツとか、ピンチョンやパワーズなんかの再読とか、長い宗教音楽や交響曲を聞くとか・・・昨年の夏休みはいくらかはしたんだよ、こういうこと!密度が濃くて、ゆっくり流れて、無駄なようで確実に体力と気力が回復するような時間。


●2000.08.09 --- i-mode1千万人突破だって?

i-mode契約者が1千万人を突破したっていう。
めでたいなどとはまったく思わん。


電車の乗り込むと、扉が閉まる。動き出すと同時に呼び出し音。ケータイだ。数名が手を動かし、一人が通話を開始する。出した手を引っ込めず、そのままメールを読み始める者、数名。

急に思い立った。苦し気に顔を歪め、膝をつく。息を細く浅くする。そして、近くでメールを見ていた若い女性にやっとの思いで声を出す。
「す・・・すみません・・・あの、ペースメーカ、ぜぇ、使ってて・・・あの、切って・・・」
目を丸くした女性が、一瞬の躊躇もなく立ち上がった。電源を切るや、声をあげた。

「ちょっと、ここ、ケータイやばい、この人!」

女性の隣に座っていた中年のおばさんが席を立った。かけろという。若い女性はさらに「ケータイ、止めて」と叫んだ。想像以上の効果に驚きつつ、これは長時間は無理だ。
「あの・・・次で降りますから」
肩で息をする私に、おばさんと声をあげた女性は手をとって座らせた。

「ありがとう、もうだいじょうぶ」

力なく笑ってみせる。

その瞬間、若い男がつかつかと歩み寄ってきた。チャパツ、アクセサリじゃらじゃら。目前に立つ。その歩調と、視線の荒々しさに、おばさんは男を睨み返した。

「おい、おっさん、おれ、電源切ってねぇぞ」

演技はとまらない。自然に、ゆっくりと見上げる動作が湧き出る。が、呼吸の苦しさはとっさには出ないし、今からそんな態度をとったところで辻褄もクソもない。
そう思うや否や、みぞおちに猛烈な痛みが走った。

「うそつくんじゃねぇよ、いい大人がよぉ」

男の足が自分に食い込んだのを自覚したのは、その声とともに男が離れる時だった。全員の注目がこちらへ集まる。おばさんは男になんてことすんだとは言ったが、視線は私のほうを泳いでいる。

若い女性は私を覗いた。
ブレーキがかかり、ゆっくりホームへ滑り込む。流れるホームの柱が徐々にはっきり形を現わす。じっとりと脇に汗が流れ、背中が濡れる。駅が見えてから停止まで、こんなに長かったか。

「うそなんだね」

見下ろすおばさん。再び力なく笑う。息が苦しい、今頃きいてくる。今まさに止まらんとする列車の中を立ち上がり、扉に向って歩み出す。視線が集まる。扉にあと数歩でほんとに足が崩れる。視線がさらに集まる。幸い乗り込む客は少ない。腹を押さえつつ静かに扉から出る。


もちろん実話じゃないけどね。ケータイがずらりと並ぶと、やってみたくなることがある。


●2000.08.08 --- 食事

知人と約束があり、早めに仕事を終えて(これ自体、ほぼ強引に終えたのだが)、会いに出かける。しかし、会社から見れば早く出た日なんだが、私としては結局用事があって出かけるわけで、帰りはやはり残業時と同様の遅い帰宅である。


どうも身体が重いか。けっこうギリギリのところで生活を営んでいることに、いまさらながら、気付く。せめて食事だけでも・・・

実際のところ、厳しい職場では夕食を食べることは終電を約束するようなものになってしまうことがある。もちろん、そんな義理はないのだが、雰囲気というやつだ。
私はこういうことはいいことだと思わないし、自分の部下には正確に早く仕事を終わらせて、きちんと翌日の活力を残すように仕事をしようと言っている。しかし、その私は夕食をとらずに深夜までいたりする。これは単純に、そうしないと、夜の11時前に帰れないからだ(夜11時を過ぎることがフツーだったりする。自分だけでなく、人の仕事のチェックもするから)。

で、こうなると食事をろくにとれない。どうもそれが身体を蝕み始めているようだ。

対策をたてないと、と思いつつ、会社の近所にはまともな食事がない・・・


●2000.08.07 --- PowerBook G3 のリンゴマーク

オフ会にPowerBook G3を持っていったことがある。

本体を机に設置して、ACアダプターを取り出して接続した。
そして、それを見たある人が一言。
「やぁ、さすがアップル。デザインに凝るねぇ」
皮肉ではなかった。しばらく使っていて、液晶の蓋を開けていると、背面のリンゴマークが光っていることに気付いた。
「あぁ、光っているんだ、これ」

確かにインパクトはある。


ところで、私の同居人はこの光るリンゴマークを見て一言。
「なんで、逆さまにしなかったんだろ?」

蓋を閉めた時に、所有者側から見て正しい位置になるように、リンゴマークが入っている。逆に言うと、蓋を開けて対面している人にリンゴマークを見せているにもかかわらず、対面者はさかさまのリンゴマークを見せられていることになる。

この話をオフ会でしたら「それはぜひアップルに投書すべきだ、その通りだ」。

どう思いますかね?


●2000.08.5〜06 --- 暑いですね

8/5はちょっとしたオフ会。8/6は知人がイラスト展をやっていたのだが、8/4の業務の疲れがまったくとれず、行くのを取り止めてしまった。ごめんなさい、ゴローさん。


今年の暑さはなんというか、コタエル、という感じがする。空気が重くて、たいへん。呼吸が浅くならないようにするのに、意識しないといけない。

まだまだ暑いだろう。気をつけないと。


●2000.08.02〜04 --- 業務開始、グーグー

夏休みも終わり、会社に出てみたらメールが450通以上たまっていた。処理をするのに半日以上かかってしまった。


夏休みのどこかで読み進めたい洋書があったのだが、読み損ねた。旅行は仕方ないが、それ以外の空き時間などを、まったく有効活用できなかった。かといって他の本も読めたのかというと、そうでもないのが悲しい。

で、8/4に会社の公式行事のために早く帰ることができたので、マンガのほうに少し新しいものが。

  ●「おさんぽ大王 4」須藤真澄 ビームコミックス(アスキー系)
  ●「グーグーだって猫である」大島弓子 角川書店
  ●「なるたる 1〜5」鬼頭莫宏 アフタヌーンKC(講談社)

「なるたる」は連載当初から読んでいるが、急きょコミックスも買った。というより、「神戸在住 2」を買いに出てなかったため、つい衝動買い。

「グーグー・・・」は、楽しく哀しい。名前からしてヘンだなと思ったんだけど、やはりそうだった。サバのところは喫茶店で読んでいて、ぐっときてしまった。でも、「んるるんるる」はいいやね。幸せな音だ。「んるるんるる」。

こういうのを読むと「大島弓子はなんでこうアタリの猫をつかむんだろう」なんてことを思う人もいるのかもしれないですね。これはたぶん、大島弓子が優れた観察力を持って、飼い猫に接しているから出てくるんだよね。


最近、近所の猫だまりに、ちょっと新顔。小さなミケがいる。ちょっと情けない顔をしていて、大きい猫のいないところを選んでぽそっと座っていたりする。視線があうと、逃げないけど一応こっちをうかがっている。
この子はきっと、臆病だけど、それで命取りが少なくて、生き延びたクチだ。猫だまりにはずーずーしいネコが多い。無事に暮らしていけるといいけどね。

ちなみに、家の直近の道路にネコうんちが増えている。これは・・・無事に猫が育ってうれしいけど、地雷だな・・・仕方ないけど・・・


●2000.08.01 --- 純粋な夏休み

実験的にスタイルシートを使ってみている。でもこれ、MacのNetscape Navigatorだと、Ver.4でもうまく見えないみたいで、まだ悩んでいる。数日中に、元に戻すかもしれない。


京都旅行(書き終えたら、きちんとリンク貼ります)から帰ってきて、休息日に使った。そのまま会社に行くのはちょっと疲れそうなので。

純粋な夏休み、というばやい、単に休むというより、一人になる時間を持つという意味合いもある。人といるのは楽しいし、それもじゅうぶん必要なのだが、一人になる時間も非常に重要、というか、私のばやい、それがないと窒息状態になる。

で、久々に新宿界隈を歩いてみた。暑かったけど。

実は昨今のモバイル事情のあまりに変わりように、携帯電話を買ってみようか、でもあれでは確実に満足できないし、などと考えながらちょっとヨドバシカメラなどをのぞいてみた。でも、どうしても決心がつかない。なんでみんなそんなに即時に相手と連絡をとれることを前提にするの?メールは電話のように相手を縛らないという側面があったはずなのに、気がつくとみんながケータイでメールしてて、即時に返事がくることを求められている。
やっぱり、あたしはそういうのは、嫌だ。

長らく行ってなかった、PX-Storeに行ってみる。Newtonユーザで、Newtonをよく使っていた頃にはしばしば立ち寄ったが、ザウルスで実用性一点張りになって以来、足が遠のいていた。あまりにみんながi-modeだJ-Skyだというので、イヤになってのぞいてみた。
ここは相変わらず落ち着いて営業している。Palmと、Psionのキーボード付きPDAと、iMacと、その他便利なアクセサリ(文具的なもの)を取り揃えている。こういうの、落ち着くなぁ。
と思ったところで、自分が世の流れから取り残されるじじいになっていることを自覚。

とりあえず、PsionのPDAに関する解説書を2冊買って帰った。


家に帰ってから少し読んでみたが、やはりPsionは私が求めるものとは違うかもしれない。キーボードは喉から手が出るほどほしいのだが、日本語のメールやWebをどんどん扱えないのはかなり不便だろう。次のUniFEP 2からは日本語メールを扱えるそうだが、やはりWebも生命線である。というよりも、これくらいの大きさなら文章を打てるのだからWebの更新くらいしたいではないか!
日本の通信インフラにもちょっとあっていない。携帯電話やPHSと接続するPCMCIAカードは、外部アダプタになっていて大きい。また、ドライバがどれくらい用意されているか、わかりにくい。正式な日本語版が出ない限り、難しいのだろう。そして、日本ではNTTなどのキャリアブランドでないと、正式デビューとは言えないのだろうし。

かといって、私にはPalm系のPDAは画面が小さすぎるのだ。となると、やはりザウルス系に結局なってしまう。そろそろ、もっと楽しいものを使いたいんだがなぁ。


猫時間通信・目次へ戻る