EWI とは、Electronic WoodWind Instrument の略です。
アメリカのトランペット奏者で、大学で電子工学も学んだ Nyle Steiner は、ちまたに流行っているシンセサイザー・ サウンドを聞いて、自分でもそれをコントロールしたいと 考えました。
そこで、自作で金管楽器型の管体を作ってそこから信号を 取り出し、シンセサイザーを鍵盤より豊かにコントロールできる 楽器を作りました。これは
Steiner Horn
と呼ばれ、プロのミュージシャンの間に伝わって何人か使う 人が出てきました。特に木管型の管体はサックス奏者に人気が 出て、Micheal Brecker が Steps Ahead というフュージョン・ バンドで使用されてから、広く知られるようになってきました。
サンプラーS900シリーズを世界標準に育て上げた赤井電気は ここに目をつけて、Steiner と提携し、量産可能でかつ、より 安定した(手作りの管体は湿度に弱く、よく故障したそうです) 動作をする楽器を開発しました。発表にあたっては、かなり 前から情報が流れて心待ちにする人も多かったようです。
1986年に、原宿のホールで開かれた発表会は、一般ユーザーから プロの奏者まで混じって、M.Brecker の演奏する様子をかたずを 飲んで見入っていました。それまでの Lyricon を越える、新しい 電子管楽器の登場の瞬間でした。Breckerは本当にうまかったので、 ド肝を抜かれました。
主な特徴は、こうです。
- 7オクターブ以上に渡る、グランド・ピアノ並の音域
- タッチセンスでキーを使用しないため、異常な速運指が可能(キーの取り付けも可能)
- サックスやリコーダーによく似た運指で、替え指も豊富
- 高性能なブレス・センサーにより、息の量を信号検出
- 息により音質や音量をコントロールして、鍵盤より豊かな表情を獲得
- 管楽器なのに、外部MIDI機器によるプログラムされた和音演奏が可能
- アナログ音源で、非常に滑らかな音の変化
- デジタル機器も、アナログフィルターにかけて滑らかな音の変化が可能
私はよく使われるポピュラー音楽でなく、クラシックの演奏にも活用 していますが、決して冗談でなく、生楽器とは違う独特の効果が得られて 楽しいです。
ちなみに、私は赤井のまわしものではありません。
そういや、赤井電気は最近経営陣が変わったそうですが…
大丈夫でしょうかね。頑張ってほしいです。