洛西:太秦周辺

 

太秦

渡来人の系図を引く豪族、秦氏は平安京遷都以前から京都に住んでいたと伝えられています。奈良朝当時のハイテク産業、養蚕業に優れた彼らは聖徳太子とも縁が深く、推古朝の頃に広隆寺を建設し、平安京遷都とともに現在地に移ったといいます。広隆寺は現在に至るまで、当時の寺宝を国宝として伝えてきました。見どころ多く、これだけのために時間をとる価値はあります。

しかし、太秦は東映太秦映画村のある地として有名でもあります。オープンは日本映画全盛期を過ぎた1975年と、意外に新しい感があります。もちろん1935年頃より映画が最大の娯楽だった頃を支え続けた東映京都撮影所が母体。映画村としてさまざまなアトラクションやイベントが組まれています。

太秦へはバスよりも京福電車のほうが便利かもしれません。ややローカルな香りのする(東京でいうと世田谷区を走る田舎列車、小田急世田谷線に近い感じ)列車に乗り、太秦駅で降りれば広隆寺、映画村ともにすぐ。ちなみに、京福北野線(北野天満宮から帷子ノ辻に至る)で等持院、龍安寺、妙心寺、御室方面から行く場合は、帷子ノ辻で京福嵐山本線(四条大宮から帷子ノ辻を経て嵐山に至る)に乗り換えて、嵐山とは逆方向へ一駅。初めて行くと戸惑うこともあるので、念のため。

なお、JR山陰本線(嵯峨野線)の太秦駅は、京福の帷子ノ辻駅近くなので、こちらもご注意を。

太秦と嵐山の間

太秦から嵐山へ行く間には、京福の車折駅前にある車折神社、鹿王院駅前にある鹿王院があります。

車折神社は商売繁盛の神様として有名ですが、むしろ境内の芸能神社に芸能人がお参りすることのほうが最近は有名かもしれません。ここは不思議な伝説が多いのですが、どうも奈良から平安にかけて貴族の間に根強かったと見られる星辰信仰と関係があるのではないか、北斗七星を車に見立てているところと関係があるのだろうとする説が、吉野裕子氏によって提示されて以来、伝説好きの訪れる場所ともなっています。