2001年夏に廻った店

●ブション(Le Bouchon):ビストロ

到着直後のランチをとった。安くてうまくて、量もしっかり。典型的なフレンチ、それもビストロ料理。

ランチはメインを一品選び、他にサラダとパン。
少し疲れ気味だったのか、しっかりしたたんぱく質をとりたくなった。最近はめったに食べなくなった、牛の腹肉のステーキを頼んでみる。もちろん悪くはないのだが、日本人向けにアレンジされていないメニューのある店で、わざわざステーキを頼まなくても、とも思えてきた。
ツレが頼んだ鶏の白ワイン煮込みを一口放り込むと、あぁ、こちらのほうが身体にしみてくる! いや、隣の芝生が青いんじゃなくて、やはりフレンチはソースか煮込みだなぁと心底思えてしまい、複雑な気持ちになってくる。いや、ステーキもうまいんだから、そんなことは頭から追い払って、がふがふ食べていった。

店内はいつもながらフランス人が必ず複数組いる。ギャルソンが流暢に答えている。一瞬ここがどこかわからなくなる。エスプレッソを飲みながら、時々聞こえる会話と外の看板で、日本の京都だと思いなおす。
それじゃ京都にいる意味がないだろうというなかれ。こんな店、どこでもなかなか見つからないのだから。

●茶房長竹:喫茶、食事

初日の夕食をとった。小料理屋風の店構えを活かした茶房。一応は喫茶。ただし、軽い飲み、つまみ、食事と非常に広く楽しめる。
昼は喫茶、夜は軽く飲んでお茶で上がるというお客さんが多いようだ。

酒はまったく飲めない。そんな私にとって、先斗町でお茶と食事ができる店は救い主のようなものである。来るたびに寄らせていただく。
中国茶を功夫茶(クンフーチャ、中国でお茶をおいしく飲む作法)で飲めるほか、東西の紅茶、日本茶など、よいものばかりが揃っている。
またあんまんやわらびもち、あんみつなど、お茶によくあうデザートも多数。
御膳や丼ものも、みなおいしい。

この日はまず、御膳(魚、煮物、椀、ご飯、香の物のセット)で食事。さっぱりした味付けで、さらさらと食べてしまう。
続いてお茶でまったり。中国茶の東方美人を所望。極上の紅茶に似た味わいながら、涼しい喉ごし、ミントに似た香りが残る。何度飲んでもうまい。特に暑い日は、むしろ岩茶より元気が出るかもしれない。

飲んででき上がった客も、飲まずに香りを聞いている客も、ご主人と時々会話をかわしながら、とてもゆったりと過ごせる。

ごちそうさまでした。

●小川珈琲・三条店:喫茶店

滞在中の朝食をとった。いわゆる喫茶店であり、カフェとは色合いが異なる。

京都の朝食はイノダコーヒーが異常に有名。
もちろんおいしいのだが、宿から少し離れている。
今回はグルメ旅行ではないので、京阪三条に向かう途中にあるチェーン店を利用。

モーニングが550〜750円程度。トーストに卵とサラダ、コーヒー。ホットサンドにすれば少し値段が上がるという具合。
チェーン店らしい無難な味で、格別不平もなし。東京に住んでいると、喫茶店のモーニングは非常に少なくなっているので、こうしたチェーン店がやっていることに驚きを感じてしまう。

常連と思しき方々が、定席を陣取って新聞を読んでいるのも、いかにも街の喫茶店らしい。その一方で、関西弁を使わない観光客、海外の客などもやってくるのが、京阪三条近くらしくもある。

●device. cafe

device.というセレクトショップ併設のカフェ。二日目の夕方に訪れた。

セレクトショップは京都というより、代官山や原宿の裏側あたりを意識したような品揃え。服、靴、CDや鞄なども揃う。
二階のカフェも同様。少々フェミニンな雰囲気。

少なめの昼を補うように、ここでご飯となる。
私はエビしその山がけご飯と、コーヒーのセット。ツレはタコライスを注文。食事はカフェめしメニュー中心だ。
雰囲気通り、量も女性向き。小腹が減ったときには重宝しそう。

こんな店、確かにいままで少なかっただけに、繁華街では喜ばれそうだ。

[注]device.は2001年の記述の後に店舗を移動しており、寺町京極ではありません。御幸町通六角下ルにあります(2005年現在)。食事メニューなども変わっています。

●祇園松乃:鰻

三日目の昼食。

京都でわざわざ鰻.天ぷらを食べなくても、と思っていたため、ノーマークだった。南座の脇にある、そこそこの味の鰻屋だろうと思っていたくらいだった。

前菜とお重、そして赤だしと香の物がつく、せいろうなぎセットを軽い気持ちで頼んだ。
驚いた。ふわふわの卵と、ふっくらと焼き上がった鰻を、ご飯とともにせいろで蒸し上げる。関東風に蒸してから焼くスタイルの鰻は、たれも鰻もおいしい。
しかし、一番の驚きは、量だった。 とにかく多いのだ。がんばって食べきって、動きたくないくらいになってしまった。

あとで調べると、松乃は、花遊小路近くの江戸川などと並んで、京都の関東風鰻では有名な店であることがわかった。

おいしかったから、満足なんですけどね。
すみませんでした、出直してきます、という気分にもなってしまいました。


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