コーヒーカンタータ BWV.211

(または、「食えない娘を持った“おとっつぁん”の嘆き節」)



全部で10曲あるうち4曲をMIDIにしました。
歌詞はデデの超訳ですニャ?




1.レチタティーフ(語り手)

お静かに、おしゃべりせずに、
これから行われることを聞いてください。
さあシュレンドリアン氏が
娘のリースヒェンをつれてやって来ます。
彼はアライグマみたいにブツブツ言っています。
聞いてみましょう、娘が何をしたのか。



2.アリア(シュレンドリアン氏)

子供のことで、いろいろと面倒を
背負い込むのはやっかいなことよのぉ。
わしの娘リースヒェンに毎朝、
いつも言い聞かせていることは、
馬耳東風と聞き流される。



3.レチタティーフ

(シュレンドリアン)
おまえは聞き分けのない、しょうがない子だ。
いつになったらわしは、おまえにコーヒーを
止めさせることができるやら。
(リースヒェン)
お父さん、どうかそんなにうるさく言わないで、
わたしが日に三度、コーヒーを
飲むのがいけないのなら、
苦しくてわたしは、まるで
干からびた羊の焼き肉みたいになっちゃうわ。



4.アリア(リースヒェン)

ああ、なんてコーヒーはおいしいんでしょう。
千回のキスよりもステキ、
ムスカート酒よりも甘い、
わたしにはコーヒーがなくちゃならないんだわ。
そして、わたしを喜ばせたいって言うんだったら、
コーヒーをいれてちょうだい。

「親の意見と冷や酒だけは、あとでじっくり効いてくる」
なんてこと知らないんでしょう、このバカ娘。
いい気になって口笛を吹き始めました。




5.レチタティーフ

(シュレンドリアン)
おまえがコーヒーを止めないってんなら、
結婚式もさせないし、
散歩にも行かせねぇぞ。
(リースヒェン)
あら、いいわよ。
ただ、コーヒーがあれば最高。
(シュレンドリアン)
さてさて、小猿を飼っているようなもんだわい。
流行の裾の広いスカートを
おまえにあつらえてやるのはよそう。
(リースヒェン)
いいわよ。
(シュレンドリアン)
おまえは窓に近寄ったり、
外を通る人を見たりするのもダメだ。
(リースヒェン)
べつに〜、そんなことしたかないわ。
とにかくコーヒーだけは飲むんだからね。
(シュレンドリアン)
おまえの帽子に付ける
金や銀のリボンも
わしは買ってやらんからな。
(リースヒェン)
はい、はい、オッケーよ〜。でもわたしの楽しみだけは奪わないで。
(シュレンドリアン)
おまえは聞き分けのない子だ、リースヒェン、
それでは、わしの言ったものは、何もいらないんだな。



6.アリア(シュレンドリアン)

女の子というものは、強情なものよの〜
納得させるのは、えれぇてーへんだ。
だが、だれでもうまいことを思いつくものだ。
そこでようやく事がはかどるという寸法じゃ。



7.レチタティーフ

(シュレンドリアン)
さあ、お父さんのいうことを聞きなさい。
(リースヒェン)
何でも聞くわ。でもコーヒーだけはダメよ。
(シュレンドリアン)
さあさあ、それではおまえは
結婚相手が見つからなくてもいいんだな。
(リースヒェン)
そう?お父さん、いい男は見つかんないかなぁ!
(シュレンドリアン)
ああ、絶対だ。見つかりっこないね。
(リースヒェン)
わたしがコーヒーを飲んでいるうちはダメ?
それじゃ、コーヒーは止めるわ。
お父さまぁ、聞いて。あたい、コーヒー止めるからさぁ。
(シュレンドリアン)
それならいいお婿さんが見つかるぞ。



8.アリア(リースヒェン)

今日のうちに、お父さん
必ず見つけてください。
すばらしい男の人を。ぜったい私の
タイプの人を。ね、ね。
わたしが、とうとうコーヒーを止めて、
夜やすむ前に
ステキな男の人が
見つかるんだったら、いいじゃ〜〜ん。

おやまあ、このバカ娘、いい男が見つかる
となったら、すっかり調子に乗って、
今度はラッパを吹き始めました。




9.レチタティーフ(語り手)

さて年老いたシュレンドリアン氏は婿探しにお出かけ。
いったい、彼は娘のリースヒェンの婿を
見つけることができるんでしょうか。
しかしリースヒェンは、ぼそっと、つぶやいた。
わたしがコーヒーを欲しいときには
いつでも飲んでいいと
わたしに約束し、婚姻誓約書にも
書き加えなけりゃ、
誰もわたしの夫にはなれない。



10.三重唱

猫はネズミを見逃しはしない、
娘たちはコーヒーを手放さない。
母親はコーヒーがお気に入り、
お祖母さんもやっぱり、コーヒーを飲んだんだ。
誰が娘を責められよう。




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