1 次頁へゆくまへがきへ戻る       *                                              多胡の浦は布勢水海の入江 地図参照                だ小石も美しい珠のやうに私には見える  藤波が影を映してゐる湖水は底まで澄んでゐるので 沈ん                                                     しづく石をも珠とぞ我が見る 一九|四一九九               藤なみの影成す海の底清み                           懐ひを述べて作る歌      船を多胡の浦に泊てて 藤の花を望み見て       *                                             る貴人たちは 何を手折つて髪に挿さうといふのだらう  春日野に咲いてゐた藤の花は散つてしまつたのに 狩をす                                                    御狩の人の折りてかざさむ 十|一九七四&家持集                            春日野の藤は散りにて何をかも                           花を詠む                 *                                           家持秀歌選