2 つづきを読むまへがきへ戻る       *                                             万代に かくしもがもと  万代までもかくあれと          天地と いや遠長に    天地と共にとこしへに          梓弓 靫取り負ひて    梓弓を靫に背負つて          剣大刀 腰に取り佩き   刀剣を腰に佩き          丈夫の 心振り起こし   ますらをの勇猛心を振り起こし          世の中は かくのみならし 現世とはかうしたものでしかないらしい           咲く花も 移ろひにけり  咲いてゐた桜の花も散り失せてしまつた           活道山 木立の繁に    活道山は ぎつしりと生える木立に          御心を めし明らめし   景色に堪能なさつた    大御馬の 口抑へ駐め   お乗りの馬の 口を手綱で抑へ停めては          夕狩に 鶉雉踏み立て   夕狩には 鶉や雉を飛び立たせ          朝狩に 鹿猪踏み起こし  朝狩には 草叢から鹿や猪を追ひ立て          召し集へ 率もひたまひ  呼び集め 率ゐられて          もののふの 八十供の男を 宮仕への男たちを大勢          吾が大君 皇子の尊    わが主君 皇子さまが          かけまくも あやに恐こし 口にするのも 大変畏れ多い