3 次コオナアへゆくまへがきへ戻る       *                                                                 をはり                                                       であらうと推測されます なほこの大伴宿禰書持 風景に触れることに 生命力が活性化される効験を認めてゐた為 てやれなかつた後悔を言つてゐるのではなく おそらくさうした 荒磯の波も見せましものをと詠むのは 単に物珍しい景色を見せ き出た大岩も神の顕現として神聖視されました 死んだ弟に対し と言ふ 古く山上の大岩が崇敬の対象であつたやうに 海上に突 *注 荒磯は現 石の意で 海中や海岸に露頭してゐる岩のこと          磯に寄せる波を 見せてやつただろうに *訳 こんなことにならうと前から知つてゐたなら 越の海の荒                               家持の 遥かに弟の喪を聞き感傷して作る     右は天平十八年秋九月二十五日に 越中守大伴宿禰                              越の海の荒磯の波も見せましものを 一七|三九五九           かからむとかねて知りせば       *                                             に 立ちたなびく とあります *注 この白雲は火葬の煙を言ふ 長歌には 山の木末に 白雲 ゐたと聞いて 何ともやりきれない *訳 つつがなく暮らせよと言つたのに 白雲になつて棚引いて                              白雲に立ちたなびくと聞けば悲しも 一七|三九五八           真幸くと言ひてしものを   まさき     長逝せる弟を哀しび傷む歌 長歌を略す