1  次頁へゆくまへがきへ戻る       *                                                                       石畳のことを言ふさうです *注 題詞のは 雨を受けるために溝をつけた 軒先の敷石や                       の花が咲いたことだ *訳 秋になつたら花を見て賞美なさいと妻が植ゑた 庭先の                                 屋戸の撫子咲きにけるかも 三|四六四                            秋さらば見つつしのへと妹が植ゑし                         又家持 砌のほとりの撫子の花を見て作る歌       *                             右の歌以下五首は悲傷亡妾歌の連作十三首から抜粋したものです 語で嫡妻以外の妻のこと 亡妾みまかりしをみなめと訓むかといふ とは当時の法律用 に訪れたので 今よりは秋風寒くと言つてゐるのです *注 題詞の十一年は天平十一年 この年の立秋は夏六月のうち                       りどうして長い夜を寝ればいいのだらう    *訳 これから先 秋風が寒く吹く季節にならうといふのに 独                                 如何にか独り長き夜を寝む 三|四六二                            今よりは秋風寒く吹きなむを                             十一年夏六月 亡妾を悲しび傷みて作る歌          *                                         家持秀歌選 哀傷歌