3 次コオナアへゆくまへがきへ戻る       *                                                                 をはり                                                                                秋風は日に異に吹きぬ高円の野辺の秋萩散らまく惜しも  万葉集巻十には 次のやうなよく似た歌がある       高砂は播磨国加古川の河口      のが惜しいことよ       秋風は夜毎につのる 高砂の丘の上の萩が散つてしまふ                                 尾上の萩の散らまく惜しも 新続古今集                            秋風は夜ごとに吹きぬ高砂の       *                                             裏返して風が吹く そんな秋がやつて来たのだ  神の降臨したまふ山に生えてゐる 葛のつる その葉を                                裏吹きかへす秋は来にけり 新古今集                          神奈備の三室の山の葛かづら  かむなび             題知らず                         *                                             やうになると あなたが恋しくてなりません  かうして山のほとりに住んで 秋風が日に日に寒く吹く                                日にけに吹けば妹をしぞ思ふ 八|一六三二                            あしひきの山辺に居りて秋風の                              坂上大嬢に贈る歌       久迩京より奈良の宅に留まれる            *                    三 秋風