3 次コオナアへゆくまへがきへ戻る       *                                                                 をはり                                                      ことさらに衣は摺らじ女郎花佐紀野の萩ににほひて居らむ  万葉巻十の歌は次の通り                            く花 あの女郎花の色に 生地が美しく染まるのを見にゆかう  わざわざ着物に色を摺り付けることはすまい 嵯峨野に咲                               嵯峨野の花ににほひてを見む 家持集&十|二一〇七                       こと更に衣は摺らじ女郎花       *                                                                       れるパワアと考へられた の事物と照応するさまを言ふ 色彩はその物体の内部から発さ  上代のにほふは 明るい色彩が空間にまで染み出し 外界                           が 花びらに置いた白露が散つてしまふのは惜しいことだ   手に折り取つてみれば 袖さへ美しく染める女郎花である                               その白露の散らまく惜しも 家持集&十|二一一五               手に折れば袖さへにほふ女郎花                              花を詠む