1  次頁へゆくまへがきへ戻る       *                                              原文には信濃の下に小字で浜名也とある 所在未詳 い春の日でも 一刻として都の家族を忘れることなどありはしな  越の海に沿つた信濃の浜を一日歩き暮らしながら こんな永                                  長き春日も忘れて思へや 十七|四〇二〇           越の海の信濃の浜をゆき暮らし        *                                             俗語に東風をあゆのかぜと謂へり とある 奈呉地図参照  原文には東風の下に小字で越俗語東風謂之安由乃可是也 越の の小舟が 高波に隠れながら漕いで行くのが見える  東風がひどく吹いてゐるらしい 奈呉の江で釣りをする海人                                  釣する小舟漕ぎ隠る見ゆ 十七|四〇十七                            あゆの風いたく吹くらし奈呉の海人の                *                             る波を見に      馬を並べてさあ行きませう 渋谿の崎の清らかな磯辺に寄せ                                  清き磯みに寄する波見に 十七|三九五四           馬なめていざうちゆかな渋谿の       *                                         家持秀歌選