Kandata補完計画による Kandata 1.7.20001209 から 1.8.20010203 への補完状況
Kandata 1.7.1までの道
JIS X 0213なTrueTypeフォントであるKandataは、wakabaさんが開発されたフォントです。ラテン文字等については、Yannis Haralambousさん及びTereza Tranakaさんによる『lt1-r-omega-serif.ttf』が利用され、またそれ以外のJIS X 0208な部分については、石川睦さんによってTrueType化された、いわゆる『渡辺明朝』が利用されており、残りをwakabaさんが製作されました。
このKandataはMS Windowsフォーマットのフォントですが、富田さんによって変換されたApple Macintoshフォーマットのものも配付されています。
過去の補完状況
今回の補完状況
まずはじめに、第1・第2水準の漢字(以下「Watanabe明朝」)と第3・第4水準の漢字(以下「Wakaba明朝」)の間に色々な意味でレベルの違いがあることの不満を解消したかったことや、複数の人々の間での共同作業をやりやすいようにしたいと考えたことに関わる、次の大きな修正を行ないました。
- EMスクエアを64×64の格子に区切って考えることとし、ベースラインを下から10本目のところに設定 (TrueTypeフォントファイル中のFUnitは1024のままだが、仮想的に64とする)。
- その上で漢字の基本実ボディを56×56とすることに決定。修正が必要と思われる漢字については、おおむね、縦画を4単位、横画を2単位分の太さで表現すればよい(画数が大きい文字の太さ調整について、どのようにどの程度修正すればキレイかというのは今後の課題)。
- 以上に伴い、「Watanabe明朝」を107%程度に拡大し、更にEMスクエアの中央に寄るよう補正。
- 以上に伴い、「Wakaba明朝」を96%程度に縮小した上で若干太らせ、更にEMスクエアの中央に寄るよう補正。
次に、個人的な動機により1.7.1のものを排除したかった両仮名及びラテン文字について、次のように扱いました。
- すべての片仮名を少し小さめにし、また前回小さくしすぎていた小書きカナの大きさを標準的と思われるサイズに拡大。
- X0201の片仮名を削除。
- すべての平仮名を新作データに差し換え。全般に、縦に組んでも横に組んでももっとまっすぐ揃って見えるように修正が必要です。また、少し小さくし微妙に細くすべきだと思われます。
- X0201のA-Z、a-zを、新作データに差し換え。この部分はプロポーショナルな文字幅情報を持たせてありますが、ツメすぎの状態です。2バイトなラテン文字の元としてよい字形であると思われるかどうかという問いかけの意味で今回のフォントに含めてあります。
更に、“明朝体のデザインというものに関する私(たち)の感覚を強く支配していると思われる、印刷文字を通じた読書習慣によって刷り込まれた規範に照らして、ちょっと異形であるような文字”の修正に手を染めることとしました。今回は、次の修正内容となりました。
- 「Wakaba明朝」の、糸へん。
- 「Wakaba明朝」の、言へん。
- 「Wakaba明朝」の、示へん(部首そのものである、「ネ」のような形のもの)。
- 「Wakaba明朝」の、衣へん。
- 「Wakaba明朝」の、「立」。
- 「Wakaba明朝」の、「穴」。
- 「Wakaba明朝」の、ウかんむり。
- 「Wakaba明朝」の、なべぶた。
- 「Watanabe明朝」と「Wakaba明朝」の、雨かんむり(「Watanabe明朝」が異形だったわけではなく、「Wakaba明朝」を修正するついでに置き換えました)。
- 「Wakaba明朝」の、麻だれ。
- 「Wakaba明朝」の、病だれ。
以上は、大半が部首を成している部分字体の一部を修正したものですが「Wakaba明朝」の衣へんは部首全体のバランスを取り直し、また大半の文字の部首と旁のバランスを修正しました。雨かんむりの文字等には、全体を新作データに置き換えたものが幾つかあります。部首ではなく部分字体として上記を含むものについては、未着手です。
最後に、次の内容の修正を行ないました。
- 1-91-22 (「蒋」の旧字体)の左はじの点々を“カックンカックン”に。
- 2-83-83(土の下に米)のバランスを取る。
- 1-1-91の白丸を新作。
- 1-12-33以降の丸つきアルファベットについて、今回のフォントのX0201部分に用いたa-zを利用し、各グリフを中心に寄るように配置した上、1-1-91で囲う。
内田明
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