何を見ているかだって? オーケー、じゃ今まで僕たちは何を見てきだんだい?
naucon'99で、ふと思いついた話です。
僕たちは、いちファンとして宮崎映画(広くは宮崎駿関連作品)を見続けて来たはずです。そして人生がゆるゆると変わっていた人も多いことでしょう。
来年2000年にもなることですし(関係ないけど)、今まで僕たちに影響を与え続けてきてくれた作品達への恩返しの意味も含めて(本当か?)、ある程度しっかりとしたレポートを、制作者側へフィードバックする仕組みを作ったら面白いのではないかと。「我々は見ている」とはそういう話です。
きっかけはコレ。(※編注:実際にはここに「日経産業新聞(1999年9月17日)」の「スタジオジブリ『となりの山田くん』不入り」と題された記事の引用が入ります。『となりの山田くん』の事実上の興行失敗を「初の``挫折''原点回帰促す」というサブタイトルで分析がされています)
ひどい話じゃないですが、ジブリの挫折だなんて、こんな記事読みたくはなかった。記事の内容はデータの裏打ちと共に、挫折への道が事細かに書いてあるわけですが、徳間、松竹、博報堂、という大御所が名を連ねていて、なぜこんなことになってしまったのか、私は憤りを感じました。
記事についての詳細は、虫眼鏡で見れば見えると思いますので(※編注:引用原文記事をさしています)割愛しますが、個人的には、今回の悲劇は「もののけ」のヒットで盲目になってしまったとはいえ、作品に応じたプロモーションを行えなかった広告宣伝部隊の責任が一番重いと感じています。
``あの''内容のスターウォーズは、配収80億(日経産業掲載の予測値)という数字が出ています。内容で勝負したら「ガンダム」の方が遥かに面白いという評価さえある``あの''スターウォーズが、です。
映画において、配給収入を大きく左右するのは内容の優劣もさることながら、プロモーションの役割は大きいのです。ところが、「もののけ」と「山田くん」は6億5千万でほぼ同じ広告費がかけられているにも関わらず、配収が制作費にまったく追いつかない「山田くん」の広告宣伝部隊は、いったい何を考えていたのでしょうか?
僕たちファンの目からすれば、ジブリのブランドそのものが危うい土台の上にあることは百も承知なはずです。おまけにフルデジタル作画が映画館に足を運んでもらうための役には立たないことも分かり切っています。そんなことより、つぼを得たTV特番や、バラエティでの露出、CM、的確なターゲット対象、これがある程度見極められれば、少なくとも倍は入ったのではないかと、素人考えながら、思うわけです。(その点「もののけ姫」は見極めていたと言わざるを得ないでしょう)
とはいえ、実は私は「となりの山田くん」見ていないんです。ひどい話ですよね。見てもない映画の宣伝に文句をつけるだけつけて。でも、私は宮崎ファンでありジブリファンでもあるんです。ですが映画館に足を運ばなかった。忙しいせいもあったけど、そそられる宣伝が無いということがこんなにも影響するものかと、自分自身驚いています。
映画の失敗は、「企画が悪い」の一言で終わってしまいがちですが、ほんとうはそんじゃないんです。どんなに×××な映画であっても、プロモーションは命がけでやって、観客をだましてでも採算を合わせなくちゃならないんです。だから×××な○○○でさえ、大売れに売れたりするんです。
さて次なる「千と千尋の神隠し」は、博報堂に代わり電通が宣伝を取り仕切ります。どうか気持ちよくだましてくれることを願うばかりです。
We observe(我々は見ている)については、HP、ML上で話を進めています。興味 のある方はご連絡下さいませ。