ナウシカの幸せ それは生命(いのち)の幸せ

ジジ(vh7f-ymmt@asahi-net.or.jp)
Illustrated by たけしのたけし


先日、とある人と酒を飲んだ。その人は杯を片手にしみじみとつぶやく。

「酒がうもうて、魚がうもうて、水の豊かなら、それが幸せばい」(うもうて=おいしくて)

映画『柳川掘割物語』の広松伝氏の言葉である。 かつて、姫さまはこうおっしゃった。

「わたし、生きるの好きよ!」

かたやわたしの父親ぐらいのおじさんである。かたや姫君である。しかし、この二つの言葉こそ、すごくピュアに幸せを語っているのではないだろうか?

水は命を生み、命を育む。水豊かなるは、命の幸せなのだ。それはナウシカの世界でも共通のことだ。

生命が生命として力強く 「生きること」 それこそが幸せ。

一個人の幸せと、その周囲を取り巻く生き物たち全部の幸せを、大きく包み込んでごく当たり前のこととして考える。かつて宮崎さんが注目した、このおじさんは、姫さまと同じ目をして語ってくれた。「そうだ、やっぱりこれなんだ!」
ナウシカの幸せとは、やはり生命の幸せに他ならない。生命のしあわせを感じる瞬間、それはすごく単純でさりげない。「肌に風を感じたとき」風の谷の人なら、やはりそうではないだろうか? 風は谷を守り水を守る。水は生命を育む。風と水の中で生命がきらめく。
姫さまを心から慕う者として切に願う。丘に上って風を感じたときの幸せ、その幸せがいつまでも続きますように。


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