”墓所の庭園の主  直撃インタビュー”
「ナウシカは、ずっと前から墓所の主を知っていた?」

☆あまの(WAG06921@pcvan.or.jp)


【アマシカ】 宜しく御願いします、庭園の主さん。さて「風の谷のナウシカ」の連載も終結し、悪役?で残されてしまったのも貴方だけとなってしまいましたね。今日は、今は亡き墓所の最後の知識、狂暴な旧人類を、清浄な自然との調和環境に再適応させる救世思想を本邦初公開して頂けるそうですが・・

【庭園の主】 今日はその思想を公開する前に、まず、旧世界の愛と憎しみの葛藤に汚染された漫画「風の谷のナウシカ」に呪縛されたままの全国のファンの心を解き放つ必要があると思ってね。ナウシカ終結以来の永い失望と迷いの時は過ぎ去り、ナウシカファンはおだやかな種族として、悪役さえ登場しなくなった現在の清浄な宮崎アニメワールドの一部となることだろう。彼らにとってもっとも大切なものは「耳をすませば」に示されたごとく音楽と詩とになろう。

【アマシカ】 ははん、「神」という訳ですね。(笑)(ナウシカがここに居ないので安心しているんだな、傲慢なオジさんめ!)では、お話し伺いましょうか・・

【庭園の主】 まずは究極奥義、「墓所の主・庭園の主・王蟲の三位一体論」から解き明かそう。

【アマシカ】 ええっ、、あなた方が三位一体ですって!!

【庭園の主】 まず、世界の支配者・管理者が、常に宮崎駿によって描かれた墓所の主の様に地下で汚物と肉腫にまみれながらも己の地位を守る為の陰謀を練っているのだ、などという思い込みだけは御免こうむりたいね。実の所 墓所の主の意識は、昼間は庭園の私の肉体の中に在り旧世界の生物に囲まれ、音楽と詩とを愛するくつろいだ生活を送っていたのだよ。そして夜は、あの墓所に帰り、退屈な連中に囲まれ憂鬱な神託をくだし、ごく時たま気晴らしに血気盛んな来訪者のお相手をしていたという訳だ・・ そう、我々は王蟲の如く一つの意識体だったのだ。
 これで、墓所で道化に乗り移った墓所の主の意識体の顔が私と瓜二つであった事、また、私が大本の管理者であるはずの墓所の主に、危険なナウシカの訪問を特に連絡しなかった(墓所の主は待っていたというそぶりを見せていない)事の説明がつくだろう。
 そして、そなたたちも見てきたように、墓所の主は地球浄化システムの「メイン・バイオ・コンピューター」 要するに脳味噌だったのだ。ならば、その浄化装置「腐海」を管理し守る王蟲とは何者なのか? 彼らは脳につながる末梢神経だったのだ、すなわち墓所の主の”一部分”なのだよ。
 確かに王蟲にも独自の意識は存在する。 森の同胞を殺され「怒りに我を忘れる王蟲」、またナウシカの言う「王蟲のいたわりと友愛」 しかし、その表層意識の奥底には墓所の主に通じる深層意識があり、当時のあらゆる技術と思想を持ってしても自然との共生に失敗し、空しく滅びた旧世界人類の「決して癒されぬ虚無感」が重く横たわっていたのだ。王蟲の心の深淵を垣間見る時、人の脆い心は砕かれてしまうという記述が有ったと思うが、これはそのとき人は、墓所の主の虚無の苦悩の深淵を覗き込んでしまうからなのだ。

【アマシカ】 馬鹿なっ! ナウシカは幼い頃から王蟲の子等と心を通わせてきたはずです。彼女は王蟲の心の中で、仰ぎ見る大木からの木漏れ日、爽やかな風が吹きぬける金色の草原といった美しい心象風景を幾度も見てきたはずだ。

【庭園の主】 そうだ、しかしそれもまた墓所の主の意識の一部分だったのだとしたら・・
 そして、ナウシカはずっと前から墓所の主を知っていたのだよ。。彼女は幼い頃から王蟲との心の交流を通して墓所の主の心の一端に触れていたのだ。
 このことによって始めて、ナムリスが指摘(「弟のでっちあげた教義とそっくりだな」)した、初期ミラルパとナウシカとの思想の奇妙な一致、「巨神兵もヒドラも来た所へ帰す 人間の心の闇ではない もっと深く遠い そなたの弟もそこへ帰った 王蟲達も」も、無理なく説明が付くはずだ。また、ナウシカは何故巨神兵が飛べる事や、オーマと言う名前、そして墓所の主の居場所(「この下だ・・」)を知っていたのか?  ナウシカは予言されていた使徒だからか? 盲信的な宗教を最も忌み嫌う社会主義者の宮崎駿がそんな安易な設定をするだろうか?  否!
 ナウシカは、意識にも昇らぬような深いレベルでの墓所の主との心の接触の中でそれらの知恵を幼い頃から授かっていたのだ。 墓所の主はナウシカの試練の人生への魂の導き手、精神的な父とさえ言える存在だったのだよ。彼女の、母から愛されなかったという感覚以上に、虚無感と失意に蝕まれる母を助けられなかったということへの悔やみ。あの時代の底無しの虚無への洞察の深さが、彼女と墓所の主とを深く結び付けたのだ。。

【アマシカ】 まさか・・ そんな、馬鹿な・・   心がはじける・・・・
 セルム 力を下さい    挫けぬように・・

【森の人】 庭園の主・・ よくできたキャラクターだ、、
 宮崎駿の影の人格・・   読者のナウシカ神格化を阻止する不死の番人

【アマシカ】 ・・・セルム!?   影!?  あの人が・・

【森の人】 庭園の主よ・・ 墓所の、死体を餌にしてまで生き永らえようとするおぞましい姿。 あの実態こそあなた方の真の姿を写していたのではないか?

【庭園の主】 ふふっ・・ あれこそ正に、そなたたちが愛してやまぬ母なる自然の「死と再生」と称される有機物再利用システムではないのかね?
 そなた達はとっくに気付いているはずだ、地球上の生命の一体感・母なる地球生命体「ガイア」の思想が綺麗事ではないことを・・
 宮崎駿が、ナウシカをして幾度も「私達が穢れそのものだとしても・・」と言わしめた様に、人類は母なる地球を蝕む「癌細胞」であるのかも知れないということを・・・
 そして、人類が自らの高度社会という理想環境を、極限まで拡大するという役割を終えた時は、母なる地球と共に亡びる時だとも・・・・

【アマシカ】 共に亡びる・・・・!?

【庭園の主】 そなたは知っていよう。この人類が、母なる自然環境を破壊してしまう衝動の本当の動機を・・ まだ天土が清浄だった頃に生まれた生き物が、こんないびつな人口環境の中で安住できるはずがない。。

【アマシカ】 では、私達は母なる自然を破壊せずには存在理由の無い生き物だと・・  もっとその話を聴かせて下さい!!  永い間の疑問でした。
 人類の所業を自然破壊と、自然との共生とに分けてしまっては何も見えないのではないかと・・ 母なる自然との共生に私達が心底憧れても、理解しがたい開拓衝動が沸き上がる。あなたは人類は素からそうだと言いました。人間の愚かさゆえの環境破壊ではなく、母なる自然から生み出された時から備わった「母親」への攻撃衝動なのですね?

【庭園の主】 やれやれ、かしこい客にちょっと不用意だったか・・ スーウ・・

【アマシカ】 今は全てがはっきり見える。  世界の隠された意図・・
 幾つもの種を生み出しては自らの都合で滅ぼしてきた理不尽な母なる地球に対する無力な生命の側からの「異議申し立て」としての人類の存在・・ その恐ろしい事実を直視できぬ限り、人類の自然破壊衝動は留まることがないのです。
 人類もまた母から愛されずに何度も葬り去られかけた無力な猿の奇形種だったのです。人間がいつの日にか、その悪行を母なる自然から「許される」日が来ても、同時に、過去の抑圧された記憶として、母なる地球環境が私達の種に対して行なってきた冷たい仕打ちを遂に「許すことができた」という内的な体験を持てない限り我々はこの自然破壊と言う業苦から解き放たれることはないのでしょう・・

【森の人】 人間の自然破壊衝動は、母なる地球の意志でもあるというのですか!

【アマシカ】 そう考えるとすべてが判ってきます。。
 母なる地球もまた、個々の生命の痛みを感じ苦しんできたのです。 人類の誕生それ自体が、母なる地球の自殺願望の産物だったのかもしれない。。
 人間の母なるものへの屈折した思いは種の原体験にまで遡ります。 宮崎監督はその恐るべき事実に気付き、その知恵を母から愛されなかったヒロインとしてナウシカの物語に託したのです。(自分が生き残るための身代りとして多くの子供を亡くしてきたナウシカの母親 ・・母なるものへの愛憎の葛藤としてのマザコン)

 ・・・でも、なぜ貴方は私達に試練を課し、自分の力で真理を見出すように仕向けるのですか・・?  でももうムダです・・  真実を語ってください。

【庭園の主】 ・・・・・ しっ真実を語れか・・  ・・どの真実をだね?

 ( もうスペースがなかった、著者は手短にまとめ上げる事にした・・ )

 この一文は、旧ナウシカファンの為の墓標であり、同時に新しい宮崎駿世界への希望なのだ。そして、清浄な宮崎ワールドが回復した今、汚染に適応してしまったナウシカファンを元に戻す知恵もここに記されている。旧ナウシカファンは、最も穏やかな種族として新たな宮崎ワールドの一部となるだろう。

【アマシカ】 神という訳だ。貴方は「風の谷のナウシカ」の不幸なエンディングの後、沢山発生した神の中のひとつなんだ。そして、2年半の間に肉腫と汚物だらけになってしまった。
 哀れな「☆あまの」お前だってナウシカファンなのに、浄化の神としての使命を自分に課してしまったために、作者・宮崎駿と共に悩み苦しみ抜いた末の、本当の生きる喜びを知ることもなく最も醜いファンになってしまった。

【庭園の主】 ジジッツ、、、   お前には淫らな闇の匂いがする。
 私は、ナウシカの連載の失敗という暗黒状況の中に唯一残された光だ!!

【アマシカ】 なぜ自分を偽るのだ? お前はあの墓所の主同様、世界の統治者としての力の限界と、もはや自分が死の影と老害を吐き出すだけの存在となってしまった事に気付いていたはずだ。
 そして絶望し、自分を葬り去ってくれる新王が現れる事を待ち望んでいたんだ。

【庭園の主】 ナウシカフリークは私なしには亡びる・・
 お前達はその朝を越える事はできない。

【アマシカ】 なぜ真実を語らない! 貴方が調べた時、ナウシカの体は既に清浄な大気への適応能力を回復していたんだ。墓所の思惑を越えた生命の神秘。貴方はナウシカの体に何も施してはいない。そして、自分達の存在理由を失ったのだ。
 貴方は、ミラルパ・ナムリス・そしてナウシカの3人に自分の思想を託し、その答を彼らの行為として受け取った。その中で、ナウシカの行動こそが正しい解答であると同時に、自分の渇望でさえあったことをあの時すでに悟っていたはずだ!
 生きることは変わることだ。だがお前は変われない、第三者を気取った冷ややかな解釈があるだけだ。苦しみ悩み抜いた果ての内的な「死と再生」を怖れ、拒絶しているから・・

【庭園の主】 ・・お前は危険な闇だ!  生命は理性と分析の光だ!

【アマシカ】 ちがう、 真の命と知恵とは  闇の中にまたたく光だ!!

 ゴヘエエエバキバキッ  ジンジンジン・・     ヒイイイイイーーンッ!

【森の人】 しっかり! 自我を破壊される。   オーマをはやく!!

【アマシカ】 オーマ来て!   オーマ! オーマ!!
 ググッ  ジューン!      バババババッ       バチバチッ!!

【庭園の主】 やめろ闇の子!
 世界を滅ぼしかけた宮崎駿の破壊力を呼び覚ますのはやめろ!!

【アマシカ】 オーマ宮崎  私達にかまうな、ここへお前の光をおくれ!!
 カアアァァッ   パウッ!!            ギャアアアアアーー!

【庭園の主】 ギリギリ、、      ひ・・・  光を・・・・
 ギャアアアァァァァァァ   ドバー  ビィィー      アアアアアァー
 ゴゴゴゴゴッオオオオオ     ドロドロドロドロドロドロ・・・

   うわあー    ☆あまの崩壊だぁーー!!

【クシャナ】 アマシカだっ、生きている!
 どういうことだ、中盤はえらくシリアスだったぞ・・

【アマシカ】 いいえ、いまは何もいわないで・・  私達はみなあまりに多くのものを失いました。でもすべては終わったのですいまはすべてを始める時です。
  わいわいわい、、    大団円、大団円!! (笑)

【アマシカ】 (でも、オーマ宮崎の体液と墓のそれとが同じだったなんて・・)

【庭園の主の霊】   アマシカ・・
 ナウシカの子らよ・・・   もう止めはしない だがそなた達のために
 この庭の入り口はいつも開けておこう・・

【アマシカ】   (  ハイ・・ )

   さあ みんな  出発しましょう   どんなに苦しくとも・・・


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