評価と感想
とにかく抜群に面白い。
主人公のスタンリーはくつ泥棒の濡れ衣を着せられたのを皮切りに、やることなすこと悪いほうへ、悪いほうへと危機に陥り追いつめられて、ついには水も食料もなく砂漠へ逃げ出さざるを得なくなる。待っているのは死のみ。
それからスタンリーは襲いかかる危機を乗り越えていくのだが読者は手に汗を握り、次々と出てくる意表をつく事件の展開に固唾を飲む。
まるで、ノンストップアクション映画を見ているような感じだ。
西部劇、伝奇物語、アドベンチャーのの面白いところをすべて自家薬楼中の物にしたようだ。
ただ、残念なのは物語の展開、その過程に偶然が重なりすぎること。しかも、それが一つや二つではなく次から次へといくつもこれだけ重なると唖然として二の句が告げないわけだが、このあっけらかんとしているのを見、面白さを考えると「ま、これだけはええことにするか」と思えてしまう。
読者をこれだけ楽しませ、白けさせずに物語を展開させるのだから、そちらのほうに感心してしまう始末。
主人公が危機を乗り越えるたびにたくましくなり、命がけで友人の信義に応えようとすることには感動させられる。
面白い本を読みたい人、人に読ませる作品を書きたい人にお勧めの一品。

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