1 教育多様化の実現を 
 私学教育内容の法的規制を撤廃し、教育の多様化を実現することが必要である。学校設置主体の緩和のみでは、受験競争を激化させる。 
 受験競争の弊害は長らく言い続けられたが、いまだに解決を見ない。しかし、オールタナティブ教育と総称される教育法の学校を設置することで、価値観の多元化が可能であり、受験競争を緩和することができる。
 
 現在、株式会社の学校運営が視野に入りつつある。しかし、学校設置主体の緩和のみでは、受験競争のいっそうの激化を招くと思われる。
 株式会社の提供する教育サービスは、現行のカリキュラムを基本とした学力を向上させること、特に進学に必要な学力の増進を目的としているタイプが多い。
 このタイプの学校が可能になることによって、広範なニーズに応え、現在の「学校と塾」というダブルスクール状況を解消することができる。
 いっぽう、学校を選択する条件は、学力テストの点数と進学結果が中心となることが予想される。学力という一元的な尺度で測るかぎり、公立学校も含めた競争が激化するであろう。
 株式会社の学校設置が、公立学校が自助努力を始める契機になることは望ましい。しかし、株式会社のみの設置主体拡大では、子どもが点数で評価される傾向は強まるであろう。また、学力の低い子どもが学校によってうとまれる傾向が懸念される。


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