2 教育内容の規制改革を
 
 受験競争激化を防ぐため、教育内容の規制改革が必要である。 

 教育における受験競争の弊害は言われ続けたが、いまだに解決を見ない。
 ここに、教育内容の規制を残したまま、学校設置主体、設置基準の緩和だけを行うと、学力だけを尺度にした競争が激化する。学力試験の点数が、学校評価の主要な尺度とされるであろう。
 これまで発展してきた教育関係の株式会社は、現在の教育方法に対応してよりよいサービスを行うところが多い。学力向上、受験成功への需要に対応するものが多い。生徒、親からの学力に対する要望は、尊重されなければならないし、それに対してよりよいサービスが提供されるべきである。しかし、教育全体を考えると、試験で測定可能な学力は、教育の一つの要素にすぎない。この一つの要素に対して、日本の教育があまりに特化していることが問題である。
 現在、NPO学校などの形態をとっている自然発生的私学の多くは、学力を主要目的とせず、人そのものを育てることに重点を置いている。モデルとされている教育法は、フリースクール、シュタイナー教育が多い。これら教育法は、欧米ではすでに確立しているものである。いずれも、それぞれの生徒が発達する経路を尊重して、それに援助的であるタイプである。全人教育タイプと言ってよいであろう。
 全人教育タイプの教育が、合法の範囲に入る意義は大きい。教育の価値観に選択の幅ができる。学歴主義の一元的価値観を多元化する働きをする。
 また、社会が創造性、個性ある人材を求めるなら、それは現在オールタナティブ教育と呼ばれている教育法に主として求めるべきである。達成を強制し、試験を科するタイプの教育では、内容の如何にかかわらず生徒を画一化させる力が働くからである。点数で測れる尺度に従わないタイプの教育を、発生させるべきである。 
 米国において、各種のオールタナティブ教育が存在するため、一流大学の入学試験においても、学力以外の要素を重要視する入学枠が存在する。教育内容の規制改革により、日本の大学入試もこのような方向に向かうことが予想される。
 
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