(2)    学校内民主主義の不在 
 教育は、子ども個人の特質、それぞれの家庭の事情が深く関係するため、教育行政を通じてでは、解決の難しい問題が多い。個人尊重を理念とする憲法を持ち、個性尊重の教育理念を持つならば、意見反映の道は、現場で開かれていなければならない。
 学校側に全権があり、子どもと保護者の言い分も聞いて運営する形態は、
     学校側が全責任を負ってしまう
     学校側からの聴取と対応が恣意的になりやすい
     保護者側の総意形成の過程がないため、学校側がどのような決定をしても不満な者が生じやすく、その不満が学校側の責任となる。
     子どもと保護者が一方的な主張を繰り返しやすい
という問題がある。子どもと保護者の発言権・参加権を正式に保障し、責任を分かちあう運営形態を作り、その中で信頼関係を成熟させるべきである。
 当事者の発言権を保障する手段として、欧米諸国に多い例は、学校関係者からなる学校協議会、あるいはそれに類する機関を設置し、強い権限を与えることである。イギリスの公立学校では、校長と教員の任命権まで持っている。
 それぞれの学校に、関係者代表が参加するなんらかの運営機関を設置して、運営に関する権限を渡すべきである。さまざまな形態が可能であり、まず欧米各国実状の綿密な調査が望まれる。
 日本の学校評議員制度(学校教育法施行規則第23条の3)は、校長が意見を求めたときに応える諮問機関であり、当事者の意見反映機関として十分ではない。
 児童の権利に関する条約(1994年批准)第13条は、子どもの意見表明権を規定している。これに沿った国内法整備が必要である。 
 
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