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学校内人事組織 
 校内組織構成の当事者一任を
 学校教育法第28条(小学校)、第40条(中学校)、第51条の8(高等学校)は校長、教頭、教諭、養護教諭、事務職員を置くことを定めている。養護教諭の規定は法的に定めないと削減されるおそれがあるので適切であるが、その他の役職は運営上必然的に発生するものなので、代表者を定めること以外は学校運営者一任でよいであろう。その一任される運営者を、教育委員会とするか、学校運営協議会を作って学校とするかも、地方の選ぶところでよい。
 学校教育法施行規則第22条の3(教務主任、学年主任)、第22条の4(保健主事)、第22条の5(事務主任)、第22条の6(校務を分担する主任等)、第23条(職員会議の位置づけ)は、学校運営者に一任されるべきである。中学校、高校にも同様の規定がある。
 日本の教育は、文部省対日教組の対立を軸にしてきた歴史的経緯があり、その中で、文部省側は職階制を導入して教員に対する管理を強めた。これが、教員の自主性喪失、悪い意味での公務員化に拍車をかけた。時代状況はすでに大きく変化している。自由に組織を編成する柔軟性を学校に与えるべきである。
 戦前からの伝統として、教員→主任→教頭→校長あるいは教育委員会という出世コースが存在する。教師は、一般公務員と同様の職階制の中に組み込まれてきた。しかし職階制と出世によって管理することは、反面、おちこぼれ教師、指示を待つだけの者を多く生み出す。
 組織論にはさまざまあり、どのような組織形態にも、長所と短所がある。一律に法的に決めるべきではない。組織構成をどのようなものにするかは、当事者に任せるべきである。
 特にシュタイナー教育の場合、教員の平等な同僚関係として学校を運営することが教育方針の重要な部分を為している。学校内組織を当事者にまかせることのできる制度が必要である。
 しかし、法的規定がなくなった場合、組織構成の自由は経費削減だけを目的の人減らしに使われる可能性がある。被教育者側の発言権を保障することで、教育の質を担保すべきである。規制改革に平行して学校運営協議会のような機関の設置、教育行政への民意反映手段導入は必須である。
 
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