第1条 |
中教審答申による改正の方向 |
中教審答申に対する意見 |
教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。
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(教育の基本理念)
○ |
教育は人格の完成を目指し、心身ともに健康な国民の育成を期して行われるものであるという現行法の基本理念を引き続き規定することが適当。 |
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● |
「人格の完成」は、きわめて包括的な教育目的です。
教育は、規則によるのではなく、人間尊重の道徳によって行われるものです。法律の介在は最小限にとどめるべきです。
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(新たに規定する理念)
○ |
法改正の全体像を踏まえ、新たに規定する理念として、以下の事項について、その趣旨を前文あるいは各条文に分かりやすく簡潔に規定することが適当。
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● |
教育内容は学問、芸術、思想、文化の領域に属するものです。人々の自律にまかせられるべきです。
規定を追加すべきではありません。 |
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これらは、「人格の完成」そのものです。「人格の完成」の内容は、法律によらず、教育哲学によるべきです。
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感性は、「人格の完成」の一部です。自然や環境との関わりは、自明のことであり、法によらず、柔軟に対処すべきです。 |
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社会の形成に主体的に参画する「公共」の精神、道徳心、自律心の涵養 |
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公共精神、道徳心、自律心は、すべて内面の規範です。法律によって関与すると教条に堕します。精神的な価値は自発性に担われるものでなければなりません。人々の自律に任されるべきです。 |
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日本の伝統・文化の尊重、郷土や国を愛する心と国際社会の一員としての意識の涵養 |
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賛否のある思想的信条を法律上の教育目的とするのは、第3条で「信条により教育上差別されない」とあることに抵触します。
<伝統、文化の尊重、郷土や国を愛する心><国際社会の一員としての意識>などの内面的価値は、法律によって関与すると形骸化します。思想領域のものとして法律は関与しないことが適切です。
<伝統、文化の尊重、郷土や国を愛する心>は、教育基本法が在留外国人にも及ぶことを考慮すべきです。
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生涯学習の理念は、第2条そのものです。 |
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時代や社会の変化への対応は、法律をできるだけ少なく、抽象的にすることで実現すべきです。規定を多くして、なおかつ変化に対応せよなどと言うべきではありません。 |
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教育と職業生活との関連付けは、人格教育を侵す危険と常に隣りあわせです。法律で規定せず、教育者と生徒と社会の実状に任せるべきです。 |
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これは、教育だけに関わったことではありません。他の法律または運動によるべきです。 |