3万円以下で買えるクリーニングシステム 良く雑誌で紹介されている自動レコード洗浄システムは、ほぼ全自動で楽そうですが、50万円以上するものがほとんどです。 私は、それはもったいない(その分、カートリッジとかに回したい)と思い、いつも、レコードクリーニング・サービスを利用していました。一枚200円以下で、クリーニングマシンでクリーニングして戻ってきます。だからその威力は知っています。私の愛聴盤は、すべて、この方法でマシンクリーニングされています。 しかし、一通り、クリーニングが終わったので、まとめてクリーニングに出すことはなくなりました。 で、たまに、中古レコードとかを買うと、一枚だけをクリーニングに出すことになる。郵送料金は60サイズでなくて90サイズなので、結構かかるんです。 それに、荷造りして一枚だけ送るってのも面倒だなあ、とか思いながら、いろいろ調べると、arte のレコードクリーニング液(洗浄と仕上げの二液)+極細ブラシ+専用ターンテールってのがなかなかよさそう。 一枚洗浄するなら、自動でなくても別に構わんじゃないの。ただし、洗浄効果がマシンと同じならね。 総額3万円弱なので、即、買ってみました。 ターンテーブルにレコードをにのせた後、レーベルが濡れないようにOリング付きのアクリル円盤(上の写真)で抑える構造。これは安心。 で、専用ブラシってのもこれがまた絶妙。非常に先が細くて、音溝の底まで届きそう。(歯ブラシメーカーとタイアップして作ったらしい)。 洗浄液をふりかけて、ブラシで一様に均し、ターンテーブルを右手で演奏時と同じ方向に回しながら(とのご指定なので・・・)、左手に持ったブラシを当てる。ぐるぐる30秒くらい。 まあ、回す方向は、どっちでもよいような気はします。ただ、左右にごしごしやると、泡立ってしまうので、よろしくないかもです。泡が立っても、最後には同じ方向にぐるぐるやると消えます。 専用の拭きあげ用のティッシュもあって、それで拭きます。こちらも、たかが紙だけど、繊維が残らず、よく水を吸って、なかなか優秀。 さらに、仕上げ液(静電防止剤のようです)をふりかけて、同様にぐるぐるしてから、また拭き上げます。ティッシュは二枚消費することになりますね。 演奏前には、乾くまですこし待ちます。理想的には30分くらいらしいですが、まあ、5分くらいで聴いてもとくに問題はなさそう。 で、聴いてみますと、マシンクリーニングでは取り切れなかったパチパチまでなくなることが、ある! このクリーニングシステム、マシン以上ではあっても、マシン以下であることはないように思います。 何枚も洗浄していると、いささか肩が凝りますが、慣れてくれば、一枚10分かかりません。 非常に気に入りました。 ただ、言うまでもないですが、傷は治りません。また、盤質が悪くてパチパチいうやつは、ほぼ治りません。 あくまで私が持っている60年台後半から80年台後半までの限られた知識ですが、70年台のロンドンレーベル(キングレコードの時代)は概ね全部だめです。80年台に入り、ポリドールになると画期的によくなるみたいです。 EMIとSONYは盤質が良く、もともとパチパチいわないので、クリーニングしても、あまり変わりません。 クリーニングで大きく変わるのはフィリップス系(イ・ムジチとかの)やグラモフォン系。これらのレーベルのレコードは、新品でパチパチいうことがあっても、クリーニングすると劇的に消えることが多いです。 で、もともとの目的だった、まだマシン洗浄していない中古レコードはフィリップス盤。普通のレコードクリーナ+レコードスプレーでは、ごみでパチパチうるさいのを解決できませんでしたが、arteシステムで洗浄後は、激変。新品みたいになりました。え、これはハイレゾですか?・・・みたいな。 このクリーニングシステム、大量処理には適しませんが、たまに買うのを順次処理するには、まことにお買い得。このぶん、他の機材に回せますねえ。なに買おうかな。 音質も改善! 新品レコードでも、「マシンクリーニングすると音質が良くなる説」を雑誌等で見かけますね。これは本当だし、理由があると思います。 クリーニングすると、ノイズが減るだけでなく、確かに高域が伸びて、「前は聴こえなかったよなあ」、という細かな音が聴こえてきます。 これは、盤質が悪くてノイズ低減はできなかったロンドンレーベル等でも感じますので、ノイズが減るからじゃないようです。 クリーニング前と後とで、レコードブラシで表面をぬぐった時、その抵抗がまったく違います。抵抗が減り、スルスルとぬぐえるのです。マシンクリーニング後でも、arteでのクリーニング後でも、同様でした。 界面活性剤(静電気防止剤)の効果です。そして、これで針の滑りもよくなることで、滑りが悪いときには、その滑り抵抗で発生していた針による表面のゆがみ(針に引っ張られて皺が寄る感じかな) が減ったことで、細かな音が正しく再生されるのだろうと思います。 その効果は、常に大きな音量で録音されているポップス系のほうがよくわかります。ときにはたまげるほと良くなることもあるんです。音が大きい、すなわち溝が深いほうがすべり抵抗低減によるひずみ低減は、大きそうですね、確かに。 (2019年2月16日追記)
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