伝統ゲーム紹介


現在の投扇興

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現在の投扇興

 現在、畳の部屋でできる遊びと言うことで、花柳界やお座敷でも遊ばれています。 投扇興のみならず日本のお座敷ゲームを花柳界の遊びと説明している本、思っている人が多いと思いますが、古い時代のことを残しているのが花柳界だからそこに残っているわけで、江戸時代も花柳界で流行っていた、と一概に言うのは間違いです。

 30年程前に滋賀県の大津市にある三井寺円満院の門跡が日本投扇興振興会なるものが作り、毎年大会を行っているようです。伊豆に分院があり、そちらはまた別な点数の付け方を考え出して行っています。

 東京の浅草では、観光団体が振興会という組織を作り、独自のルールを考えて其扇(きせん)流と名づけ例会、大会を行っています。

 テレビの効果もあってか、各地で投扇興が行われるようになっています。その多くは投扇興を優雅なものとして捉え、礼儀をうるさく言ったり、貴族や公家の遊びであるといった誤った情報を伝えています。
インターネットで見るとルールや点式を掲載しているホームページがいくつも有りますが、投扇興の遊び方や点数の付け方は複数の資料が確認されており、いくつもの種類があります。特定の遊び方が正しい、あるいは古くから行われているように書いているホームページは歴史を誤らせる恐れがあると言わざるを得ません。

 また金を取って教えるところもあります。遊びとしてなら良いでしょうが、特定の作法や礼儀を創作し、押し付けて金を取るのは、茶道・華道と同じような運命を辿る可能性があり、非常に危惧されるところです。元々はただの遊びなのです。流儀も流派も家元も作法も何もないのです。

投扇興の今後

 投扇興は娯楽のゲームであり、江戸庶民の卑近な賭博遊戯でした。
現代でやるならば宴席・酒席の遊びであるべきであり、お稽古事や伝統芸能にして権威を持たせるべきでは無いと思います。雅な雰囲気があるからといってことさら優雅や礼法をうるさく言ったりする人も多いようですが、雰囲気に騙されているだけであって、本来あおぐものである扇を放り投げるこの遊びは雅でも何でも無いのです。
 また、人によっては勝つことを至上とし、日夜高得点を目指して修練する者もあるようですが、競技ではなく、肩の凝らない遊戯として勝ち負けを抜きにして楽しむのが本筋であろうと思います。もちろん上手くなった方が面白いのは言うまでもありませんが。
 ボードウォーク・コミュニティーは初心者に親切に教えること、共にゲームを楽しむことをモットーとしています。面白いゲームであるだけに誤った方向に進んで欲しくないものです。


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