ボードウォーク・コミュニティー


「ゲーム脳」とは何か?



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   「ゲーム脳」という言葉をご存じだろうか。日本大学文理学部の森昭雄教授が「ゲーム脳の恐怖(NHK出版)」という本で提示した仮説である。

 「人間だけが備える記憶や思考、感情の制御をつかさどる大脳の「前頭前野」(おでこの内側付近)の働きに注目し、子どもから青年まで約300人の脳波を、氏自ら開発した測定器で測った。 その結果、(1)ゲーム中は前頭前野の働きが低下する。 (2)毎日2時間以上ゲームをする人は特に低下が激しい、という結果が得られた。  脳波を測定するとα波とβ波というものがある。思考状態の時にはβ波が出、リラックスしているとα波が出る。ゲームをしているとβ波がα波に近くなる。これは老人性痴呆症の波形にも似る。 これは脳細胞を使わない機能不全の状態であり、これを「ゲーム脳」と名づけたのである。結論として「ゲームをし過ぎると痴呆同様になる」ということだと発表した。

 この本はマスコミに大々的に取り上げられ、「ゲームが子供の脳を壊す!」という衝撃的な宣伝文句で大ヒット。マスコミが「『ゲーム脳の恐怖』は、ゲームに対して誰もが漠然と抱く不安を突いた。 しかし『不安』のままではまずい。 IT化を進め、白書で持ち上げる国は、マイナスの影響を科学的に検証する義務がある。」などと煽るものだから、政府まで「ゲーム脳」解明に大規模な追跡調査を行うと言い出す始末であった。  「長時間テレビにかじりついたりゲームを続けたりする子供が、ひきこもりやキレやすい性格になると指摘されていることから、文部科学省は10日、子供1000人を対象にした大規模な追跡調査に取り組む方針を固めた。 テレビの視聴時間をはじめとする生活状況と、子供の性格や健康状態などについて、乳児期から小学校まで10年間にわたって追跡。 生活環境が脳の発達にどう影響するかを探り、教育方法の改善などに役立てる。 追跡調査は、専門家を集めた同省の検討会が、10日まとめた最終報告書で提言。 これを受けて、同省は来年度から10年間で数十億円をかけ、調査に入る計画。 各地の医療機関などを通じて親に協力を求め、定期的にアンケートを行うほか、脳の画像診断も実施する。」なんてことを計画しだした。 もっともこれは本が出る前から考えていたらしいのだが。  ゲーム業界はほとんど何も言わないでいたが、反論がないわけではなかった。 しかし「教育関係者の中には、ゲームを目の敵にする人が多い。この本は格好の題材になる。 しかも、新聞社など大手のマスメディアが、お墨付きみたいなものを与えてしまってますね。」という開き直りのようなもの程度。  次第に、専門家の意見が出始め、 「ゲームやってる間の脳波が、痴呆者の脳波によく似てるということなんだけども、アルファ波が増えてベータ波が減る状態というのは、別にそういう人じゃなくても、普通の人間がリラックスしてもそうなるんですよ。」 と、まともな反論が出てきた。そして、強烈な一発。  「ひきこもり」研究の第一人者として知られる精神科医の斎藤環氏の書評が大きな話題になった。 『ゲーム脳の恐怖』の論理的な破たんを指摘した批判は、いくつかあるが、斎藤氏は、論理以前に、筆者の脳に関する知識そのものが間違いだらけだと指摘したのである。 いくつかの専門的な事項の誤りを指摘し、そして最後に、 「問題になっている『痴呆ではβ/α値が低い』という新(珍)説は、森さんが独自にとなえている説で、痴呆の臨床医にとっては事実ではありません。 つまり森さんの論理は自前の新説と新説をくっつけるというアクロバティックな展開になっていて、まともな学問的には大いに問題があります。」と締めくくった。  これでこの本は完全に息の根を止められた格好となり、昨年の“トンデモ本”(著者の大ボケや、無知、カン違い、妄想などにより、常識とはかけ離れたおかしな内容になってしまった本)大賞にノミネートされた(大賞は逃した)。 本はマスコミに登場することが少なくなり、誰も「ゲーム脳」を認めなくなった。もっとも 本が大売れした実績が減ることはなかったし、森氏が詐欺で訴えられることもなかったが。

 『ゲーム脳の恐怖』の中に登場したのは電子ゲームとしての「将棋ゲーム」についての記述だったが、雑誌『ゲーム批評』のインタビューによると、テレビゲーム化されていない将棋でも、「考えることが必要なくなる」と、森氏は考えている(らしい)。  森氏によれば将棋等のボードゲームも何度もプレイして、慣れてくれば考えなくなって(これがいわゆる『ゲーム脳』)しまい、考えない=バカになる、という論理になってしまうわけであるので、さすがにここまで言われると本の内容がおかしいと言うことは素人でもわかってくる。 森氏が脳に関する知識だけでなく、ゲームに関する知識も持ち合わせていないことが伺える。

 では、実際ボードゲーマーの脳はどんなものなんだろうか。 将棋で言われているように同じゲームを何度もやっていれば考えなくなる、というのは何に無駄な思考をしなくなるので、脳のある種の部分は使用しないようになる、ということである。 これは他のゲームでも同じだろう。 これを防ぐためにはいろいろなゲームをやれば良いわけで、そうなると、最初に言っている「テレビゲームをやりすぎると痴呆状態になる」というのと矛盾していることになる。 この点からも森氏の理論が誤っていることは指摘されている。  実際には、完全に手順がわかっているゲームをしない限り、新しい部分を発見して脳の記憶が更新されるのだから、「より落ち着く」というのとは逆と言えるだろう。 いろいろなゲームをやりすぎたために、あらゆるゲームのパターンが脳に組み込まれてしまい、どれをやっても経験で対応できるようになってしまい感動しなくなる、というのはどうだろう。 これはゲーム脳と言えそうだが、性格にはゲーマー脳と言った方が良さそうである。

 『ゲーム脳』は実在しないのか。では”ゲームのう”とはいったい何だろうか。 ここで独自の分析により、ゲームのうについて解析を試みる。 実は世の中には数多くの『ゲームのう』が存在するのである。

◆ゲーム農

@農業ゲーム。しかしそんなゲームは少ない。
A家が農家のゲーマ−。これも少ない。

◆ゲーム能

@ゲームをテーマにした能。誰か作ってくれないかな。狂言ならありそうだが。
Aゲームをする能力。高いから強いとは限らないのがいいところ。

◆ゲーム濃

@濃いゲーム。頭を激しく使い、時間が長い、などとても疲れるゲーム。
A濃いゲーマー。上記のゲームを好むゲーマー。ゲームに口うるさい人。
 どっちもいやだ。

◆ゲーム悩

@ゲームであれこれ悩むこと。数が多い、場所をとる、金がかかる、などなど。
Aゲームであれこれ悩ませること。

◆ゲーム膿

@ゲームで頭に膿ができること。濃いゲームをしたり、長時間ゲームをするとこうなる。
Aゲームで頭に膿ができていること。

◆ゲーム嚢

 ゲームをいれる袋。もちろん袋には入らないので箱にしたり、部屋にしたり、 家にしたり大変である。一番いいのは遊んだら売ること。 ところが売るに売れない。これはゲーム悩である。

◆ゲーム納

納めのゲーム。一日の最後のゲーム。一年の最後のゲーム。人生最後のゲームは、あなた、何にしますか?

◆ゲームNo

ゲームに拒否反応を示すこと。ゲーム濃の周辺にこういう人間が多い。

 さて皆さんはどういう「ゲームのう」になっていますか。はたまた・・・


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