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向田邦子賞を受賞した北川悦吏子氏(雑誌「鳩よ!」2000/12表紙より)
さる4月10日、1999年度の「向田邦子賞」(向田邦子賞委員会、東京ニュース通信社共催)の受賞者が発表され、ヒット作『ビューティフルライフ』(TBS)の脚本家・北川悦吏子氏(38)が、選ばれました。
最終選考では、『ビューティフルライフ』の北川悦吏子氏と、『坊さんがゆく』(NHK)、『怒る男、わらう女』(NHK)の竹山洋氏が残り、最終選考で、向田邦子賞選考委員会の各委員から「欠点がない」と評された竹山洋作品に対し、北川氏の作品には「とにかくうまい」「自分の文体を確立する、という脚本家にとっての目標を達成している」と積極的な評価が集まり、最終的に北川悦吏子氏に確定した模様です。
今回の『ビューティフルライフ』は最終回で41.3%という高視聴率(関東地区、ビデオリサーチ調べ)を記録するヒットとなりましたが、死を迎える結末に関しては、4年前に実母を亡くしたときに着想したそうです。
今回受賞の北川悦吏子氏は38歳と4カ月。昨年受賞の野沢尚氏よりも7カ月早い最年少の受賞記録となりました。そして向田邦子賞の変質が、今回の北川悦吏子氏の受賞でより顕著になった格好です。
かつての向田邦子賞は、「視聴率には恵まれなかったが内容的に優れた作品」にスポットをあてているという印象がありました。第1回目の受賞作が超低視聴率にないた佳作『淋しいのはお前だけじゃない』(TBS)であったことからもそれは明らかで、以後も「地味だけど優れたドラマ」に賞を贈るという傾向が感じられました。それが昨年の野沢尚氏の受賞あたりから変質し、今年の北川悦吏子氏の受賞でそれがより鮮明になった格好です。
昨年の野沢尚氏の場合、受賞対象作のシナリオ本が事前に刊行されていましたが、今回の北川悦吏子氏の受賞対象作『ビューティフルライフ』は一部の回が雑誌掲載されたのみで、選考時点では全話収録のシナリオ本も発売されていない状態。「とにかくうまい」「自分の文体を確立する」等々、選考委員の受賞理由からみるとよもやシナリオを読まずに選出したとは思えないものの、果たして全話のシナリオを読んだ上で選考したのか、選考過程が気になるところです。
脚本家デビューまもなくの頃、『ぼくが医者をやめた理由。』(1990年TX)というドラマの一部エピソードの脚本を北川悦吏子氏が担当したものの、メインライターが同氏のシナリオを読んで、その下手さ加減に1本を担当させたのみで起用しなかったそうですが、こうして晴れて向田邦子賞を受賞するにいたったのはその後の伸長が著しかったということでしょう。
ご本人の努力は並大抵のことではなかったと推察されます。
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向田邦子賞 (東京ニュース通信社公式サイト) |
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