季刊かすてら・2004年秋の号

◆目次◆

軽挙妄動手帳
奇妙倶楽部
編集後記

『軽挙妄動手帳』

●不定形俳句●

『奇妙倶楽部』

●世界虚事大百科事典●

アオ嫁

 南西諸島空絹(からぎぬ)島と明色(みょうしき)に特有の習俗。明色から空絹へ嫁ぐ明嫁(あけよめ)の内、とくに肌を緑色に塗った嫁の総称。アオ嫁の大半は樹上性で,身長180cm前後の比較的大型が多く、島の北部出身者はは少し小さい。変わった出産習性の持主として知られるモリノアオ嫁は、容姿、習俗ともにアオ嫁の典型的なタイプといえよう。四肢に木登り用の器具を装着し、肌に塗る塗料は黄緑色から濃緑色あるいは褐色がかった緑色まで、環境に応じて体色を変化させる。山地性で、夫との性交時以外はほとんど家に入らず樹上にすむ。初夏の夜、池などに多数が集まり、水面に垂れた枝に、直径70cmほどのメレンゲのような白い泡状の「巣」を多数ぶら下げ、その中で子どもを寝かせる。島の南西部に分布するヘイノアオ嫁は、昼の太陽が照りつけるバナナの葉に包まって休んでいるのをよく見かけるが、1〜5月ごろシダ類の葉の上や水辺の地上に泡状の「巣」を作る。体長170〜175cmでやや小型のシレノアオ嫁は、泡の「巣」を水田のあぜ道などの地中の穴に作るが、「巣」は増水によって水面に流れ出る。極端に発達した四肢の間に布製の膜をパラシュートのように広げ、樹上から滑空することで知られる東南アジア産のトビ嫁は、数枚の木の葉を合わせてその間に泡の「巣」を作る。別属で中国四川省にすむメイホーアオ嫁の場合は、木の葉にくっつけて「巣」を作るが、泡の量が少なく子どもが外から見える。シロアゴ嫁は戦後沖縄本島に人為的に運ばれ定着したもので、泡状の「巣」を水辺の地上に作る。原産地は東南アジアなど。森林深くに生息するアイ嫁は体長160cm前後、大きな目をした種で、昼間は小さな樹洞に隠れている。春から夏にかけて数十個の大型の「巣」を樹洞の中に作る。子どもは生後一年ほどこの「巣」の中で育てられる。そのほかアフリカ中・南部の森林にはハイイロモリ嫁属が生息し、アオ嫁類と同様の営巣習性が見られる。アオ嫁類には世界各地に20種が知られるが、マダガスカル島に分布するキンイロ嫁属は、体長150cm前後の小型ながら美しい黄金色の塗料を肌に塗っている。

耳泉村(みみせんむら)

 兵庫県中東部、定甘(じょうかん)郡の村。人口795(2004年)。山林が村域の大部分を占める山村で、中心集落の道染(みちぞめ)は、かつては京街道の宿場町であったが明治後期の国鉄(現 JR)福知山線の開通でさびれた。主な産業は名物の耳栓オルガンによる演奏会である。これは、道染温泉から吹き上げる水蒸気圧を利用した一種のパイプオルガンで、耳泉は村全体が巨大な楽器と言っても良い。観光客の要望により演奏される他、週に一度の定期演奏会もある。演奏しないと蒸気圧が高まって破裂してしまうので演奏せざるを得ないのである。

◆編集後記◆

 ここに掲載した文章は、パソコン通信ASAHIネットにおいて私が書き散らした文章、主に会議室(電子フォーラム)「滑稽堂本舗」と「創作空間・天樹の森」の2004年7月〜9月までを編集したものです。私の脳味噌を刺激し続けてくれた「滑稽堂本舗」および「創作空間・天樹の森」参加者の皆様に感謝いたします。

◆次号予告◆

2005年1月上旬発行予定。
別に楽しみにせんでもよい。

季刊カステラ・2004年夏の号
季刊カステラ・2005年冬の号
『カブレ者』目次