166. 平和七夕の折り鶴

著者=近藤 純正
仙台の七夕まつりでは阿波踊りと武藤親子展を見学した。最終日には 平和の折り鶴の首飾りレイをもらって帰途についた。(完成:2017年8月16日)

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2017年8月6日~8日は恒例の仙台七夕まつり、中央通りと東一番丁通り には大勢の人々がやってくる。この人々によって中央通りのアーケード街 「クリスロード」の気温がいくら上昇するか、気象予報士の角谷清隆さんと 観測する予定である。

6日夜から8日朝までのホテルは数か月前から予約してあった。後日気づいて、 観測準備のために5日のホテルを探したが安いホテルはどこも満員。もっとも 安いホテルが県庁裏にあり1泊一万八千円である。祭りの時期なので高額なのは やむをえない。

七夕の前日に気温計の設置を終えて、ホテルから前夜祭の花火大会に出かけようとすると、 「まもなく阿波踊りがホテル前で行われるのでご覧になりませんか」と勧められて、 うちわを頂戴した。

阿波踊り一行は毎年このホテルに宿泊しているという。楽器に合わせて本場の 見事な阿波踊りが始まった(写真①)。

阿波踊り
写真① 仙台ビジネスホテル前の阿波踊り(8月5日)。

西公園に来ると大勢の花火見物の人々がいる。やがて打ち上げ花火が始まったが、 雲が低く、花火の広がりは雲の中、音だけが盛んに聞こえてきた。

七夕初日、まだ人出の少ない頃、中央通りにくると、「第42回 平和七夕」 の折り鶴が目に入る(写真②)。

平和七夕
写真② 中央通りの折り鶴の「平和七夕」(8月6日)。

平和七夕には次の説明がある。
『仙台七夕の初日8月6日はヒロシマ原爆投下の日です。今年はヒロシマ、 ナガサキ被爆72年になります。ノーモアヒロシマ・ナガサキの祈りをこめて 今年も全国から100万羽の鶴が送られてきました。核兵器のない地球が一日も 早く実現しますように。』

七夕最終日の8日に、この折り鶴でつくった首飾りレイをもらうことになる。

藤崎百貨店の角の交差点には珍しい飾りがある(写真③)。北に曲がり東一番丁通り を北上すると鐘崎の店の幾何模様の飾りがある(写真④)。

藤崎角の飾り
写真③ 藤崎百貨店の角・交差点の七夕飾り(8月7日)。

鐘崎の飾り
写真④ 東一番丁通りの鐘崎店前の飾り(8月7日)。

三越付近の飾り
写真⑤ 三越百貨店近くの七夕飾り(8月7日)。

広瀬通りを横断するとアーケードが無くなり、昔風の竹につるした飾りに なった(写真⑤)。

仙台市街の気温観測では当初から桜井薬局の桜井昭夫さんにお世話になって いるので立ち寄ると、「藤崎百貨店で『親子展~暮らしの中のオブジェ展』 が開催されているのでご覧ください」と、パンフレットを頂戴した。

藤崎百貨店の6階美術ギャラリーでは彫刻家・画家の武藤順九さんと お嬢さんの建築家・デザイナーの武藤夙さんが在廊されて、見学者に彫刻や絵画、 ガラス大皿やサイドテーブルなどの作品を紹介されている。「桜井薬局の桜井昭夫 さんに勧められて見学にきました」と伝えると、武藤順九さんと桜井昭夫さんは同級生 だとのこと。

武藤順九さんは1950年仙台市に生まれ、東京芸術大学美術学部卒業後 フランス、スペインに滞在、1975年からイタリアのローマにアトリエを 構えており、時には日本へ来られるとのこと。

武藤夙さんはローマに生まれ、2003年にローマ大学建築学科卒、 一級建築士である。現在は、ローマ、ロンドン、京都を中心に活躍されている。

お二人には、記念に写真を撮らせていただく。ギャラリー入り口に飾られた 順九さんの彫刻「風の環」の両側に並んでいただいた(写真⑥)。 立派な作品の数々を見学させていただき、ありがとうございました。

記念撮影
写真⑥ 武藤順九さん(彫刻家・画家)と武藤夙さん (建築家・デザイナー)(8月7日)。

七夕最終日の8日、中央通りの第42回折り鶴の「平和七夕」を飾ってある 場所に来ると、折り鶴80羽ほどを結んだ首飾りレイが配られていた。 私は首にかけてもらい、新幹線に乗って帰途についた。

そのレイに付けられていた連絡先に電話してみた。泉区の油谷さんによれば、 今年の折り鶴は130万羽が寄せられ、七夕に飾るのは20万羽、残りはレイ にして配っている。 レイは、1982年にニューヨークで開催された平和の折り鶴のイベントを契機 に始められたという。

戦後72年、続いてきた平和な時代が終わろうとしているように感じるこのころである。 無残な戦争を体験した人々が年々減少していく。猪口邦子著「戦争と平和」(現代 政治学叢書17、東京大学出版会)に書かれているように、戦争と平和は繰り返される 歴史をたどるのであろうか?

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