141. 新宿御苑

著者=近藤 純正
新宿御苑は江戸時代の徳川家康の家臣・内藤氏の江戸屋敷の一部であったといわれている。現在は 国民公園として一般に公開されており、よく整備されている。 (完成:2015年10月12日)

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東京の新宿御苑は、JR新宿駅から歩いて10分、JR中央線千駄ヶ谷駅から5分の距離にある。 面積58ヘクタール、周囲3.5kmである。入口でもらった案内地図の説明書によれば、江戸時代 の徳川家康の家臣・内藤氏の江戸屋敷の一部といわれている。明治時代の農業試験場を経て、 明治39年(1906)に皇居の庭園となり、戦後の昭和24年(1949)に国民公園として 一般に公開されるようになった。現在は環境省が管理している。園内には、フランス式整形庭園、 イギリス風景式庭園、日本庭園がデザインされ、明治を代表する近代西洋庭園といわれている。

御苑への入口は新宿門、大木戸門、千駄ヶ谷門(写真141.1)の3つがあり、新宿門入園ゲートの外には インフォメーションセンターがある。

千駄ヶ谷門
写真141.1 新宿御苑千駄ヶ谷門(2015年4月6日撮影)。

御苑内には巨木も多い。掲示板によれば、ハクモクレンやケヤキは明治時代にすでにあったもので、 明治時代に海外からさまざまな樹木を移入し栽培され、ヒマラヤシーダー、レバノンシーダー、 ハクモクレン、スズカケノキ、ユリノキ、イチョウなどがあり、現在は高さ30mを超す巨木に 成長しているものもある。

2015年4月6日、桜の花見の季節である。入口では、酒類の持ち込み禁止のチェックをしていた。 園内には多数の欧米人や中国人が、日本人に匹敵するほどの人数に感じるほどであった。

池のまわりに植えられた桜が満開である(写真141.2)。大勢のカメラマンが撮影している。

満開の桜
写真141.2 日本庭園から眺めた満開の桜(2015年4月6日撮影)。

フランス式庭園
写真141.3 フランス式整形庭園。

御苑の南東部にはフランス式整形庭園があり、バラ花壇などがある。その両側にはプラタナス並木が きれいに並んでいる(写真141.3)。4月6日には、プラタナスは着葉していなかったが、6月28日 には見事に着葉していた。

バラ花壇の反対側を見ると、手前の砂利広場に続く遠方には広い芝生が800mほども続いている。 この奥行きの長い眺めは「ビスタライン(見通し線)」と呼ぶと書かれている(写真141.4)。

イギリス式庭園
写真141.4 イギリス風景式庭園。

休御涼亭
写真141.5 旧御涼亭。

御苑内には休憩所やレストハウスなどがいくつもある。中央休憩所から池のほうへ下りていくと、 対岸に中国風の珍しい建物が見えた(写真141.5)。行ってみると、案内板に次のような内容が書かれて いる。

新宿御苑旧御涼亭
この建物は昭和天皇が皇太子のとき、御成婚記念として台湾在住邦人の有志から贈られたものである。 旧御休憩所の平面形状に卍型のモチーフが見られるなど、清朝中期以降の台湾で用いられた建築様式 「中国南方のもん南建築様式」の特徴が現れている。

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