140. 北の丸公園

著者=近藤 純正
北の丸公園は旧江戸城の北の丸であった。ここで東京都心の気象が観測されている。 (完成:2015年6月28日)

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皇居の北側に北の丸公園がある。以前にも紹介したように、この公園は江戸城の北の丸 があった場所でる。明治7年から太平洋戦争終結までは旧日本陸軍の歩兵連隊が駐留。 現在は環境省が管理する国民公園であり、多くの文化施設がある。科学技術館 や 東京国立近代美術館工芸館、国立公文書館、東京国立近代美術館などがある。

科学技術館の西のほうに気象庁東京の気象観測露場が設置されている(写真140.1)。 東京の気象は大手町で観測していたが、2014年12月2日から北の丸で観測され るようになった。

露場
写真140.1 気象庁の気象観測所、北の丸露場(2015年5月2日撮影)。

移転前の2011年8月から試験観測がここで行われ、観測データを調べてみると、 北の丸露場は森林公園にあるにもかかわらず、ビル街の大手町に比べて、夏の晴天日中 の気温は1℃ほど高温に観測される。

その原因は、観測露場の設置場所が適当でないのかもしれない。森林であるから 樹木が成長し環境が変われば気温も変化する。 東京の気象を観測しているつもりでも、森林の成長など環境モニターになるのかも しれない。

そこで私は協力者たちと一緒に、さまざまな環境にある各地の森林で気温を観測して いる。森林環境が変わると気温にどのような違いがあるかを調べている。

北の丸公園では、広い芝の広場の気温を基準として(写真140.2)、林内のいろいろな場所 に気温計を設置し観測している。

芝地広場
写真140.2 公園内の芝地広場(5月1日撮影)。

田安門
写真140.3 旧江戸城田安門(6月19日撮影)。

北の丸公園の北側の入口は、旧江戸城田安門である(写真140.3)。 案内板には次の説明がある。

重要文化財(昭和36年6月7日指定)
江戸城は、長禄元年(1457)に太田道灌によって創られたとされる。天正18年 (1590)徳川家康の居城となり、1592年から大規模な改修が実施され、 1607年に天守閣が、1636年に総構が完成し、大城郭として形が整えられた。 その後、1657年をはじめ、数度の大火に見舞われたものの、城郭の規模は幕末 までほほ維持された。
田安門は、北の丸北部に位置する桝形門であり、正面の高麗門と、その右手奥の 櫓門からなる。―(中略)― 田安門は、江戸城の総構完成当時にさかのぼる現存 唯一の建物である。

武道館
写真140.4 武道館。

田安門を入ると武道館がある(写真140.4)。そこの石碑には次の内容が刻まれている。

第四十一回国会における衆議院の議決を経て天皇陛下の御下賜金のもと、国費ならびに 全国民の浄財により青少年心身練成の大道場としてここに武道館を創建する
 旧江戸城由緒ある名石に刻して後世に遺す
 昭和三九年十月三日 赤城宗徳誌

北の丸公園の南の出口を出て、東に下がっていくと竹橋がある(写真140.5)。竹橋は 清水濠の上に架り、一ツ橋から北の丸へわたる橋で徳川家康の関東入国の前から 存在していたという。竹橋の名を冠した竹橋会館、地下鉄の竹橋駅などがある。

  竹橋
写真140.5 竹橋。

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