117. 高知県の室戸

著者=近藤 純正
室戸岬の海岸と室戸青少年自然の家を訪ねた。 (完成:2013年7月14日)

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高知県東部の室戸岬へは、これまで何度も行った。最初は、高校生のとき、距離80 キロメ―トルの砂利道を高知から自転車で行ったものだ。それは、昭和天皇が全国を 行幸された後のことであった。

岬の岩場でテントを張りキャンプをはじめたところ、嵐がやってきたので、標高差 180mほどの急斜面を登って最御崎寺で泊めてもらった。現在のお寺の宿泊施設は 遍路センターとなっており、その一部に昔の広い畳部屋がある。当時は板張りの大部屋 だったように記憶しているが定かではない。最近の室戸では最御崎寺の長老・島田信雄 さんに何かとお世話になっている。

現在の室戸岬周辺は世界ジオパークに認定され、いろいろ整備されている。 昔キャンプしようとした場所は思い出せないが、この近くの岩場であった(写真117.1)。

室戸岬海岸
写真117.1 室戸岬の海岸。

室戸には国立室戸青少年自然の家があることを今回はじめて知る。実は、今年 (2013年)3月15日のこと、国立科学博物館の石川昇さんからメールがきて、 4月から室戸青少年自然の家の所長になられるとのこと。

石川さんが室戸への転勤を前に、インターネットで高知県のことを調べていると、 私が高知県出身で、現在、室戸岬気象観測所に超音波風速計を設置して、周辺の環境 変化を把握し、観測所データの精度を向上させるために活動していることを知ったと いう。そこで、こんど私が室戸へ行く時は寄ってくださいとのお便りである。

さて当日の4月22日、JR高知駅発の土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線の終点・ 奈半利駅に着くと、石川昇所長と片山貞実主幹に出迎えていただく。

室戸岬観測所における超音波風速計による試験観測の終了・器械の撤収作業に 合わせて、13時30分から見学会を開催した。

続いて、石川所長のお計らいにより、15時30分から青少年自然の家において 講演会「室戸の気象と測候」を開催させていただく。

国立室戸青少年自然の家
青少年自然の家は40万平方メートルの広大な敷地に、管理棟、研修棟、工作棟、 体育館、宿泊施設などのほか、キャンプサイト、マウンテンバイクコース、草スキー場、 冒険の森、農園、ミニサイクリング場など、青少年が集団宿泊の中でお互いにふれ合い、 自然に親しみ、心身を鍛え、創造する力や友だちと助け合う態度を育てる教育目標を 掲げた素晴らしい施設である。1973年(昭和48年)に当初の国立少年自然の家 第1号として室戸市に設置が決まり、1977年に開所式が行われている。

石川所長に案内されて展望台から室戸岬を遠望する(写真117.2)。この付近は、青森県 深浦と同じように、何千万年の時間スケールで隆起を繰り返してできた、階段状の台地 「海岸段丘」である。逆に、高知県西部から愛媛県にかけては沈水地形のリアス式海岸 となっている。

室戸岬の遠望
写真117.2 国立室戸青少年自然の家から遠望した室戸岬。

私が高校生のとき、はじめて室戸を訪問した時は、1946(昭和21)年に発生した 南海地震で隆起し、室戸港が浅くなり使えなくなり浚渫工事が行われていた。

自然の家の中庭には四国の地図が描かれている。その中には日時計も描かれ、そこに 立つと時刻がわかる仕掛けになっている(写真117.3)。

自然の家の中庭
写真117.3 自然の家の中庭。

一泊して翌朝、付近を散策すると、樹高4~5メートルもあろうか、赤い花をつけた つつじが緑の中に映えていた。

仲良し広間の廊下には「早寝早起き朝ごはん」運動の幟がたてられていた (写真117.4)。

朝7時半になると宿泊していた生徒たちは一斉に管理棟の前庭に集まり「朝のつどい」 を行う。最後にラジオ体操を終えると、みんなは食堂へと向かう。こうした生徒たちの 過ごし方を見ていると、私はとてもよい気持ちになった(写真117.5)。

幟
写真117.4 早起き朝ごはん運動の幟。

ラジオ体操
写真117.5 朝食前の朝のつどいでラジオ体操する生徒たち。

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