114. 大手門から東京駅まで

著者=近藤 純正
皇居東御苑から大手門を出ると、大手門渡櫓が明暦の大火で消失したあと、再建される 際に作られたという鯱(しゃち)があった。そこから東京駅に向かい、新装なった 東京駅丸の内駅舎のドーム内の写真を撮った。 (完成:2013年3月10日)

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皇居の大手門を出ると、庭には、昭和20年(1945)4月の戦災で消失した 旧大手門渡櫓(わたりやぐら)の屋根に飾られていた鯱(しゃち)が据え付けられ ていた(写真114.1)。

しゃち
写真114.1 大手門渡櫓の屋根に飾られていた鯱、1657年の明暦の大火で消失した後、 製作されたものと推定される(3月2日)。

案内板によれば、鯱の頭部に「明歴三丁酉」と刻んであることから明歴の大火 (1657年)で大手門渡櫓が焼失した後、再建される際に製作されたものと 推定される。現在の大手門渡櫓はその後、昭和43年(1968)に再建された ものである。

大手門のお堀端から、南に向かい次の信号を左折すると和田倉噴水公園がある。 その正面にはパレスホテル東京がある。大噴水は休止中のようだ(写真114.2)。

和田倉噴水公
写真114.2 和田倉噴水公園、奥の建物はパレスホテル東京。

私はこのパレスホテルの近くを通るとき、思い出すことがある。それは30年ほど 前の夏、心臓手術をする前のこと、ホテルの上のほうの階にあった食堂へ、ワイシャツ 姿で知人数名とビールを飲みに入ると、ウェイターが背広の上着を着用してくださいと 持ってきた。それ以来、ホテルでは気をつけるようになった。

東の方向へ歩くと東京駅に至る。これまで何回となく東京駅は利用するのだが、 駅舎の真正面から見たことはない。駅舎の長さは300m以上もあり、それ相当の 遠くからでないとカメラには全景が入りきれない(写真114.3)。

東京駅
写真114.3 東京駅丸の内駅舎。

新装なった駅舎のドームの天井は鷲や干支の彫刻で飾られている。その8角形の レリーフだけでも写真画面にいっぱいの大きさである。写真114.4 は4枚の画像を 縦に合成したものである。

レーザー距離計を持参していたにもかかわらず、天井の高さを測るのを忘れて しまった。測るのは次の機会としよう。

北ドーム
写真114.4 東京駅舎の北ドーム、縦に4枚を合成(写真上部の8角形レリーズは 真上を、写真下部は水平方向を撮影したもの)。

忘れたことから、こんどは、10年余の前のことを思い出す。パリのパンテオンを 見学したとき、天井から下げられた振り子「フーコーの実験」が公開されていた。 それは、1851年にフーコーが地球の自転を証明するために行なった再現実験で あった。天井の高さは振り子の周期を測れば分かるのだが、測ってくるのを忘れていて、 後でとても残念に思った。

写真114.5 は「小さな旅のたより」(11)の再掲である。下の方にある目盛尺は 円環であり、その上に小さく光るのが振子の球。写真では小さく見えるが、現場では 大きく、手前にくるときは圧倒されそう、感動したものだ。

パリのパンテオン
写真114.5 パリのパンテオンにおけるフーコーの振り子の再現(2001年9月22日)。

フーコーの実験の再現について、私は60年ほど前、上野の科学博物館で見たことが あり、東北大学の地球物理学科3年生が「一般物理学実験」でも時々行っていた。

数年前に弘前へ行ったとき、弘前大学理工学部2号館吹き抜けには、この装置が常時 見られるようになっていた。振り子の長さは2012年時点で日本では最大で45m、 重りは49.7kgだという。

振り子はピアノ線で吊るされ、線は長いほどよい。短いと振り子は短時間で止まるが、 長いと長時間にわたり振れて、地球の自転を実感することができる。

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