112. 東京北の丸公園

著者=近藤 純正
北の丸公園には、最近開設された気象庁の新しい観測露場があり、周辺には多くの 文化施設がある。(完成:2013年3月10日)

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北の丸公園は江戸城の北の丸があった場所、現在は環境省の管理する国民公園、 多くの文化施設がある。お濠端の通りから公園へ入ると、すぐ右手に科学技術館 が見える(写真112.1)。

科学技術館
写真112.1 科学技術館の玄関(中央の白色)(3月2日)。

そこを過ぎて左手には、来年頃から正式の観測が始まる東京の気象観測露場がある。 現在の露場は大手町の竹橋会館の東側にあるが、時代とともに高層ビルが増えて環境が 悪化したので、ここに新しい露場が新設されたのである。北の丸公園の来園者が見学 施設として利用できるように見学通路や観測データの表示施設も取り付けられ、 刻々の気象が見られる。

きょうは3月2日、快晴に恵まれ、付近に咲いた紅梅を写生する人々に会う。先生役 の岡田徹也さんに尋ねると「東京あちこちスケッチの会」という(写真113.2)。

先だっては、ミャンマーに行ってきたという。スケッチ帳をめくって作品を見せて いただき、カメラで撮影した。帰宅後、斜めになった写真をパソコンで長方形に修正 加工させていただいた(写真112.3)。

写生会
写真112.2 紅梅を写生する「東京あちこちスケッチの会」の人々。背後にある 高台のフェンスで囲まれたのが気象観測露場。

岡田徹也スケッチ画
写真112.3 岡田徹也さんのミャンマーでのスケッチ画。

私も全国あちこち歩きながら風景を写真に収めている。四国遍路のとき、第37番 札所「岩本寺」から足摺岬の第38番札所「金剛福寺」へ向かう長い道程の途中、 佐賀港を過ぎて坂道を登る途中、眼下に美しい眺めがあった、しかし、とても写真では 真実を写せない、絵でしか表現できないと思った。そこには、

これを絵に、うつしてみたし、かすむ島 安政5(1858)年

とあった(「4.四国遍路、土佐から伊予へ」の「4.6 西南 大規模公園」を参照)。

写生中の岡田徹也さんに「風景を表現するのには、写真より絵がよいですね」と 言うと、「写生すれば、細かいところまで覚えています」という。その通り、 同感である。

気象観測露場の隣の林内に何やらあるので近づいてみると、近衛歩兵第二連隊記念碑 があった(写真112.4)。近衛兵(このえへい)とは天皇と皇居を警護する特別の陸軍であり、 家柄の良い人しか入れなかったことを子どものとき聞いていた。

近衛記念碑
写真112.4 近衛歩兵第二連隊記念碑、左隣には「右近の橘」がある。

記念碑に書かれた内容によれば、この第ニ連隊は明治7年に日本陸軍最初の歩兵連隊 として創設。明治天皇から軍旗を親授せられて以来、太平洋戦争終結に至るまでこの 地に駐屯して皇居の守護にあった。この間、西南の役、日清・日露の戦、日支事変に 出征した。

武道館に行ってみると、大勢の人々がニ階の回廊を取り巻くように並んでいる。 「柔道の試合ですか?」と訊くと、「メインのコンサートがあります」という。 垂れ幕の看板をみると、開演は午後7時からとなっているので、「今から並ぶの ですか?」と問うと、いろいろ記念グッズを求めるのだという(写真112.5)。

庭に張られたテントでは、メイン(後で調べると日本の歌手・中林芽依)のピンバッチ を求めている。10個ほど並べられた自動販売器があり、500円を入れてハンドル を回すと、透明プラスチックの球に入ったバッジが落ちてくる。気にいる品が落ちる まで何千円と投入していた。

武道館
写真112.5 武道館。庭から2階回廊に並ぶメインのコンサートに集う人々。

美術館工芸館
写真112.6 東京国立近代美術館工芸館(旧近衛師団司令部庁舎)。

武道館から南に向かい、池を過ぎると林の間から赤レンガの建物が見える。これが 旧近衛師団司令部庁舎であった(写真112.6)。

所蔵作品展「花咲く工芸」の開催中。年配者は無料で入館。磁器、陶器、紙塑、 漆塗り、友禅訪問着などが陳列されている。少数の作品を除き、撮影OKとのこと、 ただし、公表はだめで個人的な利用は可とのこと。受付で腕にシールを貼ってもらい、 いくつかを画像に収めた。

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