==== 1999年7月のお話し ====



C57ー180 客車エンブレム  とある事情があって、フリーになった7月の週末、久しぶりに泊まりがけで、ひとり旅に出たのでありました。
 ひとり旅なんて、独身の時分以来です。しかも、純粋な、旅としては。一泊で、どこぞへ出かけよう。やっぱり温泉は欠かせない。それに、行ったことがないルートで、鉄道の旅をば、と。
 思い浮かんだのが、以前より目を付けていた、「SLばんえつ物語号」です。そう、あのその美しい姿から「貴婦人」と呼ばれていたC57型蒸気機関車。それが、復活して、現在、磐越西線の新津〜会津若松間を走っているのです。
 子供の頃は、鉄道ファンであった小生。でも、記憶のある限りでは、動態のSLには乗った記憶がありません。そりゃ、まあ、乗ってみるしかないでしょう。と、指定席を確保して、東京を発った土曜日の朝でした。
 名付けて、「梅雨明け直前SL温泉ひとり旅」。

 東京駅発7:15上越新幹線あさひ305号、本当はお金ももったいないし情緒もないから、在来線で行きたかったのですが、時間の節約上の妥協です。9:15新潟駅着、9:35発のSLリレー号に乗り換えて、新津駅へ。9:48着。
 いましたいました、「SLばんえつ物語号」。市の観光協会の人々がパンフレットを配っていたり、記念品グッズを売っていたりと、賑やかです。まずは、客車を眺めながら、指定席のある先頭車両へと足を運びます。客車の側面には、飯盛山系に生息するというオコジョを中心に、森と水とロマンの鉄道をイメージしているそうです(ページ右上写真)。うん、いいぞう。
 そして、一番前へと。おおっ、この大きく黒光りするお方は。優雅で煌びやかで、まさしく貴婦人。
 列車は、定刻通りの10:00に出発しました。

客車内 駅にて停泊
C57側面 C57足まわり

 蒸気機関車が牽引する列車は、動輪駆動がそのままダイレクトに反響されて、文字通りのガトゴトという音と揺れを伴うのでした。
 間もなく、キャンペンガール?が、乗車手帳と呼ばれるパンフレットを配ってきました。最後のページにはスタンプ欄がありまして、客車の最前列と最後尾にある記念スタンプを押せるようになっていました。こういう、記念ものに弱いんですよね、日本人って。
 車内の内装は、SL全盛期を彷彿させる時代のイメージで、検札にくる車掌さんの制服も、ナッパ服と呼ばれる大正時代風のものでした。凝っています。
 そしてなによりも、阿賀野川を遡る車窓の風景美。途中下車してしまいたい箇所が数多くありました。
 当たり前ですが、列車に乗っていると、C57の走行姿って、撮影できないんですよね。ですので、撮影ポイントは、この快速扱いの列車の停車駅。特に、津川駅と山都駅は、停車時間が長いので、撮影タイムです。
 ・・・ですが、撮影に夢中で、数限定の駅弁は、何処でも買いはぐれてしまいましたが。日出谷駅のとりめしも、山都駅の打ち立てそばも。
 停車駅で、C57をよく観察していると、貴婦人と呼ばれながらも、どうどうたるフォルムと洗練された機関が見事で、こういうのを機能美と呼ぶのでしょうね。

C57全面斜め C57運転席 C57側面

 会津若松着14:11。2時間余りの汽車の旅は、あっというまでした。
 駅構内で発売していた、C57-180号機の復活までの歩み記念オレンジカードセットも購入してしまったのでした。

 「梅雨明け直前SL温泉ひとり旅」録は、来月にも続く!

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