以前に何かの本で読んだ話です。
ある国のある刑務所で、犯罪を犯し投獄された3人の男がおりました。判決が下って死刑執行が為されるという日の前の日、3人のうちひとりだけが死刑を免れる恩赦を受けることとなりました。ひとりだけが助かるのです!
3人のうちのひとりの男Aは、その明るい噂を聞きつけて、いてもたってもいられなくなり、顔見知りの監視人に自分の行く末をこっそりと尋ねてみました。
あまりに熱心な男Aに根負けした監視人は、こう言いました。「おまえがどうなるのかは、業務上言うことができないが、確実なこれだけは教えてやろう。・・・男Bについては、死刑が決定されている」
これを聞いた男Aは、喜び勇みました。「3人のうちふたりが死刑になるとして、生き残れる確率は3分の1しかなかったが、男Bの死刑が確実として、俺か男Cかどちらかが生き残れるので、確率が2分の1になった!」
さて、男Aが生き残れるのは3人のうちのひとり、即ち3分の1だったのですが、男Aと監視人のやりとりの結果、男Aの生存の確率は2分の1になってしまったのです。こんなことがあるのでしょうか?
この話の詳細と出典は忘れてしまいましたが、このトリックについて、その時分は随分と頭を巡らせました。小生なりにある結論は得たのですが、ここでは敢えて書かずに起きます。これを読んだあなたも、ちょっと考えてみてくださいませ。
さて、そういうことで、確率に関しては、個人的にとても興味深い分野です。
天気の話で、梅雨の時分は雨や曇りが多い。前の日が雨だと次の日も天気が悪い可能性が高い。それが例外がありながらずっと続いて、一旦、梅雨明けすれば、晴れが続く。次の日のそのまた次の日も晴れが続く。ちょっと台風が来て雨が降る。が、秋雨前線が降りてくるまで(太平洋高気圧が頑張るまで)晴れが多い。
ということで、連続性が確率のファクターにもなっています。まあ、これが基本的な画像圧縮の原理にもなっているのですね。
それとは、全然関係ないのですが、しかしながら確立に関係することで、毎日の生活で気になることがありまして、調査してみました。
小生の住んでいるところが、8階建ての7階なのですが、まあ、通常、余程のことがない限りエレベータを利用します(健康のためならば階段の方がいいのですがね)。ゆうに築十数年経つのですが、それなりにエレベータが大小の2台ありまして、ある程度は賢いのです。即ち、1台が1階にいるときはもう1台が5階にいるという定常状態をつくりまして、1階から昇るときはそのまま乗れて、7階から降るときは5階の待機のものが来るのです。勿論、他の階の人も利用しますので、エレベータ大小の定常状態やどちらのエレベータが優先されるかは、ダイナミックに変わります。2台といえども、ちょっとしたプログラムで相互に時分の動きを管理しているのでしょうから、なにかしらのアルゴリズムに基づいて動作している筈で、その方面の本を読んだり関係者に聞いたりしたら、ああ成る程なあ、と思えるのでしょうが。
平日は通勤で最低朝夕1回毎、休日はそれよりも多く、エレベータを利用しているのですが、左右のエレベータを眺めつつ、こいつらは本当に平等に俺を乗せているのだろうか、と思うのも無理ありません。
で、調べてみました。細君には「暇だねえ」、しまいには「ばっかみたい」と言われながら、毎日エレベータに乗る度に、手帳に大小のどちらのエレベータに乗ったかを上り下りの区別なく、チェックしまくりました。以下がその結果です。
調査期間は、1996年3月21日から6月30日で、計101日間です。
総合計利用回数は、エレベータ大が150回、エレベータ小が169回だったのですね。1日平均3回強(1.5往復強)といったところでしょうか。
はじめのグラフが累積度数です。まあ平均的に右上がりで、小生の月による利用変動はないみたいですね(まあ、毎日通勤していれば当たり前か)。
月別に見てみましょう。3月はサンプル数が少ないので除外視するとしても、4月と5月は大エレベータよりも小エレベータの利用回数のほうが多くなっています。これは、円グラフのパーセンテージからも如実に見て取れます。6月になると反転していますね。
これは何故だ!神の見えざる手の成せる技か!・・・と感ずる前に思い当たる節があるのですね、実は。
大きい方のエレベータは、荷物運搬専用になってしまう機会があるのです。即ち、引っ越しの際にですね。そのときは、大エレベータはマニュアル操作になってしまって、引っ越し関係者(大エレベータの鍵を持っている)以外は、小エレベータのみの利用になってしまうのです。春には入と出を含めて引っ越しをする人が多かったので、特に休日は、数時間単位で大エレベータが使用不可になっていたりしたのです。
・・・これでは、正しいサンプリングができませんねえ。
全体を通しての、利用頻度の割合の結果も以下の通りで。
まあ、しかしながら、確率2分の1には近かったので、一安心です(何がだ!)。
・・・ということで。
えっ、なんの役にも立たないですか? そりゃどうもすみませんでした。
おあとがよろしいようで。
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