==== 2000年1月のお話し ====



 下町情緒溢れる(といってもそれほどにはメジャーではない)町屋。
 ここは、荒川区にとっては鉄道の要所でもあって、営団地下鉄千代田線、京成電鉄本線、都電荒川線が交差しているのです。
 数年前の駅前再開発によって、センターまちやという大きなビルが出来ました。
 この地下1階から1階・2階がサンポップ町屋という名称で、ここいらではちょっとお洒落なテナントが入っています。
 で、3階と4階がムーブ町屋と称しまして、チケットぴあが入っている他は、公共の施設がありまして、よく展覧会など催されています。こちらに、小規模ながら、ハイビジョンルームがありまして、ムーブミニシアターと題して、毎月上映会が開かれています。いつもは、教育用フィルム(ビデオか)がかかることが多いのですが、今月は、西暦2000年記念特別企画ということで、「ふたり」が上映されました。

 ご存じ、大林宣彦監督の尾道を舞台に撮ったこの映画ですが、新尾道三部作の一作目を飾る作品なんですよね。
 ちらしの作品紹介をそのまま引用しますと、
 「美人で頭も良く、スポーツ万能の姉千鶴子、一方妹の美加は、ドジでのろまな夢見る14歳。突然の姉の死によって火が消えてしまったような家族の中で美加は姉を明るく振る舞う。ある時から、美加が難関にぶつかる千鶴子が幽霊となって現れ、『ふたり』で次々と難関を突破していく。崩れかけた家族の絆を必死に守ろうとする美加を千鶴子は暖かく見守るのだが・・・」
 となっています。

 いやー、10年ぶりに、観ました。いいですねえ、切なくて。別コーナーでの映画鑑賞録の評価も高いですよ。この映画、NHKエンタープライズが制作に関わっていたと思うのですが、確か当時は、前編と後編と別れて、テレビ放映用に(ある意味でダイジェストで)編集されて、映画館上映前に、NHKにてオンエアされたという面白い経緯であったように記憶しています。前編を美加の中学時代、後編を美加の高校時代と分けていたようです。でも、まあ、暫くして、銀幕上で、2時間30分というロングバージョンで観たのですが。
 姉の千鶴子を中嶋朋子、妹の美加を石田ひかりが演じていて、それぞれのいい味わいが出ております。勿論、それぞれのエピソードで感慨深いのですが、最初で「どこじゃどこじゃ、何故ものたちは、私が探そうとすると姿をくらますのじゃ」というシーンと、最後のシーンで「お姉ちゃんのために話を書くよ」という美加の振るまいがいいんですよね。
 石田ひかりは、この作品から芸能界でメジャーになっていったと言っても過言ではないのですが、興味深いことに、中学時代と高校時代の美加のライバル役であった中江有里と島崎和歌子も、実はこの作品に出演していたのですねえ、この頃はマイナーであったけど。

 そして全編を通して、流れる映画の切なさを盛り上げるテーマ曲が、『草の想い』なのです。黄昏てついつい口ずさんでしまいます。
 これは、作詞大林宣彦さん、作曲久石譲さんなんですね。作詞作曲だけでなく、一番を大林さん、二番を久石さんでカップリングして歌自体も歌ったCDも出しておりましたっけ。

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