平成9年度指定

有田遺跡出土品(第177次調査)

前漢鏡    1面

小形製錬  1面

銅鏡出土甕棺 2基4個

概要
 前漢鏡は、異体字銘帯鏡(単圏銘帯鏡)に分類され、面径7.55cm、重量57.8gです。銘帯には「内日月心忽而不泄」の文字が篆書体で陽鋳され、字間に渦文が配されています。遺存状況は非常に良好です。甕棺墓ST001(弥生時代中期末)出土。小形製錬は、面径5.1cm、重量16gです。鏡背には、蕨手状文と櫛歯文が配されています。甕棺墓ST002(弥生時代後期初頭)出土。

指定理由
 前漢鏡の墓地への副葬は、本例も含め全国で16遺跡24基を数えるだけであり、福岡市内の遺跡では吉武遺跡群(樋渡墳丘墓)、丸尾台遺跡に続き3遺跡目となります。特に甕棺への前漢鏡の副葬は弥生時代の年代決定に重要な手がかりとなる貴重な例です。
 また、小型製鏡は、同笵鏡ではないものの大韓民国慶尚北道漁隠洞遺跡出土例に類似しています。これらは弥生時代における早良平野と朝鮮半島との文化交渉を考える上で非常に重要な出土品であり、市文化財に指定して保存をはかる必要があります。