平成7年度指定

草場の盆綱引き


 8月15日に行われる福岡市西区草場の盆行事の一つです。

早朝7時半頃、農協倉庫前の広場に子供会、青年団二十数名が集合し、車に分乗して近くの山に盆綱の材料にする葛(藤葛)取りに出発します。
 青年たちは、直径15cm程の葛をはじめ大小の葛を時には木によじ登り、手斧を使って集めます。葛の長さは、長いものでは一本10数mにも及びます。
 子供たちは、葛を山の下まで引き出す役目です。
 2時間程かけて葛が集まると車の荷台に葛を乗せて農協倉庫前の広場に戻ります。

 葛綯いは青年たちと子供たちが一緒になって行います。青年たちが子供たちを手伝っているようにも見えます。町内の世話人たちも顔を出して縄綯いの指導をすることもあります。
 綯い方には特別の仕方はなく、適宜右綯いであったり左綯いであったりします。引き手とする枝綱も特には作りません。綱の中央部分は左右からそれぞれ延びてきた葛の先端を相互に絡ませて結合し一本の綱にします。

 午前中には径50cm、長さ30m〜50m程の盆綱が出来上がります。完成した盆綱は道路脇に長く伸ばしたまま寄せたり、一重二重程度の輪にしたりして、夕方綱引が始まるまで置いておきます。
 夕方5時、太鼓の合図で町内32戸の人たちが広場に集まり、盆綱引きが始まります。 引き方には特に決まりはないようですが、最初は子供たちと大人たちに分かれて引き、二回目には子供たちに大人が混じり、老若男女が西方・東方に分かれて引くようです。 大体三回くらい引いて終わりますが、勝敗にはこだわらず、特別な意味はないようです。引き終わった綱は道路脇に片づけられます。

 綱引きが終わると近くの納骨堂まで各戸精霊送りに出かけます。精霊送りから戻って子供相撲があり、子供相撲が終わってから町内の盆踊り大会が始まります。
 本行事は藤葛で盆綱を綯うなど柑子岳の懐に抱かれた草場の地域的特徴をよくつたえています。

福岡県内での盆綱引き・盆押し・かずら引き分布