Toddler Penguin's Place >> 今月の言葉 >> 1997

いままでの言葉:1997年

12月の言葉:「神,と呼ばれる何か」「悪鬼じゃねぇの」「さあね。同じことだろう?』by グリフィス&ガッツ
アニメ『剣風伝奇ベルセルク』第7話より
 こんな妖しいキャラクターが青年誌に存在したとは(爆)。ウテナの暁生&冬芽と逆方向だけど同じくらい妖しいぞ(おいおい)
 ところで,原作は放映終了後にとっておくつもりといいながら,問題の箇所を古本屋でぱらぱらみてしまい…(泣)「俺がオマエのために体を張ることに,いちいち理由が必要なのか」とかくどかれたあげくあれじゃあガッツも狂戦士になるしかないわ。
11月の言葉:「この魔法の領域にじわじわ溶け込んでいくことによって,彼らはだんだん違った人種になりつつある―そんな雰囲気さえ感じられる。」by スティーブン・ミルハウザー
『バーナム博物館』(柴田元幸訳 ベネッセコーポレーション 1995.4 福武文庫 4-8288-5720-6)より
 驚異の神殿,バーナム博物館の従業員は長い時間を館内で過ごし,いつしか亡霊か妖精のような雰囲気を持つようになっていく…
10月の言葉:荒俣「やっぱりね,ネオテニーじゃないけど,完成しすぎてしまうと変幻できなくなってしまうんですよ」by 荒俣宏
「悪魔世紀」(高山宏『痙攣する地獄』 作品社 1995.4 p269)より
 実は他称荒俣おたく(^^;「月刊アラマタ」の網羅的収集はとーってもたいへんです。お財布はともかく,書架が…なんて言っていたるのは立派なおたくではない証拠です。
絶望的状況を呈しつつある書架を見る(21K)
9月の言葉:「この女なら,本を間違った棚に戻した人間は殺すに違いない」by ジョナサン・キャロル
『死者の書』(浅羽莢子訳 東京創元社 1988.7 創元推理文庫 4-488-54701-X)より。
 出版直後から絶賛,6,7年前に開催されたトールキン研究会のミニコンベンション「スミアルムート」でも話題になっていたのになぜか手を出さずにいたジョナサン・キャロル。『月の骨』を古本屋(八重洲古書館)で見つけたのが運のつき。半年で創元から出ている分は揃えました。ダークファンタジーというのが一番いいのかな。とても読みやすい文章で残酷描写もなし。ですが,人の弱さ残酷さ,幸せのもろさが読み終わってからずんときます。
 で,もちろんこんなことをする最低人間は図書館屋に殺されて当然…とまではいいませんが「書架に探している本がない!」なんて文句を言う資格はない(きっぱり)。返す場所がわからなくなったら返本台に置きなさい。なければ図書館員に渡しなさい。悪の秘密結社日本SF図書館員協会事務局より。
8月の言葉:「いさぎよく,かっこよく,生きていこう」from「輪舞〜revolution〜」
 いま一番いってるアニメ,『少女革命ウテナ』(テレビ東京 毎週水曜日18:00〜)のオープニングテーマ
 自分をかけがえのないものと考えてしまうと生きていくのが辛くなる。それでも人間生きてることに意味がある。「人生ってスバラシイ」とはいかないけれど。だけど,いまいち確信持てなくて苦しい時,「いやなものは笑いとばしてやれ。わからなくても凄いものもある」って世界を広げてくれたのがSFだったような気がする。説教でも洗脳でもなく。
#私は死にたがっている人間に「生きろ!」とはとても言えない。
#エヴァはまだです(^^;)7/26のザ・スクープに出ていた女子高校生。「くらーい」「おたくっぽーい」とか言ってたくせに涙みせるなよな(笑)。しかし,エヴァ26話いっきはゴーモンだよね(笑)
#キリスト教学校に通ってる十代に『神狩り』(山田正紀)は衝撃でした。でも,マイベストは甘くてせつない『宝石泥棒』なんだな(^^;(パート2は蛇足だと思う)。
(注) 「人生ってスバラシイ」by アメリア 神坂一『スレイヤーズ7 魔竜王の挑戦』より。このせりふを一晩中耳元でささやき続けるゾと脅されてゼロスは自白します(^^;
7月の言葉:「まあ,ゼロスは魔族なんだからそれくらいするでしょ」by リナ・インバース
 『スレイヤーズTry』6月28日放映「一触即発!鍵を握る者!」より
 97年第1四半期の注目キャラ,とってもお茶目なお役人,獣神官ゼロス。獣王様の無茶な命令に東奔西走,お役所仕事しつつも状況を楽しみ,しれぇっとしていて実は凶悪に強い。役人の鏡ですね(おいおい)。「生ゴミ生ゴミっていう人のほうが生ゴミなんですよぉっ」には笑いました。原作もこんなんなんでしょうか?いや,句読点でかならず改行されてるような読み物は公共図書館で読むようにしているので…(^^;
 アニメ版『スレイヤーズ』は無印はだるかったけど,NEXTでブレイクしてTRYもけっこういけます。時々絵がひどく崩れるのが気になりますが…。
 いまちゃんと見ているのはほかに『少女革命ウテナ』『るろうに剣心』&『救命戦士ナノセイバー』。『勇者王ガオガイガー』はよくできていると思うし毎週チェックしてるんですが…どうやら私は『天空のエスカフローネ』とかサンライズが力いれまくってる作品にははまらないみたいです(^^;;
 …なんて言ってたら,友人が『スレイヤーズ』1,4-9を貸してくれました(2,3は猫がどこかに隠したらしい)。古本屋でまとめて千円,コスト的には悪くないか。で,ゼロスはまんまでした(逆か)。石田彰氏のお声で読むのがポイントかな(^^;
追記:CD「スレイヤーズNextサウンド・バイブル3」を借りました。渡部高志監督いわく,ゼロスは「戦うサラリーマン」「職務に忠実なんですけども,その合間を縫って宴会するのも好き」。…遊び心あるサラリーマンといえば『エロイカより愛をこめて』に登場するロレンスくん…(うぇぇ)(1997.8.28)
6月の言葉:「きっかけがつかめたという以上に、背表紙を見るたびに超自然的作用によって本の内容が少しずつ頭の方へ移動していたではないか、と疑いたい感じがある。」
『ワープロ作文技術』木村泉 岩波書店 1993.10(岩波新書 新赤版306)より。
 一昨日、レファレンスで大騒ぎしてしまいました。で、解決してみると答えは始めから知っていたって奴で(;_;)私の場合、参考図書とか仕事関係はいつも見ていないと勘が働かなくなるので、一般的な参考図書がない医学図書館ではそりゃあもう大変です。やはり積ん読くって大切ですよね(^^;だからって誰にでも『解析概論』が読める、というものではありませんが。
 #余計なことにメモリーを使いすぎてる、というのが最大の原因なんだけどね(^^;
5月の言葉:「作家と魔法使いならよく知っているが、名前こそが肝心なのだ」by U・K・ル・グィン
 『内海の漁師』(小尾芙佐・佐藤高子訳 早川書房 1997.4 ハヤカワ文庫SF1186 4-15-011186-3)より。
 最初に読んだル・グィンは『ゲド戦記』三部作(第四部は無いことになってる)。若かった私は魔法使いと言葉の魔法にいかれました。アーキペラゴにも入れあげて当時書いていたオリジナルの世界の南の方に多島海を設定してしまったくらいです(赤面)。
 ということで「クズSF論争」ってのはセンスないネーミングだよね(笑)。SFマガジン6月号はSFの現在を考える2だったけど、ぴぴっときたのは関係ない(くはないか)水玉螢之丞せんせいのお言葉だけでした。まあ、元ネタの「本の雑誌 3月号」を読んでいないし、日経も斜め読みしただけだから何に燃えてるのかよくわからない点が多々ある(^^;で、私なんか無責任な一読者だからしゃかりきにSFをエヴァンゲる必要を認めないけど、それじゃギョーカイの人は困るわけですよね、当然。
 あらゆる悪徳は大人にちらちら見せびらかされて、でもダメって言われるからそそられるわけで(それこそエヴァみたいにね)。その方がマーケティングとしても正解じゃないかなぁ。それでSFが「いま三十代の人間といっしょに滅びて」(by 大森望せんせい)もそれはそれで「美しく散った最初の文芸ジャンル」になってかっこいいんじゃない? #書いてしばらくしてから気付いたのですが,叙事詩というジャンルが既に絶滅してました(^^;
4月の言葉:「いっしょに困るっていう手もある」by 某レファレンス担当
 年度始めにこんなこと書いていいんだろーか(^^;
 これも立派なレファレンス技術というのは嘘です。とはいえ、いっしょに困ると光明が見いだせるということもあるわけで…。どんな仕事だってそうだと思うけど教科書に出てくるような質問というのはそうそうありません。だから「ibidという雑誌、ありますか」なんて方が現れると嬉しくなってしまうわけで。これが図書館屋の業ってやつですか(笑)
3月の言葉:「梅花は雨に/柳絮は風に/世はただ虚に」
 『閑吟集』(「折々のうた」朝日新聞1997.2.27)より。このあとに「揉まるる」と続きます。
 ヲタクに向かって「現実を見ろ」なんてお馬鹿なこという人、いますよねってそういう歌じゃないんですが(^^;)もちろん、この期に及んで2部構成だとぉ嘘つき〜という歌でもありません(^^;;)
 ちなみに今月の言葉次点は「変身美形ゴーマン様は乙女の夢」(SFマガジン4月号・(高)さんの編集後記)でした。
2月の言葉:「過剰な期待に応えたくなるではないかっ」
 『新機動戦記ガンダムW』第18話「トールギス破壊」よりゼクス・マーキスのセリフ。
 ご推察どおりOVA『新機動戦記ガンダムW エンドレス・ワルツ』第1話「静かなる軌道」を見たばかりです。じつわ「オペレーション・メテオ2」に入ってた予告の「トロワ・バートン死す」にどきどきしてたんです(自爆)いやぁ、とっても素敵に「W」してましたね。よかったよかった。次が待ち遠しいです、はい。
 『疾風!アイアンリーガー』は正々堂々と人様にお薦めできるんだけど、ガンダムWは構成に失敗しているし、あくがつよいし、なにより制作者の思うつぼにはまっただけみたいな気がするのがナニなわけでためらいます、ってWebページに書いてりゃ世話ないです。
1月の言葉:「もっとカラフルで絢爛豪華に展開する魑魅魍魎を見たい」
 東野司のTOKYO電脳マップ総集篇(SFマガジン1997年2月号)より胡散臭さがどっかにいってしまった電脳世界の現況を嘆かれて。
 私としては電脳世界はともかく、おおおおっと言わせて欲しいわけですよ、SFには。で、今年もそんな作品に出会えたらいいな、という願いをこめての今月の言葉です。

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