馬だって「いい湯だな」
競走馬総合研究所常磐支所
(福島県いわき市)

 
プール調教のワンシーン
 
馬の水泳(プール調教)
 全身運動である水泳が体の鍛錬に効果的というのは、馬も同様です。また、「走る」調教に比べて脚の負担がはるかに軽いので、脚を痛めている場合に有効。いわば馬のリハビリ手段です。
 この施設にある馬のプールは1975年にできた日本初のもので、円形で直径15m、水深3m。通常はここを3周半泳ぎます。4本脚の動物なので泳ぎのスタイルは「馬かき」で、すいすい泳いでしまう馬もいれば今にも沈みそうな泳ぎをする馬もいます。
 上の写真では気持ちよく泳いでいるように見えますが、プールサイドにはタイムキーパーがいて、泳ぎが遅かったりするとムチなどでせかされます。その意味でまさに「調教」で、プールから上がるころには、バテバテになっているのが一目でわかります。
 ここでのプール調教は、5月中旬から10月までの11:00〜12:00、13:00〜14:00に行われています(土曜休日を除く)。

ウォータートレッドミル
 残念ながら写真はありませんが、水深1.2mの屋内プールの底にベルトコンベアがついているウォーキング施設です。体重の約4割が水の浮力で軽減されますので、脚に無理な負担をかけずに「歩くトレーニング」ができますし、プール調教のできない馬(馬にも「カナヅチ」がいるんです)にも効果的です。

 
 
馬のプール遠景 逍遥(しょうよう)馬道
 
 
逍遥(しょうよう)馬道
 馬をリラックスさせるためのいわば「遊歩道」で、道に敷かれている茶色いものは土や砂ではなくウッドチップ(木屑)です。ウッドチップの上を歩かせることは、砂の上を歩かせることに比べて脚に負担をかけなくて済むからです。写真では木の陰になって見えにくくなってしまっていますが、外からまる見えでは馬がリラックスできませんから、これで当たり前でしょう。
 

お・ま・け
 この施設を見学しての印象のひとつは、ちょっと辛口な受け付けのガードマンと、意外に優しい施設のスタッフという対比でした。そのスタッフですが、有名な馬はともかく、そうでない馬に関しては意外にも馬の名前に無頓着みたいです。自分たち(実は、NIFTY SERVE=現@nifty競馬フォーラムのメンバーと見学していました)が、そばを通りかかった馬の名前をスタッフに尋ねると、別のスタッフに「この馬、何って名前だっけ?」・・・。もっともここの使命は馬をかわいがることではなく、本格的な調教のできる状態に回復させて1日でも早く「退院」、トレーニングセンター(ここでレースに出られるように体を仕上げる)に戻すことですから、逆にその姿勢こそ「プロならでは」なのかもしれません。

 

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