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Cisternino

チステルニーノ  <2004年>戻る

街の入口はどこ?

チステルニーノは、行くに不便でちっぽけな街だというのに、なぜか日本での知名度は高い。
建築史家の陣内秀信氏によるフィールドワークで有名になったからだと思う。
この種のプーリアの田舎街に関しては、実際に行ってみないと何もわからないことが多い。でも、陣内氏の著書のおかげで、事前にこの街はこんな感じというイメージを思い描くことができていた。
ところが、実際に行ってみて、自分が想像していた街の規模との違いにびっくり。確かに旧市街は小さくて狭いのだけれど、その周辺に近代的な街の広がりがあって、意外に大きな街だった。
バスの運転手さんは、親切にもバス停の手前で降ろしてくれた。そして、街の中心部への近道を教えてくれた。しかし、坂道を登り切っても、普通の街並みばかり。あの白い街はどこにもない。はて?

出鱈目に新市街を歩き回って、やっと旧市街への入口らしきものを発見。
もしかして、これが陣内氏の著書にも出ていた有名なアレですか? こんなにちっちゃいのが街の入口? 奥に階段が見えていて、女の子が座ってる。どう見ても、誰かの家のようなんですけど、どこかで写真で見たような光景・・・。
やや躊躇いながらくぐり抜けると、真っ白い街がそこにあった。

ホントにちっちゃいぞ

それにしても、旧市街はちっちゃい。
あの入口をくぐってから15分くらいで、旧市街を1周できてしまった。あちこちの道で出くわす観光客は、みな同じ顔ぶれだ。狭いから何度も同じ人に会ってしまう。

街の中心部には広場があって、バールのテーブルが並べられていた。そこでサンドイッチだけの軽い昼食をとると、もう何もすることがない。何も見るものがない。
やることもないので、すべての小径を全部歩いてみよう思い立ち、もう2周。だけど、あっと言う間に網羅できてしまった。

やっぱり何もない。やることがない。真っ白な狭い道をただただ歩いて行く。
ああまた同じ場所に戻ってしまったと、立ち止まる。別の角を曲がってみようか。でもまた同じところに着いてしまう。そんな風にして太陽に焼かれていると、別世界に迷い込んだような幻想的な気分になってくる。
・・・いかん、いかん。プーリア・マジックだ。頭脳を正常位置に切り替えないと、帰れなくなるぞ。


バス停はどこ?

その日、宿はオストゥーニにとっていた。バスで帰らなければならない。
しかし、ここでちょっと困ったことになる。来るとき、バス停じゃない場所で降ろしてもらったから、バス停がどこかわからない。
もちろん、バスの運転手には同じ場所にバスが来ることを確認していた。しかし、ホントに帰りのバスは来るのだろうか? 十数年も前のことだが、南フランスで同じ状況を体験したことがある。降りた場所で待っていれば帰りのバスが来ると言われたのに、バスは来なかった。3時間待った後、結局ヒッチハイクをした。そんなことがあった。だんだん不安になる。

道ばたに座って待っていると、数台のバスが目の前を通り過ぎて行った。どれもオストゥーニ行きじゃない。やがて、その道では、バスが同一方向にしか走って行かないことに気付く。私が帰りたいオストゥーニとは、逆方向のバスしか来ないのだ。これはおかしい。
心配になって150mほど移動してみると、そこにちゃんとしたバス停があった。

バス停で30分ほど待つと、オストゥーニ行きのバスが来た。実際にバスに乗ってみてわかった。オストゥーニへ向かうバスは、私が待っていたあの場所は通過しない。

あの場所で無理矢理バスを止めたとしても、帰れなかったということだ。
まあ実際に止めてみれば、運転手がバス停を教えてくれるか、適当な場所まで連れて行ってくれたとは思うけど。


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<旅行メモ>

旧市街 バーリからSud-Est線で、Martina FrancaでLecce方面の路線に乗り換え、1つ目の駅。
ただ、駅から街は意外と遠く、坂道を登ることになる。

オストゥーニからSTPのバスが出ている。
このバスは、オストゥーニの旧市街近辺を通らないため、町はずれのViale Sportoにあるターミナルにいったん行く必要がある。

旧市街の入口は三カ所あるようだ。おすすめは写真と本文にもある"Bere Becchie"側から入る方法。ほかの入口から入ると、平凡な道を通るだけになってしまう。