シルバー人材センターの高齢者に労災が多発しています。労働保険審査会が、労働省のこれまでの扱い(シルバー人材センターの会員は労働法上の労働者ではない)と対立する判断を示しました。 1996年10月5日の「社会保障法学会」でも、ホームヘルパーの多くが労災保険や雇用保険の適用を受けないという扱いをされていることを指摘しました。労働省は、学生アルバイトをはじめ、実態に即して、労働者としての保護をするべきだと考えます。 |
毎日新聞が、次のように、このニュースを特報しています。
私のコメントも引用されています。(^ ^)
1996/10/04 <特報・労災>派遣先で事故死の高齢者事業団会員に初の認定
毎日新聞ニュース速報
シルバー人材センター会員への労災認定をめぐり、労働省が今月に入って、各都道府県あてに、労災対象の雇用関係が生じる仕事の紹介をやめさせるようシルバーの徹底指導を求める通達を出していたことが13日、分かった。毎日新聞社の調査で、全都道府県の47シルバーの半数以上が雇用に当たる仕事を紹介している実態が判明したためで、通達に背くシルバーに対し、高齢者雇用安定法に基づく補助金のカットも辞さない構え。しかし、シルバーの現場では「仕事を求めて来る会員を切らざるを得ず、割り切れない」との戸惑いが多い。【伴丈伸治】
通達は高齢者雇用対策課長名で、まず「(生きがいを狙いとした)シルバーの趣旨に反した就業形態が存在するとの報道があった」と記述。こうした現状はシルバー事業への認識が現場の職員や会員に不足しているのが背景にあると指摘。そのうえで「報道内容が事実であれば、(シルバーが有料職業紹介事業に抵触し)職業安定法の違反を問われることも想定されるとともに、シルバー人材センター事業の根幹を侵す」と結論付け、事業主と会員の関係は請負契約という基本理念に則した運営を指導するよう求めている。同課によると、雇用となる仕事の紹介取りやめを求める通達を出したのは1981年9月以来、2度目という。
しかし、不況で高齢者が雇用形態の仕事を紹介する職業安定所で仕事を得るのは極めて難しい。求職のため、就労形態にこだわらず、シルバーに入会する高齢者もおり、会員を労働基準法上の労働者として認めないのは現状にそぐわないとの指摘がある。
同課は「シルバーが雇用にあたる仕事を紹介することは、定年延長や再雇用という高齢者雇用の中心政策と競合するので認められない。事業目的に合っていないシルバーには、補助金カットも考えている」と話している。
◆就労の道閉ざす通達
脇田滋・龍谷大法学部教授(労働法)の話 シルバーに経済的理由で仕事を求める高齢者がいる現状では、通達はかえって就労の道を閉ざすことになる。実態に沿って、会員をどう保護すべきかが求められているのに、通達は建前を押しつけているにすぎない。
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