updated Aug. 24 1998
派遣110番によく寄せられる質問と回答例(FAQ)


質 問 と 回 答 例 (F A Q)

3192. 派遣社員の賞与・残業について教えて下さい。
 初め、社員募集という広告を見て会社にプログラマー見習いとして就職しました。そのとき最初の6カ月は契約社員でという話でした。そのときの契約書には「賞与は無し」「残業手当は20時間超より」と書いてありました。
 そのときには、「契約社員だから賞与は無いし、見習いだから残業は20時間を越えたらつくのか」と思っていたのですが、契約期間が過ぎた今も内容は変わりません。
 変わったといえば給料が上がったのみです。派遣というのは普通、賞与とかは無いのでしょうか。初めての就職とまわりには,派遣されている人がいないのでよくわかりません。
   (1)労働条件関連の文書の確認

 労働者派遣関連の法律関係は、次のように派遣元(A)、派遣先(B)、
派遣労働者(W)の三面関係となっています。

 Wの労働条件(賃金、労働時間、休暇など)は、A−Wの間の「労働契約」と、
 A−Bの労働者派遣契約の内容を反映した「就業条件明示書
 Aの社内規定である「就業規則」
などによって決まっています。

 まず、「労働契約」、「就業条件明示書」、「就業規則」を確認して下さい。
 モデル雇入れ通知書(労働契約書)、モデル就業条件については、派遣110番のHPに掲載していますので、参照して、ご自分のものと比較して下さい。

      【労働者派遣の法律関係】


 とくに、賃金については、必ず文書で書いて労働者に渡すことが義務づけられ
ています。

 (2)労働条件としての賃金と賞与

 「賞与」というのは、定期的に支払われる毎月の賃金とは区別され、会社の業績などによって臨時に支払われるという意味をもつことが多いので、一般の常用労働者(正社員)であっても、賞与が支払われない例もあります。
 通常、派遣社員、なかでも登録型の派遣労働者の場合には、ほとんどは賞与をもらっていないと思います。
 しかし、「派遣社員だから賞与はない」ということは言えません。
 (1)であげた労働契約、就業規則などに規定があれば、派遣社員でも賞与を受けることはあります。なお、労働基準法や最低賃金法も、使用者に賞与の支払を義務づけていません。
 要するに、派遣だから賞与がないのではなく、労働契約や就業規則に賞与の支払が規定されていれば、派遣社員にも賞与の支払はあり得ます。
 正社員の場合には、多くの場合、労働組合があって、その労働組合と会社が毎年団体交渉をして、賃金のベースアップと賞与の支払について労働協約を結ぶのが普通です。
 派遣労働者に賞与の支払がない大きな理由は、派遣労働者には労働組合がないので、使用者に賞与を支払わせる圧力が弱いからだと思われます。

 (3)残業手当

 「残業手当は20時間超より」というのは、どういうことか意味がよく判りません。

 「残業」というのは、何を意味するかで、場合によっては、労働基準法違反の可能性もあります。

 1日8時間、1週40時間が法定の労働時間です。これを超えている残業は、「法外残業」といい、いくつかの要件を満たしていないと違法になります。
 ここでは詳しくは指摘しませんが、「残業手当は20時間超より」というのが、法外残業の場合の残業手当であれば、こうした定めは労働基準法違反です。

 労働時間がどのように規定されているかにもよります。
 1日8時間、1週40時間の法定労働時間のまま、A社が労働時間を定めている(所定労働時間)とすれば、次のようになります。

   実労働 1日10時間→2時間の法外残業 残業手当(+25%以上)

       1週48時間→8時間の法外残業 残業手当(+25%以上)
       例:1日8時間×6日


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