ホームヘルパー派遣変更訴訟へのご支援のお願い
各位
前略
さて、すでにマスコミ報道などでご存じのことと思いますが、さる4月4日、大阪市内の88歳の高齢者(女性)が、現在、派遣を受けている週3回、1回2時間のホームヘルパー(身体介護を含む)の派遣を、在宅で生活し続けていく上では不十分であり、このままでは介護している長男(62歳)と共倒れになるとして、憲法25条、13条、老人福祉法の要請である「自宅で安心して尊厳を保って生活するに必要な介護サービスを受ける権利」が満たされておらず、また大阪市の定める要綱(週18時間、原則週5回まで)にも反するとして、大阪市○○区福祉事務所の派遣決定は違憲・違法であるとして、処分の取消と100万円の慰謝料を求める訴訟を提起しました。
これは、私どもが、92年1月から取り組んできた「社会保障・社会福祉110番」の相談から、阪田健夫弁護士が中心となって引続き継続して相談や交渉を行なってきたケースであり、生活保護受給制限やホームヘルパーの廃止、2年にわたる身体介護サービスの未決定などさまざまな問題を援助してきたものでしたが、その交渉過程においても、○○区福祉事務所が十分な対応を行なってこなかったため、ついに訴訟提起となったものです。
本件訴訟は、個別救済が第一でありながら、そればかりでなくホームヘルパーの派遣が権利であることを認知させ、さらには派遣水準、ひいては在宅介護サービス全体の水準を、憲法(高齢者の人権)の観点からどうあるべきかを社会的に問い、またこのようなサービスへの利用者の不服申立ての道筋を明らかにさせるという意義があり、まさに現代的課題を真正面から問いかける意義深いものです。
本件訴訟提起後、各地からの反響は予想以上に大きく、全国から励ましの声が届いております。介護保険や高齢者保健福祉計画の実施をめぐって、介護保障の水準はいかにあるべきかは、焦眉の課題であることから、まさに時期にかなったものであったようです。そこで、私ども弁護団と呼びかけ人代表といたしましては、第1回の口頭弁論期日(6月18日 午前10時〜10時30分)をめどに、本訴訟を支える会を結成し、このような勇気ある訴訟を提起された原告とその家族を支えるとともに、本訴訟を日本における在宅福祉サービスの水準を、高齢者の人権(憲法25条・13条)からいかに実現していくかを、広く世論に問うものとしていきたいと考え、以下の日程で、支える会を結成し、パンフレットを作成して広く普及に努めるとともに、今後の法廷傍聴やシンポジウムの開催、全国のヘルパー派遣水準についての調査や問題提起を行なっていくことにしました。
つきましては、社会保障・社会福祉の実践、研究、運動や取材などを行なっておられる皆さまに広く御案内申し上げ、個人・団体の資格を問わず、この「支える会」への参加を含めた本訴訟のご支援いただきますようお願い申上げるしだいです。
当面、下記の日程で行なわれます支える会の準備会や第1回の公判に御参加いただきますことをお願い申し上げる次第です。
なお、支える会の概要は、5月30日を持ちまして決定する予定ですので、その後正式には支える会への加入の御案内を差上げます。
[今後の日程]
5月30日 6:00〜「支える会」第2回準備会(大阪弁護士会)
6月18日 10:00〜第1回口頭弁論期日(大阪地方裁判所 202号法廷)
同日 11:00〜第1回公判 報告集会(大阪弁護士会)
6月21日 6:00〜「支える会」結成集会(エル大阪)
以上
96年5月18日
「支える会」呼びかけ人
庄谷怜子(大阪府立大学名誉教授)
木下秀雄(大阪市立大学教授)
ホームヘルパー派遣訴訟弁護団一同
(団長 田中幹夫)
この「お願い」について、何か、ご意見、ご質問がありましたら、木下秀雄さんまでメールをお出し下さい。
なお、関連して、パンフレットができたそうです。これについては、パンフレット関連ページをご覧下さい。
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