礼拝のしかた

観音経(妙法蓮華経観世音菩薩普門品第二十五)によれば、観音様は救いを求める人に合わせた姿になって説法をおこなってくださいます。 つまり礼拝の仕方はどうであれ、観音様を供養すれば救ってくださることになります。 でも、お寺に着いてから出発するまでにはある程度決まった流れがあるので、仏様、お寺の方や他の参拝者に失礼の無いようにしたいものです。 なお、礼拝で読むお経等は、ここではいくつかのものを紹介するので、自分に都合のよいものを選んでよいと思います。 インターネットで検索すれば音声ファイルもダウンロードできます。 最後に私がどのように読んだかを紹介してあります。

お寺に着いたら

1 山門で合掌一礼して境内に入る。

 仏様が山門まで迎えに来ていると考えるため

2 手水で清める。

 右手で杓を持って水を汲み、水を左手にかける。杓を左手に持ち替えて水を右手にかける。
 杓を右手に持ち替えて左手の平に水をため、口をすすぐ。
・杓に直接口をつけないこと。相撲取りではないので(笑)。
・手水が異様に汚かったり、水が出ていなかったりするときには省略する。

3 服装を整える

移動中に乱れた服装を整える。輪袈裟があれば首からかける。

4 鐘をつく

 市街地では遠慮したほうがよいかも。

5 本堂の本尊に向かって合掌一礼する

(本堂がある場合)

観音堂の前に着いたら

1 礼拝に必要な物を準備する

 数珠、経本、お賽銭

2 お賽銭を入れる

 賽銭箱があれば賽銭箱の中に。賽銭箱がないときは観音堂の窓の穴から入れる。

3 鐘を鳴らす

 観音様に自分が来たことを知らせる。礼拝が終わってからは絶対に鐘をつかないこと。縁起が悪いとされる。

4 礼拝を始める

 経本を見ながらお経を読む。  他の人の邪魔にならないように、正面を避ける。
 柏手をたたいたり、二礼二拍手一礼をしたりするのは違うと思います。

5 他の仏を礼拝する

6 境内を散策する

7 庫裏に行き、納経帳に御朱印をもらう

 「信達三十三観音の御朱印がいただきたいのですが。」
 御朱印代は観音堂1カ所につき300円ということになっている。お寺ごとに「おいくらですか。」と確認したほうがよい。
 2カ所の別当を兼ねているお寺なら2カ所分の御朱印代がかかる。
 観音講の方が押してくださる場合も御朱印代は必要

境内を出るとき

1 本堂の本尊に向かって合掌一礼する

2 山門で本堂に向かって合掌一礼する

 山門まで仏様が見送りに来ていると考えるため

礼拝のときに読むお経等

合掌しながら下のどれかを読めばよいと思います。覚えていても、経本を見ながら読むのが正式です。

1 観音様の御宝号

「南無観世音菩薩」(なむかんぜおんぼさつ)と3回唱える。

2 延命十句観音経

かんぜおん なむぶつ
観世音 南無仏
よぶつういん  よぶつうえん
与仏有因 与仏有縁
ぶっぽうそうえん じょうらくがじょう
仏法僧縁  常楽我浄
ちょうねんかんぜおん ぼねんかんぜおん
朝念観世音  暮念観世音
ねんねんじゅうしんき ねんねんふりしん
念念従心起  念念不離心

3 般若心経

(真言宗以外は最初の「仏説」を書かない。読まない。
菩提薩たの「た」は土へんに垂。心無けい礙の「けい」は罫の「ト」がないもの。
なお、「観自在菩薩」は観音様のことです。)

ぶっせつまかはんにゃはらみたしんぎょう
仏説摩訶般若波羅蜜多心経
かんじざいぼさ  ぎょうじんはんにゃはらみたじ しょうけんごうんかいくう
観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空 
どいっさいくやく しゃりし   しきふいくう   くうふいしき  しきそくぜくう
度一切苦厄 舎利子 色不異空 空不異色 色即是空 
くうそくぜしき じゅうそうぎょうしき やくぶにょぜ  しゃりし  ぜしょほうくうそう
空即是色  受想行識  亦復如是 舎利子 是諸法空相 
ふしょうふめつ  ふくふじょう  ふぞうふげん ぜこくうちゅうむしき
不生不滅  不垢不浄 不増不減 是故空中無色 
むじゅうそうぎょうしき むげんにびぜっしんに   むしきしょうこうみそくほう
無受想行識   無眼耳鼻舌身意 無色声香味触法 
むげんかい ないしむいしきかい むむみょう やくむむみょうじん
無眼界 乃至無意識界 無無明 亦無無明尽 
ないしむろうし  やくむろうしじん むくしゅうめつどう むちやくむとく
乃至無老死 亦無老死尽 無苦集滅道 無智亦無得 
いむしょとくこ   ぼだいさった えはんにゃはらみたこ
以無所得故 菩提薩た 依般若波羅蜜多故 
しんむけいげ   むけいげこ    むうくうふう   おんりいっさいてんどうむそう
心無けい礙 無けい礙故 無有恐怖 遠離一切顛倒夢想 
くうぎょうねはん さんぜしょぶつ えはんにゃはらみたこ
究竟涅槃  三世諸仏 依般若波羅蜜多故 
とくあのくたらさんみゃくさんぼだい こちはんにゃはらみた
得阿耨多羅三藐三菩提  故知般若波羅蜜多 
ぜだいじんしゅ ぜだいみょうしゅ ぜむじょうしゅ ぜむとうどうしゅ
是大神呪 是大明呪  是無上呪  是無等等呪 
のうじょいっさいく しんじつふこ  こせつはんにゃはらみたしゅ
能除一切苦 真実不虚 故説般若波羅蜜多呪 
そくせつしゅわつ ぎゃてい ぎゃてい はらぎゃてい はらそうぎゃてい
即説呪日  羯諦 羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 
 ぼじそわか   はんにゃしんぎょう
菩提薩婆訶 般若心経

4 観音経の偈(げ)

みょうほうれんげきょうかんぜおんぼさつふもんぽんだいにじゅうご
妙法蓮華経観世音菩薩普門品第二十五
せそんみょうそうぐ がこんじゅもんぴ ぶつしがいんねん みょういかんぜおん
世尊妙相具  我今重問彼 佛子何因縁 名為観世音
ぐそくみょうそうそん げとうむじんに にょちょうかんのんぎょう ぜんのうしょほうしょ
具足妙相尊  偈答無盡意 汝聴観音行    善応諸方所
ぐぜいじんにょかい りゃつこうふしぎ じたせんのくぶつ ほつだいしょうじょうがん
弘誓深如海  歴劫不思議 侍多千億佛 発大清浄願
がいにょりゃくせつ もんみょうぎゅうけんしん しんねんふくうか のうめつしょうく
我為汝略説  聞名及見身   心念不空過  能滅諸有苦
けしこうがいい  すいらくだいかきょう ねんぴかんのんりき かきょうへんじょうち
假使興害意 推落大火坑   念彼観音力  火坑変成池
わくひょうるこかい りゅうぎょしょきなん ねんぴかんのんりき はろうふのうもつ
或漂流巨海  龍魚諸鬼難 念彼観音力 波浪不能没
わくざいしゅみぶ いにんしょすいだ ねんぴかんのんりき にょにちこくうじゅう
或在須弥峯 為人所推堕 念彼観音力  如日虚空住
わくひあくにんちく だらくこんごうせん ねんぴかんのんりき ふのうそんいちもう
或被悪人逐  堕落金剛山 念彼観音力  不能損一毛
わくちおんぞくにょう かくしゅうとうかがい ねんぴかんのんりき げんそくきじしん
或値怨賊繞  各執刀加害   念彼観音力 咸即起慈心
わくそうおうなんく りんぎょうよくじゅじゅう ねんぴかんのんりき とうじんだんだんね
或遭王難苦  臨刑欲寿終   念彼観音力  刀尋段段壊
わくしゅきんかさ しゅそくひちゅかい ねんぴかんのんりき しゃくねんとくげだつ
或囚禁枷鎖 手足被柱械   念彼観音力  釈然得解脱
しゅそしょどくやく しょよくがいしんじゃ ねんぴかんのんりき げんじゃくおほんにん
呪詛諸毒薬  所欲害身者  念彼観音力 還著於本人
わくぐあくらせつ どくりゅうしょきとう ねんぴかんのんりき じしつぷかんがい
或遇悪羅刹 毒龍諸鬼等   念彼観音力 時悉不敢害
にゃくあくじゅいにょう りげそうかふ   ねんぴかんのんりき しつそうむへんぽう
若悪獣圍繞   利牙爪可怖 念彼観音力  疾走無邊方
がんじゃぎゅうぶつかつ けどくえんかねん ねんぴかんのんりき じんじょうじえこ
玩蛇及蝮蠍   気毒煙火燃 念彼観音力  尋聲自回去
うんらいくせいでん ごうばくじゅだいう ねんぴかんのんりき おうじとくしょうさん
雲雷鼓掣電  降雹濡大雨  念彼観音力 応時得消散
しゅじょうひこんにゃく むりょうくひつしん かんのんみょうちりき のうくせけんく
衆生被困厄   無量苦逼身  観音妙智力  能救世間苦
ぐそくじんつうりき こうしゅうちほうべん じつぽうしょこくど むせつふげんしん
具足神通力  廣修智方便  十方諸国土  無刹不現身
しゅじゅしょあくしゅ じごくきちくしょう しょうろうびょうしく いぜんしつりょうめつ
種種諸悪趣  地獄鬼畜生  生老病死苦  以漸悉令滅
しんかんしょうじょうかん こうだいちえかん ひかんぎゅうじかん じょうがんじょうせんごう
真観清浄観   廣大智慧観  悲観及慈観  浄願常譫仰
むくしょうじょうこう  えにちはしょあん のうぶくさいふうか ふみょうしょうせけん
無垢清浄光   慧日破諸闇 能伏災風火  普明照世間   
ひたいかいらいしん じいみょうだいうん じゅんかんろほうう めつじょぼんのうえん
悲體戒雷震  慈意妙大雲  注甘露法雨 滅除煩悩焔   
じょうじょきょうかんじょ ふいぐんじんちゅう ねんぴかんのんりき しゅうおんしつたいさん
諍訟経官処    怖畏軍陣中  念彼観音力 衆怨悉退散
みょうおんかんぜおん ぼんのんかいちょうおん しょうひせけんおん ぜこしゅじょうねん
妙音観世音  梵音海潮音    勝彼世間音 是故須常念   
ねんねんもつしょうぎ かんぜおんじょうしょう おくのうしやく のういさえこ
念念勿生疑  観世音浄聖   於苦悩死厄 能為作依怙
ぐいっさいくどく じげんじしゅじょう ふくじゅかいむりょう ぜこおうちょうらい
具一切功徳 慈眼視衆生  福聚海無量  是故応頂礼
にじじじぼさ   そくじゅうざき  ぜんびゃくぶつごん せそん にゃくうしゅじょう
爾時持地菩薩 即従座起 前白佛言   世尊 若有衆生
もんぜかんぜおんぼさほん じざいしごう  ふもんじげん じんつうりきしゃ 
聞是観世音菩薩品 自在之業 普門示現 神通力者
とうちぜにん くどくふしょう ぶつせつぜふもんぼんじ しゅちゅう  はちまんしせんしゅうじょう
当知是人 功徳不少 佛説是普門品時  衆中 八萬四千衆生
かいほつむとうどう   あのくたらさんみゃくさんぼだいしん
皆発無等等  阿耨多羅三藐三菩提心

5 私が読んだもの

1カ所につき1〜7まで通して読みました。

1 開経偈

むじょうじんじんみみょうほう
無上甚深微妙法
ひゃくせんまんごうなんそうぐう
百千万劫難遭遇
がこんけんもんとくじゅじ
我今見聞得受持
がんげにょらいしんじつぎ
願解如来真実義

2 般若心経

3 観音経の偈

4 観世音菩薩の御真言

「おんあろりきやそわか」3回

5 光明真言

「おんあぼきゃべいろしゃのうまかぼだらまにはんどまじんばらはらばりたやうん」3回

6 弘法大師御宝号

「南無大師遍照金剛」3回
(4,5,6は真言宗以外のお寺では「南無観世音菩薩」3回にしていました)

7 回向

「願わくはこの功徳を以って普く一切に及ぼし我らと衆生とみなともに仏道を成ぜん」

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