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第158回  工房の 世界の国からこんにちは
     事件は突然起きる。
     勿論、会議室でも起きるし、
     昼夜を問わず、起きている。
その、出来事も、当然のように、突然起きた。
  「く、くま旦那さ〜ん。」
その時、僕は未だ朝のまどろみの中にいた。
何か楽しい夢を見ていたような気がしたのだが、
今はもう覚えていない。
  「お〜い、まだ寝てるのかぁ?」
  「くま旦那さ〜ん。」
  「朝ですよ〜。」
  「きっと、まだ寝てるのよ。」
女の子の声が混じっているようだ。
” よ、よつばちゃんとか言ったっけ、あの女の子 ”
僕は、枕元の時計を手にとった。
時計の針は、僕の機嫌を悪くさせるのに充分な時刻を指していた。
”全く、我家の仔熊共は、、、”
  「どうしよう、コレ?」
  「もう一回埋めてこようか?」
  「だいたい、何であんな所を掘ったんだよぉ。」
  「いやぁ、くま旦那さんが粗大ゴミの処理費用を払うのは勿体無いって言って
   テレビとか扇風機とか埋めて来いって言うから、、、。」
  「ほんとに、くま旦那はケチだな。」
  「うん。」
  「え〜、くま旦那さんて、ケチなの? そうは見えないわ。」
  「ケチなんだよ。」
  「うん、ケチだよね。」
  「ふ〜ん、そうなんだ。」
” さて、どうしてやろうか。 ” 
” それにしても、今度は一体何を拾って来たんだ、アイツ等は。 ”
僕はさっさと着替えを済ませると、仔熊達の前に出た。
  「あ、くま旦那さん。」
  「お。 なんだ、起きていたんだ。」
  「おはようございます、くま旦那さん。」
  「お邪魔してます、くま旦那さん。」
「で、今日は、何を、、、。」
「いやぁ、くま旦那さん、実は輝豸雄がこんな物を、、、。」
「僕だけじゃないだろ。」
    
「お、お前達、そのカプセルどうしたんだよ。」
「裏山で拾ったんですぅ。」
「っていうか、穴を掘ってたら、出てきたんですぅ。」
「で、どうしましょ。」
「どうしたも、こうしたも無いっ!」
僕は、思わず声を上げた。
「ど、どうしたんです?くま旦那さん。」
「どうしたの?」
「???」
「何か僕達悪い事でもしちゃったんでしょうか?」
” さて、どうしたものか・・・・。 ”
西暦6970年まで押入れにでも隠しておこうか、、、。
困った顔をした仔熊達を見下ろしながら、僕は途方に暮れていた。
                                                   第159回に続く